レース名 | 実施日 | 競馬場 | 距離 | 地区 |
園田プリンセスカップ | 9/22(木) | 園田 | 1,400m | 北陸・東海・ 近畿・中四国 |
エーデルワイス賞 JpnV | 10/13(木) | 門別 | 1,200m | 北海道 |
ローレル賞 | 11/11(金) | 川崎 | 1,600m | 南関東 |
プリンセス特別 | 12/12(月) | 笠松 | 1,600m | 北陸・東海・ 近畿・中四国 |
東京2歳優駿牝馬 | 12/31(土) | 大井 | 1,600m | 南関東 |
地方競馬では、牝馬競走の振興と牝馬の入厩促進を図るため、昨年に引き続き、世代別牝馬重賞シリーズ「GRANDAME−JAPAN(グランダム・ジャパン)」を実施します(創設2010年)。
全国各地で行われる牝馬重賞を世代別に体系づけ、競走成績によりポイントを付与。2歳、3歳、古馬の世代別ポイント獲得上位馬に対し、協賛各団体から(社)日本軽種馬協会を通じボーナス賞金が授与されます。地方競馬の優れた牝馬の活躍の舞台を広げるとともに、交流を促進して魅力ある牝馬競走の実施を目指します。
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全国各地で行われる牝馬重賞を世代別に体系づけ、競走成績によりポイントを付与。2歳、3歳、古馬の世代別ポイント獲得上位馬に対し、協賛各団体から(社)日本軽種馬協会を通じボーナス賞金が授与されます。地方競馬の優れた牝馬の活躍の舞台を広げるとともに、交流を促進して魅力ある牝馬競走の実施を目指します。
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早め先頭から粘って4連勝
若き人馬が記念に残る勝利
園田競馬場は台風の影響で、園田プリンセスカップの前日、9月21日の第1レースと第2レースが取止めに。その大雨によって流された分の砂がこの日の朝に補充された。しかし馬場状態は不良のまま。馬場には水こそ浮いていなかったが、砂は水を吸ったスポンジのようになっていた。加えて台風の吹き返しによる強風が、ゴールから4コーナー方向に強く吹く状況。センターポールに掲揚された2つの旗が激しく波打つ様子が、その風の強さを現していた。
その状況のなか、グランダム・ジャパン2歳シーズンの初戦となる園田プリンセスカップのパドックを周回する9頭は、笠松のピースキャンドル以外がメンコを着用。ついこの間デビューしたばかりという若駒の調整に、各陣営が気を遣っていることが窺えた。
そのなかで別格と目されたのが、3連勝中のアスカリーブル。管理する田村彰啓調教師は今年4月に初陣を迎えたばかり。鞍上の大柿一真騎手は2008年4月デビューだから今年が4年目。単勝1倍台前半という数字に仕立てたファンの期待は、若い調教師と騎手に託された。
そのアスカリーブルは、スタート直後に先手を主張した2頭のうしろという位置取り。それでも1コーナーではその2頭の外を回る形で徐々に差を詰めはじめ、バックストレッチ入口では先頭からおよそ1馬身差。その勢いのまま3コーナー手前で先頭に立ち、そのまま押し切ろうかという展開になっていった。しかしそこから、アスカリーブルと大柿騎手との闘いが始まることになったのである。
耳を立ててフワフワと右に左にふらついて走るアスカリーブルに対し、大柿騎手は数発の左ムチ。それでも遊びながら走るその鞍上で、とにかく馬を動かそうと奮闘を続けていた。その背後から猛追してきたのは、下原理騎手のメイレディ。ゴール直前ではメイレディの勢いのほうが上回っていたが、大本命馬がギリギリ先頭でゴール板を通過した瞬間、観客席は安堵の声に包まれることとなった。
それとは別に、ゴール前には喜びに湧くグループが。大柿騎手のご両親が息子の騎乗を見守っていたのだ。ご両親はレース確定後、バックヤードに招かれて、口取り写真は大人数での撮影に。そして息子は勝利騎手インタビューで、さらなるパフォーマンスに打って出た。
「付き合って3年になる彼女がいまして、このレースを勝ったらプロポーズしようと思っていました。……結婚してください」
ウイナーズサークルを囲む人垣から少し離れたところにいたその彼女は、インタビュアーの竹之上次男アナウンサーからの問いかけに「ハイ」と小さな声で返事。大柿騎手の多少ひきつっていた笑顔は、その声でいくぶん緩んだように見えた。
「仕事を休ませて競馬場に来させたんですよ。プロポーズのことはナイショにして」
そう考えると、このクビ差は大きなクビ差。しかしながら大柿騎手は、初重賞勝利のチャンスという重圧のほかに、もうひとつ大きなプレッシャーを自ら持ち込んでこの一戦に臨んだということになる。
「やっぱりあせっていましたね。早めに先頭に立ってしまって……。自分のミスです。本当ならもっと強い勝ち方ができました」
そんな状況でも「勝利」という結果を得ることができたのは、神様の思し召しといえるのかも。レース後に極度の緊張感から解放されたという表情をしていた田村彰啓調教師ともども、この1勝は若い2人にとって今後への糧となることだろう。
大柿一真騎手
レース前は緊張もしていましたし、内枠という心配もありました。それでも集中して乗ろうと思っていましたが、早めに仕掛けてしまったために、そこからは馬が頭を上げて遊んでしまいました。(田村)先生も自分も初めての重賞勝利のチャンスでしたから、一緒になって頑張ろうと思って臨んできました。それで勝てたので本当によかったです。
田村彰啓調教師
いやあ、ヒヤヒヤしました。ほかの馬も力をつけていますからね。大柿騎手には早めに仕掛けていいぞとは言っていたんですが、この馬は1頭になるとフラフラするところがあるんですよ。それでも動ける体にするように努めてきましたし、勝って本当にホッとしました。このあとはオーナーと相談して進路を決めたいと思います。
大柿騎手からのプロポーズをOKした
彼女と2ショット
彼女と2ショット
取材・文:浅野靖典
写真:桂伸也(いちかんぽ)
写真:桂伸也(いちかんぽ)