鞍上の好判断で重賞2勝目
狙うはグランダムのタイトル

　グランダム・ジャパン2歳シーズンも残り2戦。ここでポイントを稼ぎ、最終戦へ繋げたい面々が笠松競馬場へ集結した。ただ、ほとんどが重賞経験はあるものの抜けた実績の馬はおらず、対戦比較からも予想が非常に難しいメンバーとなった。パドックでは、2歳牝馬らしくテンションの高い馬が目立ち、それは一層ファンの頭を悩ませたのだろう。最終的な単勝オッズは、10頭中6頭が10倍以下という大混戦模様となった。
　また、現地で話題となっていたのが、錚々たる騎手の顔ぶれだ。内田利雄騎手の地方通算3,303勝を筆頭に、2000勝以上を挙げている騎手が5名。そして全国リーディングトップの戸崎圭太騎手も笠松競馬初参戦。これだけの騎手が揃うレースも珍しい。うら若き2歳牝馬たちを、名手たちがどうエスコートするのかも注目となった。
　レース後、「すごい騎手ばかりだなぁと思っていました（笑）」と語ったのは、このレースを勝った大原浩司騎手。そんな大原騎手の好騎乗がタッチデュールを優勝へと導くこととなる。
　タッチデュールは、大外スタートから先行集団にとりついた。そしてスタンド前の直線でスッと3番手まで押し上げた。「このままだと外を回らされてしまうと思い、仕掛け直しました」（大原騎手）という、この時の判断が最高の結果に結びつくことになる。向正面では先行馬を射程圏内に入れながら、3〜4コーナーで2番手まで上がり、直線では逃げていたマーメイドジャンプとの争い。外から力強く脚を伸ばし、ゴール前で捉えきった。この時、馬体を離して直線勝負に持ち込んだことも功を奏した。馬体を併せて追い比べになっていればマーメイドジャンプも闘争心を出し、結果は変わっていたかもしれない、と陣営は振り返る。
　「馬と共に騎手も成長している。今日は人馬一体のレースだった」と山中輝久調教師は満足気な表情でタッチデュールと大原騎手を讃えた。
　終わってみると、人気となっていたメイレディやラブミーファストなどの他地区勢は一歩及ばす、地元笠松勢が3着までを占める結果となった。レース後、状態は良かったが輸送や初コースの影響があったと他地区陣営の声も聞かれた。若い牝馬だけに、力が拮抗しているのであれば、やはり地の利が生きるということなのかもしれない。
　勝ったタッチデュールは、10月に北海道から移籍し、すでに重賞2勝目。転入後すべて3着以内と抜群の安定感を見せている。11月のジュニアクラウンでは、デビュー11年目の大原騎手に初重賞制覇をもたらした。調教もほとんど自分で行っている大原騎手には特別な存在だ。大原騎手曰く、以前より落ちつきも出てきて、しっかりと成長も感じているとのこと。ただ、もともとテンションが高い馬ということなので、次走に予定している東京2歳優駿牝馬（大井）では、長距離輸送と、初コースへの対応が鍵となりそうだ。相手もぐんと上がるが、胸を借りるつもりで挑戦したいという陣営の意気込みも聞かれた。しかし、狙うはグランダム・ジャパン2歳シーズンの優勝。最終戦へ挑むタッチデュールと大原騎手のコンビに要注目だ。