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グランダム・ジャパン特集
レーススケジュール
レース名 実施日 競馬場 距離 地区
桜花賞 3/24(水) 浦和 1,600m 南関東
留守杯日高賞 4/19(月) 水沢 1,600m 東北
ル・プランタン賞 4/25(日) 佐賀 1,800m 九州
のじぎく賞 5/13(木) 園田 1,700m 北陸・東海
近畿・中国・四国
東京プリンセス賞 5/20(木) 大井 1,800m 南関東
関東オークスJpnII 6/16(水) 川崎 2,100m 南関東
 2010年、地方競馬では牝馬競走の振興と牝馬の入厩促進を図るため、新たに世代別牝馬重賞シリーズ 「GRANDAME−JAPAN(グランダム・ジャパン)」を実施します。

 全国各地で行われる牝馬重賞を世代別に体系づけ、競走成績によりポイントを付与。2歳、3歳、古馬の世代別ポイント獲得上位馬に対し、協賛各団体から(社)日本軽種馬協会を通じボーナス賞金が授与されます。地方競馬の優れた牝馬の活躍の舞台を広げるとともに、交流を促進して魅力ある牝馬競走の実施を目指します。
古馬シーズン2歳シリーズ

のじぎく賞
競走成績Movie

厳しい流れも底力発揮、ラスト2戦を残し優勝濃厚

 水沢から佐賀への中5日での連闘をクリアした笠松のエレーヌとプティフルリールは、今回は中17日の競馬。ともに休養十分といわんばかりにプラス体重で登場してきた。そしてパドックでは元気いっぱい。その姿が披露された園田競馬場のパドックでは「すごいなあ」という感嘆の声があちこちから。その積み重ねは、エレーヌの単勝1.2倍という数字に示された。
 グランダム・ジャパン3歳シーズンの第4戦となっているこの一戦だが、笠松の2頭以外は得点をもたない馬。地元所属馬9頭の意識は「グランダム・ジャパン」というより「この重賞」という方向なのだろう。昨年は笠松のマルヨフェニックスが園田で重賞2勝。今年1月の園田クイーンセレクションも、直線先頭のエレーヌの落馬がありながら、勝ったのはやはり笠松のコロニアルペガサス。そういった悔しさ、歯がゆさというのが地元勢にはあったと思われるし、それは園田競馬場に来場するファンも同様だったのかもしれない。その望みは、園田で重賞を制した実績があるアートオブビーンに単勝4.1倍というオッズで託された。ちなみに3番人気は20倍近く。一騎打ちムードのなかでのファンファーレとなった。
 その7枠両馬の道中は、折り合いがカギとなる流れ。ゲートが開いたと同時に飛び出した名古屋のマースキッスに地元のホクセツロマンが並びかけるが、「競っているわけではなく、自分のペースでした」とホクセツロマンの板野央騎手が振り返ったように、スタンド前では見た目にもスローペース。こうなると2周目の向正面から一気にピッチが上がるのは当然で、先行した各馬が有利な展開に。3コーナーあたりでスムーズに追い出したホクセツロマンが先頭に立ち、3番手からレースを進めたアートオブビーンが4コーナーで前を射程圏にとらえていく。対するエレーヌは中団を追走。向正面中央付近から、筒井勇介騎手が懸命の格好で追い出しにかかっていた。
 果たしてエレーヌは間に合うのか。残り100メートルあたりでも先頭との差は4馬身ほど。しかしそこは今までの実績が黙っていなかった。大きなストライドで見る間に差を詰めて、ゴール地点では体の半分がアートオブビーンの前に出ていた。
筒井勇介騎手
レース前は(勝利寸前で落馬した)園田クイーンセレクションのことは頭にありました。でも今回はその時ほどの余裕はなくて、2周目の向正面からは「なんとか差してやろう」という気持ちだけ。それに応えて馬がよく走ってくれました。それでもこんな展開で差し切れたことは自信になります。次は東海ダービーの予定とのことですが、こんなチャンスはなかなかないですからね。次もがんばります。
山中輝久調教師
仕上がりは上々で、いつものエレーヌでしたね。でも上がりの競馬になってしまって、レースを見ていてヒヤッとしたのは初めてでした。騎手もあれだけエレーヌを追ったのは初めてかもしれませんね。ウチは昔からどこでも遠征に行くというスタイル。その方針とオーナーとがうまくマッチしたんだと思います。こういった結果を出せて、うれしいです。


 重賞4連勝、そしてグランダム・ジャパン3歳シーズン優勝へ向けての責任を果たした筒井騎手は、ホッとした表情。対して2着に敗れたアートオブビーンの下原理騎手は「3コーナーで後ろはついてこられないと思ったんですが……」と悔しそう。着差以上に底力を感じさせたエレーヌの最後の脚だった。
 浦和、水沢、佐賀、園田と4戦が終了したグランダム・ジャパン3歳シーズン。そのうち3戦をエレーヌが勝利して、現在のポイントは40。今後、所属変更等がない限り、逆転の可能性を残すのは同じ山中輝久厩舎のコロニアルペガサスのみとなった。調教師、厩舎スタッフ、馬主が一致団結しての栄誉。このシリーズに向けてチームが実践した戦略と、それに対応して各地で能力を発揮する各馬の能力と精神力に拍手を送りたい。

取材・文:浅野靖典
写真:桂伸也(いちかんぽ)