馬なり7馬身差でダービー制覇、戦いの舞台は全国へ

　当日は朝から気持ちよく晴れ渡り、17時5分の発走時間を迎えても穏やかな暖かさを感じる、まさにダービー日和となった。
　注目を集めていたのはロックハンドスター。未来優駿・若駒賞、南部駒賞を勝って岩手の2歳チャンピオンに輝き、3歳になって金杯こそ2着に負けたものの、3カ月の休養を挟み2連勝で岩手ダービーダイヤモンドカップへ駒を進めて来た。単勝は、なんと1.0倍。2番人気のモエレフットライトが10.5倍、3番人気ダークライが15.6倍と続いた。
　スタート直後にダークライが躓いたものの、態勢を立て直して先頭へ。ロックハンドスターは馬なりで2番手につけた。モエレフットライト以外は初の2000メートル。距離を意識してか、道中はかなりのスローペースとなった。
　向正面では、前を行く2頭を追って後続のジョッキーたちの手が盛んに動き出したが、ロックハンドスターの菅原勲騎手は持ったまま。3コーナーで先頭のダークライに並びかけると、4コーナー手前では馬なりで先頭へ。直後に中団から上がってきたモエレフットライトが馬体を併せようと迫ったが、並ぶ間もなく突き放した。結局、一度も追うことなく7馬身差の圧勝劇。2着にはモエレフットライト、2馬身差の3着にはサクラエルセダンが入り、4着にはさらに10馬身差をつけるという、力の違いを見せつける結果となった。
　ゴール直後、馬が勝手に馬場の出入口へ向かおうとして、鞍上の菅原勲騎手がバランスを崩すハプニングがあったものの、それも余力が残っていたからこそのこと。これまでは先頭に立つと遊んでしまう癖があり、今年1月の金杯での敗戦もこれが原因。しかし今回は精神的な成長を見せ、早めに先頭に立っても後続をグイグイ引き離す、強いレースを見せた。
　「まだこの馬の力がどのくらいあるのか、正直わからないです」と菅原騎手。本当は中団から揉まれたり砂を被るレースをさせたいが、現状地元の相手では力が違い過ぎて難しいとのこと。
　「今後のために早めに先頭に立ってみたけど、きちんと走ってくれましたね。これから遠征で戦う予定ですが、強い馬と戦うと、ガクッと落ち込む馬と、なにくそ！と強くなる馬がいる。楽しみと不安が半々だけど、そこでもう一段強くなって、全国で活躍できる馬に成長してほしいです」
　名実共に“岩手の星”となったロックハンドスターは、これで11戦8勝。この後は全国に挑戦して、どんな輝きを見せてくれるだろうか。