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クラスターカップ~日本テレビ盃(第91回)

クラスターカップJpnⅢ

 ブルドッグボスは、スタートで出負けしましたが、最内枠で馬群に揉まれるとよくないので、仕掛けて行きました。それでもあまり無理することなく先行2頭の直後につけることができたのがよかったです。すぐに抑えての追走でした。最内枠だったのでラチ沿いから位置取りを上げて行けましたが、もし中ほどの枠で出遅れていたら、あれほどスムーズには前に行けなかったかもしれません。4コーナー手前あたりでは追い通しだったので、どうかと思いましたが、ゴール前で伸びてよく差しました。盛岡の長い直線だからよかったのかもしれません。強いレースをしました。
 ラブバレットは、逃げたサイタスリーレッドをぴたりと2番手でマークして、直線では先頭に立ちかけました。逃げ馬を負かしに行ってのレースですから、これでうしろから来られて負けたのでは仕方ありません。
 逃げたサイタスリーレッドは、ラブバレットにぴたりとマークされて厳しいレースになりました。

テレ玉杯オーバルスプリントJpnⅢ

 クラスターカップで3着に負けていたサイタスリーレッドですが、ここでは強いレースで巻き返しました。スタートもよかったし、道中も他馬にからまれることなくマイペースで行けて、スムーズに逃げられました。休み明けのクラスターカップを使ったことで、今回は馬の走りがよくなっているように感じました。コースを知っている戸崎騎手もさすがにうまく乗りました。
 レーザーバレットは、中団追走から3、4コーナーでラチ沿いからするすると位置取りを上げてきましたが、これがよかった。4コーナーでは無理せず3番手まで押し上げて、直線ではうまく前も開きました。得意のコースということもあったと思いますが、9歳でもよく走っています。
 ブルドッグボスはスタートで躓いたのが残念でした。クラスターカップでも出遅れましたが、そのときは無理することなく、すんなりと位置を取れていました。今回は気合を入れていって少し無理をしたので、それで最後の伸びを欠いたと思います。気合を入れたぶん、向正面で掛かるような場面もありました。互角にスタートを出て、同じような位置をとれたのであれば、もう少しきわどいレースになったかもしれません。
 1番人気に支持されたリエノテソーロは、3、4コーナーでは手応えよく位置取りを上げてきましたが、直線では伸びませんでした。今回は初めての古馬との対戦であり、これから使われてよくなってくるでしょう。

日本テレビ盃JpnⅡ

 アポロケンタッキーは大きな馬なので、外枠に入ったのがよかったです。馬体のある馬はダッシュがあまりつかないので、外枠なら内の馬の様子を見ながら徐々に位置を取りにいくことができます。それでスムーズに3番手を取ることができました。中ほどの枠だと、馬群に包まれて位置をとりに行くのが難しくなります。ゴール前で追い比べから抜け出せたのは、外枠からスムーズに競馬ができたことが大きかったと思います。
 サウンドトゥルーは、前半は前3頭とは離れた位置からの追走でした。向正面で一気に仕掛けて3コーナー手前で前3頭の直後につけましたが、もう少し我慢してもよかったと思います。
 中央の4頭はゴール前接戦になって、いいレースをしました。どの馬も、これで負けたら仕方ないというレースをしたと思います。今回はアポロケンタッキーが大外枠に入ったことが幸運でした。枠順が違っていたら、また違う結果になったかもしれません。

佐々木竹見(ささきたけみ)
元川崎競馬所属騎手。地方競馬通算7,151勝という世界歴代6位(当時)の勝ち鞍を挙げ、2001年7月8日に騎手を引退。
引退後も2012年3月までNAR地方競馬全国協会参与として後進の指導にあたる等、地方競馬の発展に大きな役割を果たし続けている。