浅野靖典の全国馬美味(ウマウマ)行脚」地方競馬にまつわる「ウマいもの」を毎月ご紹介!
“鉄人”佐々木竹見の見解」佐々木竹見元騎手がダートグレード各競走を“鉄人”の目線で鋭く解説!
高橋華代子の(続)気になるあの馬は…」引退後や転厩した名馬の近況を愛あふれる文章でご紹介!
REWIND 90's」当時の写真や映像を交えて90年代の名勝負を振り返ります!

マリーンカップ~かしわ記念(第89回)

マリーンカップJpnⅢ

 ホワイトフーガは、3番手からの追走でしたが、2コーナーから向正面では掛かるような場面もありました。ただそれも以前ほどではなく、今回は58キロを背負っていて、斤量を背負うと折り合いがつく馬もいるので、そういう意味ではこの馬はある程度斤量を背負っていたほうがいいのかもしれません。直線での伸びは、あらためて力の違いを見せました。今回は外枠に入ったのもよかったと思います。スタートがあまりよくなくて、それでも内の馬を見ながら、じわじわと位置取りを上げて行くことができました。もし内枠に入って出遅れていれば、馬群に包まれてしまうか、気合を入れて行かせようと思えば、おそらく掛かって行ってしまったと思います。
 ララベルはマイペースの逃げに持ち込んで、うまくレースを運ぶことができました。リンダリンダも2番手からで、3コーナーからはホワイトフーガも並びかけてきて、4番手以下とは差が開いて3頭の勝負になりました。ホワイトフーガは、折り合えさえつけば、さすがにこのメンバーでは能力が違ったというところを見せましたが、ララベル、リンダリンダも楽なペースで先行できたので、2着、3着に粘ることができました。この2頭は地方馬の中でもそれだけの力はあります。

かきつばた記念JpnⅢ

 トウケイタイガーは、思い切って逃げたのがよかったです。内のドリームキラリも行く気だったようですが、スタートでダッシュがつきませんでした。それにしてもトウケイタイガーの二の脚は速かった。1コーナーあたりでは外から競りかけられて、道中は平均的に速めの厳しいペースだったと思います。4コーナー手前から後続が懸命に追ってきましたが、トウケイタイガーの手応えはまだ楽なままでした。(全兄の)ソルテも3歳のころからいい馬体をしていましたが、トウケイタイガーもいい体をしてます。
 タムロミラクルの鞍上、川田騎手は向正面から追い通しでした。勝負どころの3コーナー過ぎで、人気のショコラブランの外から早目に仕掛けていけたのがよかったです。
 1番人気のショコラブランは、スタートはよかったですが、控えて5番手あたりからの追走でした。2コーナーから向正面あたり、少し仕掛けて前めの位置を取りに行ってもよかったと思います。ただ内に押し込められたような感じでしたから、3コーナーあたりでも外に持ち出すことが難しかったかもしれません。外に持ち出せたのは4コーナーあたりからで、直線では伸びてはいましたが、トウケイタイガーが止まりませんでした。なんとか3着を確保した感じでした。

かしわ記念JpnⅠ

 このレースは武豊騎手がうまく乗りました。コパノリッキーは1番枠だったので、他の中央馬の騎手はコパノリッキーを行かせまいと競り合って行く形になりました。逆にコパノリッキーはスタートがあまりよくなく、武騎手は慌てず控える形をとりました。他の中央5頭が前に行って、そこから少し離れての外めを追走しましたから、ちょうど砂をかぶらないところを行けました。前は少し速いペースだったと思いますが、下げたコパノリッキーにとってはちょうどいいペースになりました。3、4コーナーから、他の中央馬はみな追い通しになっていましたが、コパノリッキーは4コーナー手前で大外から一気に仕掛けました。そして直線では1頭だけ違う脚色で抜け出しました。スタートしてからの判断で下げて、道中のペースなど、それにしても見事な好騎乗でした。
 2着のインカンテーションも先行集団の5番手からの追走で、最後に脚を使ってうまく内を伸びてきました。
 モーニンは厳しいペースで逃げてどうかと思いましたが、上がり3ハロンも38秒台でよく3着に粘ったと思います。

佐々木竹見(ささきたけみ)
元川崎競馬所属騎手。地方競馬通算7,151勝という世界歴代6位(当時)の勝ち鞍を挙げ、2001年7月8日に騎手を引退。
引退後も2012年3月までNAR地方競馬全国協会参与として後進の指導にあたる等、地方競馬の発展に大きな役割を果たし続けている。