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エンプレス杯~名古屋大賞典(第70回)

エンプレス杯JpnⅡ

 ワイルドフラッパーは好スタートでしたが、内からエミーズパラダイスが行く気を見せたので先頭を譲りました。それでもペースは遅くならず、流れていました。3コーナーで先頭に立って、直線で追い出されるとあっという間に突き放しました。水の浮いた馬場状態もあって、実力差以上に着差は開いたかもしれませんが、それにしてもちょっと強すぎました。ダートの牝馬同士なら今のところこの馬を負かせる相手はいないのではないでしょうか。
 アクティビューティは完全に勝ち馬をマークしてというレースでした。3コーナー過ぎまで直後を追走していましたが、追ってからの脚が違いました。この馬なりには走っていると思います。
 南関東の馬も3コーナーあたりまではついていけましたが、ペースが上がってからはついていけませんでした。このレースを最後に引退したクラーベセクレタは、地方馬として唯一掲示板の4着。そのほかの馬がほとんど勝負になりませんでしたから、最後によくがんばったと思います。

黒船賞JpnⅢ

 勝ったセイクリムズンは、今回は2番人気でしたが、この距離にしてはややゆるい流れを、2番手から積極的にレースを進められたのが、ひとつ勝因となったのではないでしょうか。小回りコースの短距離戦では、やはり好位を早めに追走できる馬が圧倒的に有利です。
 1番人気に支持されたドリームバレンチノは、前半は後方からレースを進めましたが、向正面からまくっていって、3コーナーでは先行勢のすぐうしろに取り付きました。ただ外々を回ってきて、4コーナーでも大外を回すしかなかったですから、勝ち馬との差はその分だったかもしれません。
 ダイショウジェットは11歳でもよくがんばっています。
 セレスハントは距離ロスのない内々をうまく通ってきましたが、最後はあまり伸びませんでした。
 名古屋のクリスタルボーイは、好位の3番手につけて、最後まであまりバテることなく食い下がっていました。地方最先着の5着はがんばったと思います。

ダイオライト記念JpnⅡ

 ニホンピロアワーズは3~4番手の外を追走しました。トウショウフリークが直線でも粘るところ、伸びてきたのはこの馬だけで、1頭だけ力が違った感じでした。大事に間隔を開けながら使われていることでも、結果につながっていると思います。
 トウショウフリークは、川崎記念のときは後続を離しての逃げでしたが、今回は引きつけての逃げで、最後にニホンピロアワーズにつかまったのは仕方ありませんが、武騎手はうまくスローペースに持ち込みました。
 2番手を追走した地元のサミットストーンが3着に粘りました。地方同士の重賞なら勝ち負けのレースができる力はありそうです。
 ムスカテールは3番手の絶好位につけて、川崎記念のレースぶりならと思って期待しましたが、3コーナーで手ごたえが一杯になって、直線ではまったく伸びませんでした。向正面でゴールドバシリスクに内に入られていまいましたが、あれがなけれはもう少しいいレースはしていたかもしれません。

名古屋大賞典JpnⅢ

 ダノンカモンは行く馬を行かせて3番手からでした。何といっても54キロは有利でした。不良馬場もこの馬にはよかったかもしれません。小回りコースだけに、早め早めに進めて、後続勢に脚を使わせたのもよかったと思います。
 ソリタリーキングは、ダノンカモンを前に見る位置から、直線伸びてはきましたが、最後は58キロが堪えた感じです。淡々とした流れになったので、この斤量で追い込むのは難しかったと思います。
 オオエライジンは内の絶好位を追走していましたが、あまり伸びはありませんでした。脚の使いどころが難しいのかもしれません。
 サイモンロードもスタートダッシュがいい馬で、4コーナー手前までは楽に逃げていましたから、もう少し粘るかと思いましたが残念でした。この馬には少し距離が長かったかもしれません。

佐々木竹見(ささきたけみ)
元川崎競馬所属騎手。地方競馬通算7,151勝という世界歴代6位(当時)の勝ち鞍を挙げ、2001年7月8日に騎手を引退。
引退後も2012年3月までNAR地方競馬全国協会参与として後進の指導にあたる等、地方競馬の発展に大きな役割を果たし続けている。