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エンプレス杯~黒船賞(第76回)

エンプレス杯JpnⅡ

 アムールブリエは、他の中央馬を見ながら4番手からの追走でした。勝負どころの3コーナーあたりで、あっという間にワイルドフラッパーの直後につけたのは、やはりそれだけの力があってのことでしょう。4コーナー手前あたりでは、まだ楽な手ごたえだったワイルドフラッパーと比べると、あまり手ごたえはよくないようにも見えましたが、直線での脚色がまったく違いました。これから牝馬同士なら相当な活躍ができるのではないでしょうか。
 ワイルドフラッパーはマイペースで単独の逃げに持ち込み、3~4コーナーあたりでも手ごたえは楽なままでしたが、直線でアムールブリエに並ばれると抵抗できませんでした。これが引退レースで、休み明けのぶんもあったかもしれません。今回、乗替りとなった森泰斗騎手には残念な結果でしたが、誰が乗ってもこれ以上の騎乗はなかったと思います。相手が強かったです。
 アクティビューティは、逃げたワイルドフラッパーをぴたりとマークしていきましたが、3コーナー過ぎで手ごたえがなくなってしまいました。8歳ということもあるのでしょう、一時期の勢いにはないようです。
 地方勢では川崎に転厩初戦となったアスカリーブルがなんとか5着に入りましたが、中央勢が次から次へと強い馬が出てくるのに対して、最近の地方馬には、それに対抗できるような馬がほとんどいなくなってしまったのが残念です。

ダイオライト記念JpnⅡ

 クリソライトの武豊騎手は、おそらくハナに行こうと考えていたと思いますが、外からアウトジェネラルが行ったので控えて2番手からになりました。平均ペースでしたが、それでも引っ張りきれないような手ごたえでしたから、向正面で早めに先頭に立ちました。直線を向いて追い出されると、後続の脚色を測りながら、余裕があっての勝利でした。このメンバーでは実力を発揮できれば力が違いました。
 2着は、直線でアスカノロマンをとらえたトウシンイーグルでした。5番手あたりからの追走で、終いの脚を生かすいい競馬をしたと思います。7歳ですが、まだこれからよくなってくるように思います。
 地方最先着はドラゴンエアルの4着でした。好位のうしろを追走して、2着争いからは少し離されましたが、よく粘ったと思います。昨年3歳のときより確実に力をつけていて、地方同士の重賞なら相当やれるのではないでしょうか。
 1番人気のサミットストーンは7着でした。ダッシュ力があって、行ければ前にというようにも見えましたが、クリソライトをマークするように3番手からでした。着狙いならもっと上の着順もあったと思いますが、立場的に勝ちに行く競馬をしなければならず、最後はバテてしまいました。東京大賞典、川崎記念で強い相手と対戦してきたという反動もあったかもしれません。

黒船賞JpnⅢ

 地方の交流重賞初参戦となったダノンレジェンドは、やや早めのペースを道中は3番手から、楽な手ごたえで追走していました。斤量差はありましたが、ドリームバレンチノを寄せ付けずの完勝でした。今後も地方の短距離で活躍するのではないでしょうか。
 ドリームバレンチノは2着でしたが、59キロを背負ってということでは、特に短距離では、馬は堪えます。休み明けにしてはよく走っていると思います。
 兵庫のタガノジンガロは、最後直線でよく伸びてきました。こういうレースは思い切って2、3番手で先行していくか、流れが速ければうしろに下げて終いの脚を生かすか、どちらかでしょう。3着でしたが、持ち味を生かすレースをしました。
 1番人気になったワイドバッハは、小回りコースで苦労していたようです。後方を追走して、最後も伸びませんでした。武蔵野ステークスを勝っているように、府中のような広いコースでこそという馬だと思います。



佐々木竹見(ささきたけみ)
元川崎競馬所属騎手。地方競馬通算7,151勝という世界歴代6位(当時)の勝ち鞍を挙げ、2001年7月8日に騎手を引退。
引退後も2012年3月までNAR地方競馬全国協会参与として後進の指導にあたる等、地方競馬の発展に大きな役割を果たし続けている。