dirt
2015年3月17日(火) 高知競馬場 1400m

実績馬を振り切って重賞連勝
目指すはダート短距離の頂点

 黒船賞JpnⅢを振り返ると、2008年は財政難のために休止となり、2011年には東日本大震災の3日後という日程で中止になるなど、波乱の歴史を重ねてきた。高知競馬は一時期、1日平均の売上げが4千万円ほどにまで落ち込んだこともあり(2008年度)、しかしその後の通年ナイター開催の導入や、地方競馬IPATでの馬券発売と開催日程の調整などにより、2014年度(2月までの集計)は1日平均の売上げで1億4400万円余りにまで、劇的と言っていいほどの回復を見せた。
 そんな好調ぶりと連動しているのかどうか、17回目を迎えた黒船賞JpnⅢは、過去最高とも言えるメンバーとなった。JBCスプリントJpnⅠのタイトルがあるタイセイレジェンドにドリームバレンチノ。セイクリムズンにはこのレース4連覇がかかる。地方勢も、ダートグレード勝ちのある兵庫のタガノジンガロをはじめ、ほかにもダートグレード入着馬がいて、地元高知のサクラシャイニーも2走前の兵庫ゴールドトロフィーJpnⅢで3着に好走しているだけに期待された。
 そうした実績馬が揃った中で、勝ったのはJRA勢ではもっとも若い5歳のダノンレジェンドだった。
 逃げたのはダッシュよく飛び出した地元期待のサクラシャイニーで、同じく高知のマウンテンダイヤが大外枠から押して行った。ここ3戦続けて逃げていたダノンレジェンドだが、スタートダッシュは必ずしもいいほうではなく、今回もやや出負けした感じのスタートで、それでも両脇から挟まれそうなところを二の脚を使って好位3番手の外につけた。
 3~4コーナー中間、ダノンレジェンドが絶好の手応えで先頭のサクラシャイニーをとらえにかかると、ドリームバレンチノもぴたりと追走してきた。そして4コーナーから追い出されたダノンレジェンドは、直線を向いてドリームバレンチノを振り切ると、そのまま2馬身差をつけての完勝。中団から4コーナーで内を突いて進出したタガノジンガロがドリームバレンチノに半馬身差まで迫って3着。浦和のジョーメテオが4着に入り、地方のダートグレード実績馬も健闘。1番人気に支持されたワイドバッハは、後方追走はいつものことだが、地方の小回りコースに苦戦したようで5着だった。
 勝ったダノンレジェンドは、前走12番人気で逃げ切ったカペラステークスGⅢ以来3カ月ぶりの実戦ながら重賞連勝。管理する村山明調教師によると、以前は揉まれると力を出せないこともあったのが、3走前の準オープンを逃げ切ったときからブリンカーを付け、レースに集中できるようになったという。「最大目標のJBC(スプリント)に出るために、次走予定の東京スプリント、さらに北海道スプリントカップなど、ひとつも落とさずにいきたいです」と、村山調教師は力強く語った。
 そして地方勢は、地元のサクラシャイニーこそ逃げて見せ場をつくったまでだったが(9着)、8歳のタガノジンガロ、9歳のジョーメテオが、兵庫ゴールドトロフィーJpnⅢに続いて掲示板内に好走。このメンバー相手でも、あらためて互角に戦える力があることを示した。

丸田恭介騎手
休み明けの感じはありましたが、それでこんなに走れて、控える余裕があるのもすごい。前回よりスタートはよくなかったですが、馬が進んで行っていい位置がとれました。(後続が)追いついてくる感じはなかったので、余裕を持って乗れました。もっと大きいところでも頑張ってほしいです。
村山明調教師
根岸ステークスも考えましたが、レースの選択が成功しました。ハナを切ってほしかったんですが、スタートがあまりうまくないので、あの位置も仕方なかったのかなと。それでも冷静に乗ってくれたと思います。もともと能力があったのが、年齢を重ねたことで力を発揮できるようになったと思います。



取材・文:斎藤修
写真:桂伸也(いちかんぽ)