日本の競馬場はいまだどこも無観客開催ではあるものの、ホッカイドウ競馬では、この前日17日から専用場外発売所Aibaでの発売・払戻が再開された。他の地区でも順次場外発売所が再開されつつあり、感染防止対策に従いながらではあるものの、徐々に競馬も日常に戻ることが期待される。
一冠目の北斗盃で1番人気に支持されながら6着に敗れていたアベニンドリームだったが、前走古馬相手の特別戦を圧勝。ここはあらためて単勝1.6倍の断然人気に支持され、その期待に見事こたえて見せた。
とはいえ楽に勝ったわけではない。北斗盃では先行争いで苦しめられたシンボに、今度は最後の直線で苦しめられた。
逃げたのはシンボで、2番手にコパノリッチマン。アベニンドリームは北斗盃のときのように競りかけてはいかず、今回は4番手に控えての追走となった。
1000メートル通過が1分6秒台後半というゆったりした流れで、道中はほとんど隊列が変わらないまま、4コーナー手前でアベニンドリームが手応え十分のまま前の2頭をとらえにかかった。
そのまま直線ではアベニンドリームが突き抜けるかに思えたが、内でシンボが食い下がった。馬体を離したままの追い比べはゴールまで続き、アベニンドリームがシンボをねじ伏せるように3/4馬身差をつけての勝利。
3馬身差の3着にはコパノリッチマンが粘った。中央未勝利から転入してここまで3連勝はすべて1200メートル戦だったが、中央時代はダート1800メートルも走っていたように、距離延長にも対応できるところを見せた。
北斗盃を制したレッドカードは道中で勝ち馬と同じような位置を追走していたが、距離延長が堪えたようで5着だった。
勝ったアベニンドリームの桑村真明騎手はレース後、「折り合い」という言葉を何度か繰り返した。3歳初戦と北斗盃ではチークピーシズをつけていたが、前走の古馬戦からはブリンカーに変えるなど試行錯誤。そうしたことでの精神面の成長に加え、距離延長も味方につけ大一番で結果を出した。
2歳時は、川崎に遠征した鎌倉記念では逃げたインペリシャブルをクビ差とらえきれず2着、北海道2歳優駿JpnⅢでは逃げたキメラヴェリテを2番手で追走したが1馬身半差で振り切られ2着。あと一歩のところでタイトルを逃してきたが、“ダービー”の舞台で重賞初制覇となった。
管理する角川秀樹調教師と桑村騎手のコンビは、この前日にもクオリティスタートでヒダカソウカップを制しており、2夜連続での重賞制覇。北海優駿は2016年にスティールキングで制しており、ともに北海優駿は3勝目。
アベニンドリームの母アベニンプラナスも現役時の大半を角川厩舎の所属として走り、門別で挙げた13勝のうち12勝を桑村騎手でマークしていた。重賞には縁がなかったものの、母をよく知るコンビでの“ダービー”制覇ともなった。
Comment
桑村真明 騎手
2000メートルなので、とりあえず折り合いをしっかりつけられるように、あとはいつでも動き出せる位置で乗れていたのでよかったです。楽に交わせるかと思っていたんですが、シンボが粘り強くて最後までわからなかったです。最後に遊んでしまうところもあるので、これからもっとよくなると思います。
角川秀樹 調教師
前走から中1週しかなかったですが、この馬にはそれくらいがよかったような気がします。スローペースのわりに前走より折り合いはついたと思います。最初から三冠を意識していたのが、北斗盃でああいう結果(6着)になったのは残念ですが、あと一冠、そこに向けていい状態で出走させたいと思います。