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ダービーシリーズ2020

各地のダービー競走をシリーズ化したダービーシリーズが、本年も5月31日(日)の九州ダービー栄城賞から6月18日(木)北海優駿(ダービー)までの8競走で行われます。

昨年は、ホッカイドウ競馬三冠を達成するなど2019年シーズン7戦全勝で、NARグランプリ最優秀3歳牡馬に輝いたリンゾウチャネル他、今年の川崎記念(JpnI)で2着に好走したヒカリオーソ、佐賀三冠を達成したスーパージンガなど、多数の活躍馬を輩出しました。

3歳ダートクラシック路線の頂点である7月8日(水)のジャパンダートダービー(JpnⅠ/大井)に向けて、全国の3歳馬たちが鎬を削る「ダービーシリーズ2020」にご期待ください。

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レース名 実施日 競馬場 距離 地区
九州ダービー栄城賞 5月31日(日) 佐賀 2,000m 九州
石川ダービー 6月2日(火) 金沢 2,000m 石川
東京ダービー 6月3日(水) 大井 2,000m 南関東
東北優駿(岩手ダービー) 6月7日(日) 盛岡 2,000m 岩手
東海ダービー 6月9日(火) 名古屋 1,900m 東海
兵庫ダービー 6月11日(木) 園田 1,870m 兵庫
高知優駿 6月14日(日) 高知 1,900m 全国
北海優駿(ダービー) 6月18日(木) 門別 2,000m 全国
  • 第21回
  • 兵庫ダービー

6.11 (木) 園田 1,870m

迷わず逃げてマイペースに持ち込む
 人気馬を振り切り念願のダービー制覇

近畿地方は前日に梅雨入りが発表され、この日の園田競馬場も雨。兵庫ダービーの直前、その雨脚は強くなり、その後の最終レースでは不良馬場にまで悪化。そうした馬場状態と枠順は、少なからず結果に影響したと思われる。

注目は先行争い。菊水賞まで重賞4連勝がすべて逃げ切りだったステラモナークがどう出るか。果たして、ディアタイザンが好ダッシュを決めて先頭に立つと、ステラモナークは競りかけず2番手に控えた。前走のじぎく賞では先行争いがオーバーペースとなって5着に敗れていただけに、無理な先行争いは避けたのかもしれない。

最初の3コーナーまでに隊列はほぼ決まり、スタンド前に入るとディアタイザンの杉浦健太騎手は、直後のステラモナークの出方を確認しながらペースを落とした。結果的にこのあたりでほぼ勝負はついていたのかもしれない。

向正面半ばからペースアップ。ステラモナークもぴたりと追走し、3番手以下との差が徐々に広がった。

そして3コーナー過ぎ。ステラモナークがディアタイザンを外からとらえにかかっての一騎打ち。4コーナーでステラモナークがやや外に膨れたところでディアタイザンが再び差を広げた。しかしステラモナークも食い下がり、ゴール前で差を詰めたものの、ディアタイザンが半馬身差で振り切っての勝利となった。

離れてピスハンドとガミラスジャクソンが3着を争っていたところ、道中は後方から2番手だったイチライジンが向正面からのロングスパートで直線大外から一気に迫り、わずかにとらえて3着。2着からは5馬身差。ハナ差4着にピスハンド、半馬身差5着にガミラスジャクソン。

1~4番人気馬が順に2~5着に入線。それら人気上位馬を、7番人気のディアタイザンがまとめてしりぞけた。

先行有利な不良に近い重馬場だが、「馬場状態は関係なくこなしてくれるので、心配はしてなかったです」と杉浦騎手。「前走4コーナーで物見をするような感じがあったので、初めてチークピーシズをつけてみたんですが、それがうまくいきました」と碇清次郎調教師。たしかに4コーナーをスムーズに回れたところでステラモナークとの差を広げることができた。一方、ステラモナークの下原理騎手は、「理想でなくとも2番手は考えていた。距離は1400メートルのほうが合っている」と。枠順も含め、いくつかの要素がディアタイザンに有利だったことが、最後のわずか半馬身だった。

“ダービー”初勝利の杉浦健太騎手は、ゴール後、そして検量室前に戻ってくるまで、何度も手を高く挙げてガッツポーズ。2016年の兵庫ダービーでは1番人気に支持されたマイタイザンで7着と悔しい思いをしていた。しかしそのマイタイザンでは秋の西日本ダービーを勝ち、その後もずっと杉浦騎手が手綱をとり、逃げにこだわって古馬重賞でも5勝とタイトルを重ねている。マイタイザンによって磨いた“逃げ”の技を、ダービーの舞台で存分に発揮する勝利でもあった。

  • 取材・文
  • 斎藤修
  • 写真
  • 桂伸也(いちかんぽ)

Comment

杉浦健太 騎手

人気馬が全部外枠だったので、主張してハナに行こうと思っていました。前半からペースが落ち着いて、リズムよく走れていたので、最後もしっかり伸びてくれると思って乗っていました。ダービーには特別な思いがあって、何より“タイザン”の馬で勝てたのがうれしいです。

碇清次郎 調教師

逃げたほうが能力を発揮できる感じなので、思い通りハナを切ることができて、あとは息がどれだけもつかと思って見ていました。まだゆるいところや注文をつけるところはありますが、菊水賞のあとに一息つけたのが成長を促したと思います。馬の状態を見て、秋まで休ませるか、オーナーと相談します。