岩手競馬は3歳クラシックを再構築。昨年は復活した東北優駿(岩手ダービー・水沢6月)、ダイヤモンドカップ(水沢8月)、不来方賞(盛岡9月)だったが、今年はダイヤモンドカップ(水沢5月)、東北優駿(岩手ダービー・盛岡6月)、不来方賞(盛岡9月)が新三冠競走へ。
一冠目の小回り1600メートル水沢から、二冠目は広い盛岡2000メートルに舞台が替り、直線で2度の坂を登ることからスピードだけでなくスタミナも必要となるタフなコース。
一冠目を超ハイペースで2着フレッチャビアンカに9馬身差つけて圧勝、昨年度の岩手2歳最優秀馬にも輝いたグランコージーが単勝2倍の1番人気。昨年7月の2歳新馬・ファーストステップを出走取消し、今年3月に仕切り直しとなったデビュー戦から負けなし3連勝のマイランコントルが3.6倍の2番人気と、この2頭が人気を集めることに。北海道、南関東で4勝マークしている転入馬ピアノマンが6.3倍の3番人気。奥州弥生賞、スプリングカップを制したフレッチャビアンカは、ダイヤモンドカップ2着でグランコージーと勝負付けが済んだと思われたのか、11.2倍の5番人気と意外なほどに人気を落としていた。
調教中の負傷で村上忍騎手のお手馬だった千葉幸喜厩舎のマイランコントルは坂口裕一騎手に、フレッチャビアンカは高松亮騎手に乗替り。ともに初騎乗となる2人がどう乗るかも興味津々でレースへ。
スタートから楽にグランコージーが先手を奪うのかという感じもあったが、最初の坂を登ってからゴール板過ぎにかけて気合いをつけたマイランコントルが内から、中にグランコージー、外からマルケイヘイローも加わって、岩手3歳の2000メートル戦とは思えないほどペースが一気に上がり、前半3ハロン35秒台のハイペース。自身もストップオッチを見て、「速い速い、これで残れるか」と記者室で声を出した。ラップは12.0-11.6-12.1-13.5-12.9-12.5-13.0-13.0-13.1-13.6。残り1000メートルではピアノマンが先行勢にピタッと取りつき、フレッチャビアンカは内々を回って先頭から0秒8差の6番手へ。
3コーナーでレースが動く。マイランコントルを競りつぶしに行ったグランコージー、つれてピアノマンが2番手へ。フレッチャビアンカは楽な手応えで4番手進出。どう見ても4コーナーで前2頭には手応えがなく、その後ろに付けたフレッチャビアンカは余裕の手応え。直線では坂を登ってピアノマンを一気に抜き去り着差以上に強い勝ちっぷりで岩手ダービーのタイトルをゲット。ダイヤモンドカップの雪辱を果たす結果となった。
「怪我で休んでいる村上忍騎手からも丁寧にアドバイスをいただけたので、自分は本当に馬を信じることができました。それも馬の力があってこそのことだと思います」と高松騎手。
1馬身差で2着となったピアノマンの山本政聡騎手は「グランコージーがタフな馬なのは分かっていたが、自分の馬も人気していたからね。最後は渋くなるかもとは思ったけどあそこで攻めていくしかなかった。3歳馬の2000メートルの戦いは底力の勝負でもあるから。でも最後は勝ち馬の瞬発力にやられてしまった」
そこから1秒8差で3着となったレールガンの高橋悠里騎手は「末脚勝負のつもりでいたものの序盤あまりにも進まなくて気合いをつけながらの追走になりましたが、長く脚を使ってくれる馬だからそれほど心配はしていませんでした。よく頑張ってくれたと思います」
Comment
高松亮 騎手
位置取りは指示通りで、思っていた通りの位置でした。人気馬を前に見る形になって3~4コーナーではグランコージー、ピアノマンの後ろでしっかり脚を溜めることができた。これなら直線に向いたら弾けてくれるなと。抜け出してから遊ぶくらいの余裕がありましたし、強い競馬をしてくれたと思います。
千葉幸喜 調教師
勝つならこの形しかない、勝つなら最後の瞬発力でと思っていました。鞍上にもこういう形で馬の力を引き出してほしいとお願いしてもいましたので、思っていた通りのレース。馬は想像以上の力を発揮してくれたのでは。この勝利は本当に感慨無量ですね。