2021年2月5日(金)
第111回 クイーン賞~川崎記念
クイーン賞 JpnⅢ
サルサディオーネはゲートを出てのスピードが違います。内に切れ込んで行って100mくらい行ったあたりで早くも先頭に立って、あとは楽なペースに持ち込みました。ほかに何が何でもという馬がいると難しくなりますが、すんなりハナに立って自分のペースに持ち込んだときは強い。追いかけた馬たちはみんな失速して、2~4着は中団よりうしろから来た馬たちだったので、今回はサルサディオーネの強さが際立っていました。
2着のアッシェンプッテルは中団追走から3~4コーナーでは大外を回って、直線では1頭だけ勝ち馬との差を詰めてきました。最後は2馬身半差でしたが、3着に8馬身差をつけましたから、負けたとはいえこの馬も強いレースをしました。
サルサレイアは51kgというハンデもありましたが、4コーナーでもまだ後方の位置からよく伸びたと思います。今後、地方同士の重賞ならチャンスはあるかもしれません。
全日本2歳優駿 JpnⅠ
アランバローズが強かった。2着に5馬身差、3着の中央馬にはさらに差をつけて、これほど大きな差をつけて地方馬が勝つこともめずらしいのではないでしょうか。ただ好スタートを切ったとはいえ、すぐに内に切れ込んで行ったのはやや強引だったように思います。人気のデュアリストが一瞬、手綱を引くような場面がありました。内に行く馬がいればおそらく控えたでしょうが、アランバローズはゲートを出てそれほど仕掛けなくてもハナに立てるスピードがあるからということもあったでしょう。向正面に入っても行きたがっていましたが、左海騎手はなんとかなだめました。直線でもほとんど追われることなく独走となりました。1分40秒7という時計も速い。あとは折り合いがつくようになれば、クラシック戦線での活躍が楽しみになります。逃げ馬でも、溜め逃げができる馬なら乗りやすいですが、アランバローズのように馬がみずから行きたがるような馬は、いかに折り合いをつけるかになります。
今回は2番手から早めに進めたランリョウオーは、しっかり折り合っていました。やや線が細い感じはしますが、終いにいい脚を使うタイプなので、距離が延びてさらにいい競馬をすると思います。
東京大賞典 GⅠ
オメガパフュームは、いつもならもっとうしろからの追走ですが、相手が楽になったこともあって5番手につけて行きました。スローペースもあって、今回は積極的に前めの位置につけて、早めに前をとらえに行ったのがよかったと思います。直線を向いて先頭に立ったカジノフォンテンがいい目標になって差し切りましたが、早めに行ったぶん、最後の伸びはじりじりという感じでした。ただタイム的にはスローペースもあって2分6秒9と、GⅠにしてはちょっと遅いタイムでの決着になりました。
カジノフォンテンは強くなりました。ダッシュ力もあって、スローペースでも2番手で折り合いがついたのがよかった。直線を向いたところでは勝つような勢いでした。張田昂騎手は勝ったと思ったのではないでしょうか。今後は中央馬相手でも楽しみになります。
期待されたモジアナフレイバーは4番手あたりの好位につけて行きましたが、直線では見せ場がありませんでした。ドバイに行ったり盛岡に行ったりで、その反動はあったかもしれません。
川崎記念 JpnⅠ
カジノフォンテンは、スタートして先頭に立つとすぐに抑えました。2番手のダノンファラオが競りかけてこなかったので、道中はゆったりしたペースに持ち込むことができました。耳を立てて遊びながら走っている感じで、折り合いがついて、気持ちよく走っています。追いかけて来る馬もいなかったので、楽なペースで運べました。ハナに行ってもそれほど掛かって行くこともないし、こういう馬は乗りやすいと思います。4コーナー手前でも手ごたえはまだ楽なまま。対して、追走してきた3頭、ダノンファラオ、タービランス、オメガパフュームは懸命に追っていて、手ごたえがまったく違いました。行ければ行くし、行く馬がいれば控えることもできるし、自分でペースをつくれるところがカジノフォンテンの強みです。去年1年でかなり力をつけて、今の南関東のマイル以上の路線では一番強いかもしれません。541キロと馬格もあるし、バランスがとれていて、すごくいい馬です。
スタート後は中団よりうしろだったオメガパフュームは、1周目のスタンド前で3、4番手まで位置取りを上げてきました。川崎の2100mはペースが緩むので、これは正解です。このペースで後方にいたのでは届きません。それでも最後はなんとか2着を確保したまで。オメガパフュームには、これ以上のレースはできなかったと思います。前が競り合ってペースが速くなれば差し切れる可能性もあったかもしれませんが、そうはなりませんでした。
オメガパフュームも、ダノンファラオも、勝ち馬との差を詰めることができず、これで負けたのでは仕方ありません。思い切ったレースをしたカジノフォンテンと張田昂騎手を褒めるべきでしょう。