早いもので2020年もあと1カ月。船橋競馬場で実施された第66回クイーン賞JpnⅢには、兵庫や東海地区からも参戦。上位人気は拮抗し、中央のオープンで好走してきたアッシェンプッテルが3.3倍で単勝1番人気。同じく3倍台のオッズには、メモリーコウやサルサディオーネが並んだ。
そして、昨年の関東オークスJpnⅡの勝ち馬ラインカリーナが浦和への移籍初戦を迎え、兵庫で活躍中のステラモナークが初の南関東への遠征ということでも、興味深い一戦になった。
終わってみれば、出走メンバー中で唯一古馬のダートグレードウイナーであるサルサディオーネが、トップハンデ55キロを背負い貫禄勝ちを収めた。
「前走のJBCレディスクラシックはリズムよく走っている割には終いがだらしない感じでしたが、今日は終始手応えよく非常にリラックスして走ってくれました。気を抜くところもあるので最後まで油断はできませんでしたが、3コーナーくらいでは大丈夫かなという雰囲気は持っていました」と、騎乗した矢野貴之騎手。
サルサディオーネは予想通り逃げると、2番手にはステラモナーク、3番手にパールデューが続き、ラインカリーナは内の4番手から追走。
先頭から後方まで固まり加減だったが、向正面に入ると縦長の隊列となった。最後の直線ではサルサディオーネが独走となり、中団から脚を伸ばしてきた2着のアッシェンプッテルに2馬身半差をつける完勝。3着がサルサレイア。パールデューは鼻出血のため直線で競走中止した。
勝ちタイムは、1分51秒4(稍重)。この開催から船橋は本馬場の砂の全面入れ替えを行い新しい砂での実施となったが、サルサディオーネはここ10年でもっとも速い時計を叩き出した。今年から南関東競馬の一員になり、報知グランプリカップで念願の重賞初制覇を飾ると、マリーンカップJpnⅢ、クイーン賞JpnⅢと、今年だけで3つ目のタイトルを獲得。
「乗った感じは跳びも精神的にも安定していて、女馬らしさはあまりないです。落ち着いて競馬に挑めているのは大きいですね。初めて乗せてもらった頃よりも、確実にテンのスピードも速くなっているし、6歳でもレースぶりは成長しています。牝馬のレースに関しては、JRA勢とは差がないと思っているので、またこういう舞台で活躍してもらいたいです」と矢野騎手。
なお、3着サルサレイアはサルサディオーネの半妹。両馬の母は2002年の東京プリンセス賞を制したサルサクイーン。しかし志半ばに昨年死去し、娘たちは忘れ形見になる。姉妹そろって重賞に出走するのもなかなかできないことだが、ともに11月のJBCレディスクラシックJpnⅠに出走し、今回は1着、3着。今後の具体的な予定は未定ということだったが、来年も姉妹そろって母に捧げる活躍をして欲しい。
Comment
矢野貴之 騎手
前回はコーナーでトモの手前だけを何回も替えるような素振りもありました。今日の感じでは、返し馬から前走以上の雰囲気だったので、馬自身も多少楽になった部分もあったのか、走りが違いました。左回りは手前の替え方もスムーズですが、僕自身は右回りでもやれる力のある馬だとは思っています。
堀千亜樹 調教師
今日はトップハンデだったので気になりましたが、力以上に頑張ってくれたと思います。逃げがベストなので気持ちよく走らせてください、と矢野騎手にお願いしたら、スタートも良くて気分よく走ってくれました。4コーナーを回る時も軽いリズムで走れていたので、これなら勝てると思って見ていました。