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佐々木竹見元騎手がダートグレード各競走を“鉄人”の目線で鋭く解説!

2020年10月5日(月)

第109回 クラスターカップ~日本テレビ盃

クラスターカップ JpnⅢ

マテラスカイは好スタートを切りましたが、1番枠のヒロシゲゴールドが主張したので無理には行きませんでした。外の2番手なら砂をかぶることもないので、武豊騎手は行く馬がいれば控えることも考えていたのでしょう。もしマテラスカイが内枠だったら迷わず逃げていたと思います。

ヒロシゲゴールドも競りかけられずに逃げられたので最後まで粘っていましたが、1キロ重い55キロでも、やはりマテラスカイのほうが強かった。半馬身差ですが、着差以上の完勝です。レコードが出るような馬場もマテラスカイにはよかったと思います。

少し差はありましたが、ブルドッグボスは他の馬より4~5キロも重い59キロを背負って、よく3着に来たと思います。中団からの追走になりましたが、テンに無理して行けば最後までもたないし、前とは競り合わずに進めたのはよかったと思います。ペースが早くなれば、59キロを背負っての追走は決して楽ではありません。4コーナーでもコースロスがないように、外には持ち出さず馬群の中を抜けてきたのもよかった。59キロを背負って後半34秒0という上がりで伸びてきたのも、たいしたものです。

テレ玉杯オーバルスプリント JpnⅢ

勝ったサクセスエナジーは、内に行く馬がいたので、外枠でも難なく3番手の好位をとれたのがよかった。浦和の1400mは、逃げ馬なら内枠のほうがいいですが、前の馬を見ながら行く馬には、今回のような展開になれば、むしろ外枠はよかったと思います。58キロでも内を見ながら楽に追走することができました。58キロでこの勝ち方ですから、強いのはもちろんですが、今回は枠順にも恵まれました。

ベストマッチョはスタートダッシュが速く、ハナを取りそうな勢いでした。内がノブワイルドでなければ、楽に逃げられていたでしょう。最後、サクセスエナジーには2馬身差をつけられましたが、さすがに元中央のオープン馬です。これからも重賞での活躍が期待できそうです。

ノブワイルドは、スタート後の行きっぷりがいつもほどよくありませんでした。それでも内枠ですから逃げないわけにいかず、やや強引に逃げる形になりました。3コーナーで2頭から置かれたときは、そのまま下がってしまうかと思いましたが、最後に盛り返してきたのには驚きました。今回は内枠だったので無理に行きましたが、今度、外枠に入ったら、砂をかぶらな位置で、2~3番手くらいから行かせてみてはどうでしょう。

日本テレビ盃 JpnⅡ

このレースは3頭が競り合って、めずらしいくらいのハイペースになりました。

サルサディオーネが行くのはわかっているので、アナザートゥルースのルメール騎手は、早めに抑えて3番手からでもよかったと思うのですが。あの勢いで行ってしまうと1コーナーに入る手前で抑えても、すでに馬が行く気になっていますから抑えがきかなくなってしまいます。真ん中からダノンファラオも行く気になっていましたから、それもあって譲れなかったのかもしれません。1~2コーナーを回るあたりで相当脚を使ってしまっています。1000m通過が58秒6は、完全にオーバーペースです。アナザートゥルースは、3コーナー過ぎで先頭に立ちましたが、さすがに直線では一杯になりました。

ダノンファラオもスタート後の直線で無理した上に、向正面から早めに前を追いかけたことで、また脚を使ってしまいました。3コーナー過ぎまで追い出しを我慢すればよかった。そうすれば上位には残れた思います。

勝ったロードブレスは、3番手のダノンファラオからも離れて4番手。いいペースで追走していたので、3~4コーナーでは抜群の手応えで前をとらえにかかりました。三浦皇成騎手はずっと溜めていって好騎乗でした。

デルマルーヴルは終いに脚を使うタイプで、脚を溜めていましたから、最後に伸びてきました。中団よりうしろを追走していたストライクイーグルが3着まで来たということでは、いかに前半が速かったかということです。

佐々木竹見(ささきたけみ)

元川崎競馬所属騎手。地方競馬通算7,151勝という世界歴代6位(当時)の勝ち鞍を挙げ、2001年7月8日に騎手を引退。
引退後も2012年3月までNAR地方競馬全国協会参与として後進の指導にあたる等、地方競馬の発展に大きな役割を果たし続けている。