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特集

3歳秋のチャンピオンシップ 2018

3YO AUTUMN CHAMPIONSHIP

 本シリーズは、各地の3歳主要重賞競走を戦った有力馬が11月に実施されるダービーグランプリへと集結し、地方競馬の秋の3歳王者の座を争うもので、以下のカテゴリーに応じてボーナス賞金(馬主)が設けられています。

 今年は新たに「園田オータムトロフィー」が対象競走に加わり、またカテゴリーDとしてJBC競走への出走もボーナス賞金の対象となりました。

 なお、昨年は複数のカテゴリーの競走とダービーグランプリに優勝した場合は、高い方のボーナス賞金が適用され優勝回数は考慮されませんでしたが、今年は1,000万円を上限に、条件を満たすごとに200万円加算されることとなり、ボーナス賞金の面でも充実化が図られております。

 充実の秋、成長の秋、飛躍の秋など競走馬にとって大きな意味合いを持つ「3歳秋」を舞台に繰り広げられる熱戦にご期待ください。


3歳秋のチャンピオンシップ2018の総括はこちらです

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8.15(水)
黒潮盃

サラブレッド大賞典

9.2(日) 金沢競馬場 2,000m アルファーティハ
9.12(水)
戸塚記念

鞍上替っても石川ダービーの再現 作戦どおり1周目先頭から押し切る

 3歳秋のチャンピオンシップは、9月を迎えていよいよ全国でその争いが本格化する。
 金沢の今年の3歳世代は、レースごとに勝ち馬が変わる主役不在の混戦。シーズン当初は北日本新聞杯を大差で圧勝したノブイチが主役と見られたが、その後は自己条件で1勝した以外、差のある敗戦が続いている。石川ダービーを制したアルファーティハもMRO金賞では9着と大敗している。
 ファンの迷いはオッズにも表れていて、3歳牝馬同士の加賀友禅賞で2着だったペニテンテスが単勝1番人気で3.7倍。ノブイチ、石川ダービー2着のサノノツルギが差なく続いて、連勝系のオッズではこの3頭の三つ巴。重賞タイトルがないペニテンテス、サノノツルギには未知の能力が期待されたのだろう。
 互いに勝ったり負けたりとなっているのは、“内枠の逃げ馬天国”という、今年の金沢の馬場にも要因がありそうだ。重賞ともなれば勝ち気にはやるジョッキーたちが先行ラチ沿いを狙ってオーバーペースとなり、結果、後方に控えた馬に展開が向くということもある。
 5月の石川ダービーも意表を突かれたような展開だった。スタート後、向正面での先行争いを後方でやり過ごしたアルファーティハが、ペースが落ち着く1周目のスタンド前で一気にハナを奪い、そのまま押し切ったというもの。今回、アルファーティハは、そのときのレースを見事に再現する形で2つ目のタイトルを奪取した。石川ダービーと同じ2000メートルで、6つ通過するコーナーでのアルファーティハの通過順を見るとそれがわかる。石川ダービーが[7-3-1-1-1-1]、今回のサラブレッド大賞典が[6-5-1-1-1-1]というもの。
 しかし鞍上は替っている。石川ダービーで鞍上だった吉原寛人騎手が今回はエムザックヒーローに先約があり、指名されたのはデビュー5年目、目下金沢リーディング3位で、「今年はトップを狙う」と公言する中島龍也騎手だ。
 金田一昌調教師は、当日朝から中島騎手と作戦を練ったという。「吉原君の石川ダービーの騎乗をお手本に、(1周目の)4コーナーを回って直線を向いたら最後の直線のように思い切り追って先頭に立つように」と。中島騎手はまさにそのとおりのレースをした。1周目の3コーナー過ぎから気合を入れて行き、直線を向いてもほとんど追い通し。最初のゴール板を迎える前に、逃げていたペニテンテスを制してハナに立った。そこからは有利とされるラチ沿いをマイペースで逃げた。
 そして最後の直線、アルファーティハはラチ沿いで懸命に粘り込みを図った。前が速くなることを見越して後方待機から直線勝負に賭けた吉原騎手のエムザックヒーローが迫り、さらに中団追走から大外に持ち出したハーキマーダイヤが追い込み、ゴール前は3頭が馬場一杯に広がっての接戦。アルファーティハがハーキマーダイヤをハナ差でしりぞけ、3頭出しだった金田厩舎のワンツー。エムザックヒーローは1馬身差で3着だった。
 今年、西日本ダービーの舞台は金沢だが、残念ながら中央デビューのアルファーティハには出走資格がない。地元で何戦か叩いて3歳秋のチャンピオンシップ・ファイナルのダービーグランプリ(水沢)へ向かうという。
取材・文:斎藤修
写真:桂伸也(いちかんぽ)

コメント

中島龍也騎手

作戦どおりに1周目の直線から動きました。最後はとらえられてしまったかと思いました。少し遊ぶところがあると聞いていて、道中はたしかに遊ぎ遊びだったので、そのぶん最後まで脚が残っていたのかなと思います。直線は負けないように必死に追うだけでした。

金田一昌調教師

前走(MRO金賞)は抑えて馬の力が出せませんでした。太目もあったので、今回は絞って(マイナス13キロ)完璧でした。オーナーが秋田の方なので、水沢のダービーグランプリを目指したいと思います。2着のハーキマーダイヤは米倉騎手に絶対の信頼があったので、正直なところ同着で、と思いました。