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クローズアップ

当コーナーでは、地方競馬に関するイベントや注目レース等の気になる話題を写真と共にご紹介します。

所属を変えて結果を残したチャイヤプーンにボーナス

2018年12月28日

夏以降に充実を見せた馬たち

 2年目を迎えた『3歳秋のチャンピオンシップ』は、ファイナルのダービーグランプリが延期となったため足掛け5カ月というロングラン。お盆に行われた黒潮盃のレースハイライト冒頭には「東京都心はお盆の時期でも連日最高気温が35度前後の猛暑が続いている」とあり、クリスマスまであと2週間というダービーグランプリでは「馬場周辺に雪が残る中でのレースになった。気温は1度前後」と、季節の移り変わりを感じさせる。

黒潮盃
 目立ったのは、秋になって充実した馬たちの活躍だ。
 黒潮盃(大井)を制したクロスケは、羽田盃3着、東京ダービー5着と、春の南関東クラシックでは掲示板までだったが、この勝利が3歳では初勝利となった。1番人気に支持されるもクロスケにアタマ差及ばず2着だったクリスタルシルバーは、その後に古馬とのマイルグランプリを制して見せた。なおクロスケは戸塚記念9着のあと中央に移籍している。


岐阜金賞

園田オータムトロフィー
 今年新設されシリーズに組み込まれた園田オータムトロフィー(園田)を制したのはクリノヒビキ。中央未勝利から転入し、4勝を挙げたあと1番人気で臨んだ兵庫ダービーではコーナスフロリダの2着に敗れていた。しかし兵庫オータムトロフィーでは同馬を3着にしりぞけ雪辱。さらに続く岐阜金賞(笠松)では名古屋で絶対的存在のサムライドライブをもクビ差でしりぞけ秋になっての勢いを感じさせた。


黒潮菊花賞
 黒潮菊花賞(高知)を5番人気で制したアウトスタンディンは、春はほとんど目立たなかったものの秋になって充実した。2歳時、ホッカイドウ競馬のシーズン終了後に高知へ移籍。堅実に上位には来るが、勝ち星には遠く、初勝利を挙げたのが移籍後14戦目の9月23日。そして臨んだ黒潮菊花賞は、2歳時からこの世代の中心的存在だった実績馬2頭にそれぞれ不安材料がある中で、距離延長を最大限に生かして接戦を制した。

ダービー戦線の実績馬も健在


サラブレッド大賞典
 春のダービー戦線から引き続いて活躍を見せた馬もまた印象的だった。
 サラブレッド大賞典(金沢)を制したのは、石川ダービーを制していたアルファーティハ。8月のMRO金賞では8着と惨敗していたが、サラブレッド大賞典では初騎乗となった中島龍也騎手が早めに先頭を奪う大胆な騎乗で、伏兵ハーキマーダイヤをハナ差でしりぞけた。


秋の鞍
 秋の鞍(名古屋)を制したのはサムライドライブ。デビューから駿蹄賞まで無敗の10連勝で圧倒的な強さを見せていたが、東海ダービーではまさかの2着。それでもここであらためて能力の高さ見せた。ただ初めての他場遠征となった岐阜金賞でクリノヒビキの2着に敗れ、その後古馬との対戦でまったく結果を残せていないのが気になるところ。



ロータスクラウン賞
 ロータスクラウン賞(佐賀)は、九州ダービー栄城賞、高知優駿を制して“ダービーシリーズ・ダブル”を達成していたスーパージェットが順当勝ち。その後、古馬重賞初挑戦となった九州大賞典でも2着と好走しているだけに、来年以降も佐賀の古馬線戦の中心的存在となりそうだ。




西日本ダービー
 兵庫ダービー馬コーナスフロリダは、園田オータムトロフィーではクリノヒビキの3着に敗れたものの、西日本ダービー(金沢)で大差の圧勝。脆さも併せ持つが、あらためて能力の高さを見せた。

一時移籍が実ってのボーナス獲得


戸塚記念
 そして戸塚記念(川崎)を勝ち、ファイナルのダービーグランプリ(水沢)を制したのが岩手のチャイヤプーン。昨年ダービーグランプリを制したスーパーステションは、ボーナス対象レースを勝っていなかったためボーナスの支給はなかったが、チャイヤプーンはカテゴリーB(戸塚記念)からのダービーグランプリ制覇で500万円のボーナスを獲得することとなった。
 そのチャイヤプーンについて振り返る前に、まずは当初11月18日に予定されていたダービーグランプリが12月10日に延期になったことでの影響について触れておきたい。
 当初実施予定日では、補欠まで含めて他地区から17頭の登録があった。しかし延期となってからの他地区の登録は補欠も含め11頭と減少。とはいえ他地区所属馬でボーナス対象レースを勝っていた馬については、アルファーティハ、クリノヒビキ、コーナスフロリダの3頭で、当初の登録から変わらず。果たして、他地区からダービーグランプリに出走したのはその3頭のみで、アルファーティハはシーズン終盤の金沢から船橋に移籍していた。

不来方賞
 残念だったのは、羽田盃の勝ち馬で浦和記念JpnⅡ(5着)から参戦予定だったヤマノファイト、不来方賞でチャイヤプーンを負かしていたサンエイキャピタルの回避だろう。
 それゆえ地元のチャイヤプーンも含めボーナスの可能性があった4頭のうち、アルファーティハを除く3頭に人気が集中し、その3頭が上位を占める結果となった。
 それにしても当初の計画どおりにダービーグランプリを制したチャイヤプーンは見事だった。岩手ダービーダイヤモンドカップを勝ったあと、地元では秋まで使うところがないとして一時的に船橋に移籍。4着に負けはしたものの古馬A2特別で揉まれたことが経験となり、そして戸塚記念を制した。唯一の誤算は、不来方賞でサンエイキャピタルの2着に負けたことか。それによって岩手の三冠制覇は逃すこととなった。

ダービーグランプリ
 馬主の大久保和夫さんは、昨年はベンテンコゾウで岩手所属ながら北海道の三冠を目指し、最終戦の王冠賞が3着で二冠制覇まで。去年も今年も惜しいところで三冠制覇とはならなかったものの、適材適所で馬を使う判断の多くが結果につながっている。
 骨折が判明したサンエイキャピタルも含め、来シーズンの岩手の古馬線戦が全国レベルでの争いとなりそうなのは楽しみだ。



取材・文:斎藤修
写真:いちかんぽ

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