後続を楽に突き放し5馬身差圧勝
佐賀ゆかりの血統が頂点で花開く

　昨年から日曜開催に復帰した九州ダービー栄城賞。週の中ごろまでは日曜日は雨の予報だったが、雨雲は前日までに通過してレースの頃には快晴となり、絶好の競馬日和の中、昨年同様に同日開催となった日本ダービーを楽しんだ多くのファンに見守られての、ダービーウイーク2015開幕となった。
　佐賀競馬では昨年、栄城賞を含む4つの3歳交流重賞を高知勢に勝利されたが、今年は花吹雪賞とル・プランタン賞（ともに牝馬限定戦）をユズチャンが勝利。しかしそのユズチャンや、飛燕賞（佐賀所属限定）を制したダイリンザンと、ここまでの3歳S1重賞を勝利した2頭がともに故障で戦線離脱してしまった。しかし、九州ジュニアチャンピオンの勝利以降休養していたイッセイイチダイが3歳初戦のB級戦を勝利。また、3歳S2重賞を3勝し、その後はC1級特選を逃げて2連勝のキングプライドや、4月にJRAから転入し、3歳条件戦を2連勝で臨んだ栄城賞トライアル・鯱の門特選を圧勝してここへ駒を進めてきたマイネルジャストと、2歳王者や3歳戦の上がり馬が揃い、例年以上のレベルを感じさせる布陣で高知勢2頭を迎え撃つこととなった。
　好スタートからすんなりと先頭を奪ったのがキングプライドで、直後をコスモエポールが追走。向正面に入るとキングプライドが後続との差を広げはじめた。3コーナーで中団から進出してきたマイネルジャストが2番手に上がってくるも、すでに独走態勢に入ったキングプライドがそのまま押し切り、マイネルジャストに5馬身差をつけての圧勝となった。大差の3着にコスモエポールが入り、4着には高知のリワードヘヴンが食い込んだ。
　キングプライドは、2歳時は10月に挙げた1勝のみに留まったが、3歳戦に入るとここまでに5勝、3着2回と急成長を見せていた。また、この馬の母アイディアルクインは00年から01年にかけ佐賀に在籍し、九州王冠と九州大賞典の重賞2勝を挙げている。繁殖入り後は産駒の多くが佐賀で走り、そのうちネオアサティス、デロース、ガルホームが2歳重賞で活躍。しかし、その3頭も3歳春に転出や休養で栄城賞への出走はなく、9番仔となるキングプライドが栄城賞初出走となった。
　鞍上の鮫島克也騎手は表彰式でのインタビューで、「今年の3歳ではこの馬の力が抜けている」と語っていたとおり、近年の栄城賞が2分11～13秒台での決着なのに対して、今回の勝ち時計2分10秒2はそれを大きく上回るもの。過去10年の栄城賞馬としては、ギオンゴールド（09年）やエスワンプリンス（12年）が古馬になっても活躍しているが、キングプライドもその域にまで迫っていけるのではないかと思わせる圧勝劇となった。