レース名 実施日 競馬場 距離 地区
桜花賞 ※中止 3/23(水) 浦和 1,600m 南関東
若草賞 3/28(月) 福山 1,800m 北陸・東海
近畿・中国・四国
ル・プランタン賞 4/18(月) 佐賀 1,800m 九州
東京プリンセス賞 5/12(木) 大井 1,800m 南関東
のじぎく賞 5/19(木) 園田 1,700m 北陸・東海
近畿・中国・四国
留守杯日高賞 5/30(月) 盛岡 1,600m 東北
関東オークスJpnU 6/15(水) 川崎 2,100m 南関東
 地方競馬では、牝馬競走の振興と牝馬の入厩促進を図るため、昨年に引き続き、世代別牝馬重賞シリーズ「GRANDAME−JAPAN(グランダム・ジャパン)」を実施します(創設2010年)。

 全国各地で行われる牝馬重賞を世代別に体系づけ、競走成績によりポイントを付与。2歳、3歳、古馬の世代別ポイント獲得上位馬に対し、協賛各団体から(社)日本軽種馬協会を通じボーナス賞金が授与されます。地方競馬の優れた牝馬の活躍の舞台を広げるとともに、交流を促進して魅力ある牝馬競走の実施を目指します。
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余裕の手ごたえで直線抜け出す
クビ差の接戦も着差以上の強さ

 グランダム・ジャパン2011・3歳シーズンの第3戦は、東京プリンセス賞。震災の影響で浦和・桜花賞が中止になったため、南関東牝馬クラシックはここからスタートとなる。前日から強い雨が降り続き、大井競馬場は水が浮いた不良馬場。この日も、日が暮れるにつれて雨脚が強くなり、波乱演出?!と思わせるほどの悪天候となった。
 今年の南関東3歳世代は、クラシック前哨戦のクラウンカップや京浜盃をいずれも牝馬が制しているように、牝馬の層が厚いといえる。なかでも、前日の羽田盃を制したクラーベセクレタは1頭抜けた存在で、間違いなく現時点での南関東トップホース。このクラーベセクレタが牡馬路線を進むということで、これまで牡馬相手でも好勝負をしてきた牝馬たちは、この東京プリンセス賞に矛先を向けたということになる。
 1番人気は京浜盃3着のリアンローズ。続いて、準重賞・桃花賞を快勝しているマニエリスム、クラウンカップの勝ち馬ナターレ、そしてラカンパーナまでが単勝オッズ10倍以下で混戦模様となった。
 その人気馬たちは皆、中団より前に位置する展開となり、大きな動きもなく勝負どころに向かった。3〜4コーナーに入ると、リアンローズ、ナターレの鞍上の手が早くも動き、外からは手ごたえよくマニエリスムが進出。その前ではオーゴンヒリツとラカンパーナが抜け出しを図っていた。そして混戦の直線から、ラスト200メートルのところで逃げ馬を先に捕えたのはマニエリスム。それにオーゴンヒリツが続く。この2頭が内外離れた追い比べとなり、最後は馬体を併せる形でゴールイン。マニエリスムがクビ差抜け出した。
 見事、牝馬クラシック一冠を手にしたマニエリスム。前走のクラウンカップは1番人気ながら6着に敗れていたのだが、出遅れと不利が敗因で、まったく力を出し切っていなかった。レース間隔が短い中で中間しっかりとゲート練習を行い、この結果に繋がった。「直線では遊んでいるところもありましたし、並ばれても伸びる余裕はありました」という戸崎圭太騎手の話からも、着差以上の勝利と言える。川島正行調教師は、「直線向いたところでは、勝てるんじゃないかと思っていました」と満足気な笑顔。マニエリスムの素質と期待の高さを感じとれた。
戸崎圭太騎手
前走は、スタートが悪く不利もあり、力が出せませんでした。スタッフがゲート練習をしてくれたおかげで、今日はいいスタートを切れましたね。馬のリズムを崩さず行こうと思っていたので、馬の邪魔をしなければ直線で必ず伸びてくれると信じていました。レースセンスがいい馬で、騎手の指示に従ってくれるので乗りやすいです。距離が延びても大丈夫だと思います。
川島正行調教師
当初からこのレースを目標にしてきました。震災の影響で使うレースがなかったので、前走はクラウンカップになりました。(その前走は)負けてしまいましたが、短い間隔でいい調整ができたと思います。1コーナーでごちゃついた時にはひやっとしましたが、流れが落ち着いた時に、5番手くらいのいい位置で馬なりだったので、これなら勝てると直線を向いたところでは思いました。

 気がつけば、表彰台には前夜の羽田盃に続いて、川島調教師と戸崎騎手。こんな偉業をあっさりとやってのけてしまうのが、このコンビの偉大さなのだろう。
 さて、グランダム・ジャパン2011・3歳シーズンのポイントだが、マニエリスムが7ポイント、オーゴンヒリツが5ポイントを獲得。その他の南関東勢も次走が関東オークスJpnUとなれば、ポイント加算のためには好走が必須となる。また、東日本大震災の影響で、5月2日に水沢で予定されていた留守杯日高賞が5月30日に盛岡競馬場で行われることになった。現在ポイント上位の、マンボビーンやリジョウクラウンらは、地元ののじぎく賞(5月19日)でポイント加算できるチャンスであるが、留守杯日高賞のメンバーと結果によっては、まだまだ他の馬の逆転もあり得るだろう。3歳シーズンは残り3戦、各馬の動向から目が離せない。
取材・文:秋田奈津子
写真:宮原政典(いちかんぽ)