1000メートル以下のレースで実施されるスーパースプリントシリーズ2019は、全国6つの競馬場でトライアルが展開されてきた。そしてファイナルの習志野きらっとスプリントには、トライアルの勝ち馬では、園田FCスプリントのタガノカピートや、川崎スパーキングスプリントのラディヴィナが参戦。
しかし勝ったのはノブワイルド。TUBEの前田亘輝オーナーの所有馬としても知られている。今年、関東ではまだ梅雨空が続いているが、この日は久しぶりに青空が広がり気温も上昇、夏らしい陽気となった。レース後の表彰式でインタビュアーから「夏が近づいてくるとノブワイルドの季節ですか?」という質問もあり、「そうですね。季節がくると思います(笑)」と左海誠二騎手。メンバー中唯一のダートグレードウイナーの地力を見せつけた。
レースは、昨年の覇者で1番人気のアピアが先頭に立とうとしたところ、内から何がなんでもという形で主張していったのがノブワイルド。「小久保調教師と話しをして、行けるんだったら積極的に行こうと。前回(川崎スパーキングスプリント)は59キロで、今回は57キロだったので、もっとスパンと行くかなとも思ったのですがズブさはありました」と左海騎手。
アピアとノブワイルドが併走していき、最後の直線に入ってノブワイルドがわずかに出ると、残り200メートル過ぎまで食らいついていたアピアを完全に引き離した。「アピアの方が楽に進めていて、ワイルドはちょっと強引に突っ込んでいくような感じでしたが、最後はもうひと伸びしてくれて、馬の力で勝たせてもらいました」(左海騎手)。
ノブワイルドは2着のアピアに2馬身半差をつけ、勝ちタイムは59秒0(重)。ハナ差で3着には大外から突っ込んできたヨンカーが入った。
中央デビューのノブワイルドは、能力の高さに定評はあったものの、体質が弱く2度の骨折を発症。浦和の小久保智厩舎でじっくりと育てられてきた。昨年はテレ玉杯オーバルスプリントJpnⅢを制したが、JBCスプリントJpnⅠ、年明け初戦のフジノウェーブ記念はともに16着と大敗。その後は休養に入り、前走川崎スパーキングスプリント(3着)では復調の兆しを見せた。
JBCスプリントJpnⅠのショックを癒すためにはもっと間隔を空けて、フジノウェーブ記念は使うべきところではなかったと小久保調教師は振り返る。その後、ゆっくりと立て直してきたことで、体質の弱さも解消されてきたという。
前日に北海道で行われていたセレクションセールでは、「前田オーナーに高い馬を買っていただいたので、今日は勝ってもらいたかったのでよかったです(笑)。ワイルドもセリで選ばせていただいたので、そういう馬が重賞を勝ってくれるのは感無量です」と小久保調教師。
最大目標は11月4日に浦和競馬場で実施されるJBCスプリントJpnⅠ。地元の大一番だけに、小久保調教師の想いも強い。ノブワイルド以外にもJBCへ出走チャンスのある馬たちが在籍しているだけに、不動の南関東リーディング・小久保調教師の手腕にも期待したいところだ。
Comment
左海誠二 騎手
乗せていただいたのは3月のフジノウェーブ記念(16着)以来でしたが、跳びは若いし、雰囲気もいいなぁと思いました。この馬のいいところは、勝負根性があってスピードも持ち合わせていて、力のあるところです。7歳でも伸びしろはあると思うし、まだまだ大きいところを穫って頑張っていきたいです。
小久保智 調教師
気温の上昇とともに動きも滑らかになってきました。ゲートの出はいつもより鈍くて、行き切った時にエンジンがかかったかなと思います。よくあそこから二枚腰で伸びてくれて、具合がよほどいいように感じました。実績のある馬との一騎打ちでしたが頑張ってくれましたね。7歳ですが、まだやれます。