すべてのレースがワンターンの1000メートル以下で実施されるスーパースプリントシリーズ。ファイナルの習志野きらっとスプリントに向けて、今年も日本全国で超短距離の戦いが続いている。6月13日の川崎競馬場では、900メートル戦の川崎スパーキングスプリントが実施された。1着馬にはファイナルへの優先出走権が与えられるトライアルレース。
7頭立てと少頭数になったが、単勝10倍以下には5頭がひしめき合う大混戦。昨年の覇者ラディヴィナが、ジュンヒラメキと並び51キロの最軽量で、単勝2.3倍の1番人気に推されていた。レースも最後までまったくわからない白熱した展開となったが、ラディヴィナが終止符を打った。
ラディヴィナは笹川翼騎手が初騎乗。ハナに行くようにという厩舎サイドの指示だったが、ワンテンポ遅れ、後方2番手から内を通って進出していった。
「ゲートのタイミングはズレたのですが、それでもリカバリーしてくれて、しっかり脚を使ってくれました。すごくいい馬ですね。僕は乗っているだけで、馬が頑張ってくれたことに尽きます」と、レース後に振り返っていた笹川騎手。
エッシャー、ジュンヒラメキ、ノブワイルドと、南関東リーディング・小久保智厩舎の3頭が先行し、その後ろからラディヴィナやヨンカーも続いていった。
最後の直線では、ラディヴィナの前が壁になり、一瞬ヒヤッとするような場面もあったが、すかさず内を突いた。わずかに先頭に立っていたエッシャーに、内からラディヴィナ、外からノブワイルドやヨンカーも襲いかかり、4頭が横一線になる大激戦。
最後はラディヴィナがハナ差出たところがゴールで、勝ちタイムは53秒7(稍重)。2着にヨンカー、さらにハナ差3着がノブワイルドと続き、ここまでがタイム差なしでの入線になった。迫力あふれるゴール前は、超短距離戦の醍醐味だ。
ラディヴィナは昨年同様、この後は習志野きらっとスプリントに進む予定だ。去年は7着に敗れたレースだけに、リベンジをかけて挑むことになる。
一方、3着に敗れたノブワイルドは、2018年テレ玉杯オーバルスプリントJpnⅢの覇者。最近は今ひとつのレースが続いていたが、ラディヴィナとは8キロ差の59キロを背負いながらの好走は復調の兆しだ。「最後は斤量差が響きましたね。休み明けでもレース自体は悪くなかったですし、初めての900メートル戦でもこなしてくれました」と、コンビを組んだ橋本直哉騎手。
今年は11月4日に浦和競馬場でJBC競走が実施される。地元のノブワイルドも、そこに向けていくことになるだろう。南関東リーディング小久保智厩舎が、今後どう仕上げていくのかも興味深い。
Comment
笹川翼 騎手
スピードがすごくあって反応もよくて、距離適性もあるのでこの距離なら南関では上の方にいる馬だと思います。あまりうまくリードはできなかったのですが、馬の力があるから勝てたので感謝しています。次の重賞では僕が乗るかどうかはまだわかりませんが、いいかたちで迎えられると思います。
高月賢一 調教師
出遅れた時はヒヤッとしましたが、馬の力と笹川君の判断で勝利をすることができたと思います。あとは担当する優馬(高月調教師の息子)が頑張って仕上げてくれました。休養前にのど鳴りの手術をしてから息遣いもよくなっているし、前回も強いなと思いましたが、今回が一番強かったですね。