佐賀競馬でのスプリント戦(900メートル)は、2011年のスーパースプリントシリーズ創設に先駆けて、10年秋から11年春にかけて、当時の九州競馬の枠組み(佐賀・荒尾)で『九州スーパースプリントシリーズ(九州SSS)』が実施され、2歳、3歳やA級からC級までの多彩なクラスで集中開催されていた時期があった。しかし、スーパースプリントシリーズ創設時に九州地区のトライアルとなったのは荒尾の九州むしゃんよかスプリント。同レースは11年暮れの荒尾競馬廃止後に佐賀には移設されず、900メートル戦は、九州SSS実施以前と同様に、2歳戦初期とC2級下級組番のみで施行される時期が続いていた。
一方、九州むしゃんよかスプリント廃止後に、交流対象に佐賀が加えられた園田FCスプリントでは、佐賀勢から14年にエスワンプリンス、18年にエイシンテキサス(1着同着)が優勝。また、17年度から900メートル戦がB級以下では特別・特選にも組まれだしたが、18年度にA級でも特別として4競走が新設。こちらはおおむね3カ月に1度の施行となり、スプリント路線の整備の機運は高まっていた。
今年度は、そのA級特別4競走のうち、佐賀がばいダッシュが重賞へ昇格し、スーパースプリントシリーズの九州地区トライアルに設定された。九州SSSで重賞は行われなかったため、佐賀では初の900メートルの重賞となった。
大外から好スタートを決めたエリザベスセーラが急ピッチで逃げを打ち、2番手をエイシンビリケンが追走。4コーナーではこの2頭が後続を引き離し、直線で先頭に立ったエイシンビリケンが突き抜けて3馬身差をつけ勝利。同馬と2着エリザベスセーラはB級からの挑戦馬で、A級馬として最先着の3着には1馬身半差でハクユウスターダム。3月の佐賀スプリングダッシュ(A級)を勝ち、5連勝中で単勝1番人気に推されていたセクシーボーイは中団の位置から伸びず、4着に終わった。
エイシンビリケンは3月に兵庫から転入。C1級からのスタートで5戦4勝、2着1回の好成績だが、佐賀では1400メートル以上の経験しかなく、900メートルは初出走。オープン初挑戦での初重賞制覇で、初代佐賀スプリント王の栄冠を獲得と、初物づくしの一戦となった。同馬を管理する九日俊光調教師によると「夏に弱いので休ませようかとも思っていますが、オーナーと相談して習志野きらっとスプリントへ行くかどうか検討したい」とのこと。
また、九州SSSで4勝(佐賀2勝、荒尾2勝)と活躍したギオンゴールドを管理していたのも九日調教師だ。同馬が九州SSSでマークした900メートルのレコードタイムを今回エイシンビリケンがコンマ1秒更新(52秒5)した。九日調教師は「レコード更新は嬉しいんですが、(ギオンゴールドの)名前が消えるのは少し複雑な気持ちですね」と感慨深げに語っていた。
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山口勲 騎手
佐賀では1400メートルばかりでしたが、乗った感じでは1200メートルぐらいがベストだと思ったので、距離は何とかならないかと思いましたが、大丈夫でした。前は交わせると思っていましたが、後ろから強い馬がくるので気は抜けませんでした。
九日俊光 調教師
この相手で(B級の)55キロで走れたのがよかったですね。入厩してきたときには力がわかりませんでしたが、1走目を見てこれぐらいはできそうだなと計算ができました。息が切れないので、短いところは走る感じですが、夏に弱いのが弱点ですね。