スーパースプリントシリーズのトライアル第3戦で、今年で9回目を迎える園田FCスプリント。昨年のエイシンテキサスなど過去に2頭の優勝馬を出している佐賀勢だが、地元に佐賀がばいダッシュ(900メートル、6月23日)が新設され、今年は近畿・四国地区交流に変更された。これまで3頭が優勝している高知からは今年はコスタアレグレとソルプレーサの2頭が参戦してきた。
人気の中心は園田で16戦11勝、2着3回で、オープンを連勝中のタガノカピートで単勝2.7倍。これに大井B級から移籍後、園田で3戦3勝のエイシンエンジョイ、中央1勝馬でB1を連勝して格上挑戦のエイシンセレブ、中央4勝馬で高知では重賞2勝のコスタアレグレが続いた。
820メートルの電撃戦だけに、発馬が大きなカギを握るが、6番人気のタラニスがトモを滑らして出遅れ、ギャラクシーエクスが落馬、競走中止という不穏な幕開けとなった。
逆にスタートを決め、エンジン全開で二の脚を使ってハナに立ったのが1番人気タガノカピートだった。その後ろにエイシンエンジョイ、ソルプレーサ、コスタアレグレが追走。これで隊列が決まったかと思われた3コーナー手前で、エイシンセレブが外からタガノカピートに並ぶ勢いで迫り、短距離戦らしい激しい流れとなった。
しかし、3コーナーでは内からコーナーワークで再びリードを奪ったタガノカピートが4コーナーで手前を替えると後続を一気に突き放し、1馬身1/4差で1着ゴール。タイムは48秒7だった。2着にはエイシンエンジョイ、クビ差3着にはソルプレーサだった。9回目の今回で地元兵庫勢が5勝となり、遠征勢の5勝(昨年は高知と佐賀の遠征勢同士の1着同着)と並び、五分五分とした。
鞍上の下原理騎手と管理する新子雅司調教師は前週14日の六甲盃(2400メートル)に続く重賞制覇。13年エプソムアーロン、16年ランドクイーンに続いてこのレース3勝目となった下原騎手は「スタートで滑らないように注意していた。ハナに行けばどうにかなると思っていた。ホッとした」と1番人気に応えて安堵の笑顔を浮かべた。一昨年、地方全国リーディングを獲得した名手は、これで今年重賞3勝目。2週連続重賞制覇でリーディング奪還に向けて勢いが出てきた。
新子調教師は前週の六甲盃では管理馬で1、2、3着独占という快挙を達成したが、その勢いをそのまま、このレースに持ち込んだ。「外からこられた時、ちょうど3コーナーだったのが幸いだった。今回は距離に合わせて、気合いが乗るように仕上げたし、枠順も良かった」と振り返った。昨年、黒船賞JpnⅢ、サマーチャンピオンJpnⅢとダートグレード競走を2勝した41歳の若き敏腕トレーナーは、六甲盃連覇のタガノゴールド、園田ウインターカップを制したナチュラリーなど管理馬に重賞ウイナーがひしめくが、また1頭、新たな重賞勝ち馬が加わった。
次走は優先出走権を得た7月17日スーパースプリントシリーズ・ファイナルの習志野きらっとスプリント(船橋1000メートル)に向かう。長距離輸送が加わる上に左回りに替わるが、新子調教師は「普段はこの距離のレースはないが、普段の1400メートルよりも今回のような短い距離の方が合っている」と、スプリント戦での距離適性に期待を寄せた。
Comment
下原理 騎手
逃げるか、2番手でないと味が出ないので、ゲートに集中した。出てからは理想的。エイシンセレブに外からこられた時は、行き切ったと思っていたところだったので、えっ?となったが、3コーナーで前に出て、4コーナーまでに少し息を入れられたので直線はもう1回伸びると思った。
新子雅司 調教師
調整は順調だったので、楽しみにしていた。前走のゲートが速かったので、このメンバーでもハナには行けると思っていた。短距離に適性はあるが、園田では、この距離のレースが普段はない。よその地区のように、このレースのための前哨戦をつくってくれれば、いいんだけど。