今年で8年目を迎える、競走距離1000メートル以下のレースのみで構成されるシリーズ競走、『スーパースプリントシリーズ(略称：SSS)』。トライアル5戦、ファイナルの習志野きらっとスプリントという構図は変わりませんが、今年は金沢の日本海スプリントがトライアルの対象レースとなっております。
　ＳＳＳは、超短距離戦で能力を発揮する異才の発掘と、各地方競馬場で実施可能な最短距離を極力活かすためワンターン（コーナー通過が３〜４コーナーのみ）のスプリント戦によるシリーズとして2011年に創設されたもので、各地区の超スピードホースが、トライアル、そしてファイナルで極限の速さを競い、初夏の地方競馬を大いに盛り上げます。

　創設からラブミーチャンが三連覇ののち、8歳のナイキマドリードや3歳のルックスザットキルがファイナルを制しているこのシリーズ。昨年は4歳のスアデラがファイナルを制しました。今年は古豪が意地をみせるのか、それとも新星が誕生するのか。

　激戦必至の究極のスプリント戦をぜひお見逃しなく！

　距離1000メートル以下のレースで構成される『スーパースプリントシリーズ』も今年で8回目。ファイナルの習志野きらっとスプリントには、トライアル優勝馬から、川崎スパーキングスプリントを制したラディヴィナ、園田FCスプリントでカイロスと同着優勝を果たした佐賀のエイシンテキサスが参戦した。
　そんな中、御神本訓史騎手がエスコートした1番人気アピアが、地力の高さをまざまざと見せつけた一戦になった。「この馬を例えるなら、“速く動ける戦車”です」と御神本騎手は以前から言っていて、持ち前のスピードとパワーでライバルたちを一蹴した。
　2年前の覇者フラットライナーズがハナを主張していき、差なくラディヴィナがつけ、優駿スプリントを制したクルセイズスピリツ、エイシンテキサスの4頭がほとんど並んで先行。短距離戦にしては珍しく縦長の展開となった。
　アピアはスタートがよくないことも想定内で、後方から徐々に進出。3コーナー付近では前の4頭を射程圏にとらえらえるポジションにつけると、最後の直線では前にいたフラットライナーズとクルセイズスピリツの間を割って力強く抜け出してきた。
　「ペースも流れていたし手応えもずっとよかったので、3コーナーからは理想的な展開でした。前のどこが開くのか？　進路だけを探していて、ちょうどいいところが目の前で開いたので突っ込みました」という御神本騎手。着差以上の強さを見せた。2着のクルセイズスピリツに1馬身差をつけ、さらに1馬身差の3着には高知のサクラレグナムが入った。勝ちタイムは1分00秒3（良）。
　アピアは外厩馬として茨城県のミッドウェイファームでトレーニングを積まれ、2歳のデビュー時から「乗り味はすでにオープン級」と御神本騎手も絶賛していた馬だ。3歳時には優駿スプリントを制し、中央で走っていた時期もあったが、南関東へ再転入後、今年1月には船橋記念を完勝、これで3つ目のタイトルとなった。
　「あふれるスピードとものすごいパワーの持ち主なので、御すのがなかなか大変な馬で、人間がコントロールできればもっと長い距離も走れると思いますが、僕がその技術に達していないので」と御神本騎手は謙遜していたが、関係者の意向としては1200メートル戦でも中央馬の一線級と戦えるような馬作りをしていきたいそうだ。
　今年は京都競馬場で実施されるJBCスプリント（1200メートル）も選択肢のひとつに入っているそうで、“速く動ける戦車”が、その大舞台に立つ姿が今から待ち遠しい。今年7歳になったが、まだまだ奥は深そうだ。