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特集

スーパースプリントシリーズ 2018

SUPER SPRINT SERIES 2018

 今年で8年目を迎える、競走距離1000メートル以下のレースのみで構成されるシリーズ競走、『スーパースプリントシリーズ(略称:SSS)』。トライアル5戦、ファイナルの習志野きらっとスプリントという構図は変わりませんが、今年は金沢の日本海スプリントがトライアルの対象レースとなっております。
 SSSは、超短距離戦で能力を発揮する異才の発掘と、各地方競馬場で実施可能な最短距離を極力活かすためワンターン(コーナー通過が3〜4コーナーのみ)のスプリント戦によるシリーズとして2011年に創設されたもので、各地区の超スピードホースが、トライアル、そしてファイナルで極限の速さを競い、初夏の地方競馬を大いに盛り上げます。

 創設からラブミーチャンが三連覇ののち、8歳のナイキマドリードや3歳のルックスザットキルがファイナルを制しているこのシリーズ。昨年は4歳のスアデラがファイナルを制しました。今年は古豪が意地をみせるのか、それとも新星が誕生するのか。

 激戦必至の究極のスプリント戦をぜひお見逃しなく!


2018年ダービーシリーズの総括はこちらです

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7.1(日)
日本海スプリント
グランシャリオ門別スプリント
7/5(木)門別競馬場 1,000mカツゲキライデン
final 7.25(水)
習志野きらっと
スプリント

単騎の逃げから粘り込む 涼しい北海道で能力発揮

 スーパースプリントシリーズのトライアルも迎えて最終戦のグランシャリオ門別スプリント。今年の門別競馬場は例年とはやや異なる特殊な馬場で、逃げ切れそうな勢いの馬がいてもゴール前で形勢一転ということがあり、そして時計がかかる。しかしこの日は断続的に降っていた雨で不良馬場。時計が出やすい馬場になったこともあり、単勝ひと桁台の人気となった実績馬3頭による決着となった。
 互角のスタートを切った中からじわじわと先頭に立ったのが、北海道スプリントカップJpnⅢで地元馬最先着の5着だったカツゲキライデン。映像のカメラが後方まで映し、そして前に戻った3コーナーを回るあたりでは、2番手集団の先頭に立っていたタイセイバンデットに3馬身ほどの差をつけていた。
 一方、このレース連覇を狙うタイセイバンデットは3番手以下を振り切ったものの、直線でもその差は詰まらず。ただ先頭のカツゲキライデンもゴール前では脚色が鈍っているように見えた。
 そこに馬場の真ん中から一気に伸びて来たのがメイショウアイアンだ。中央からの転入初戦だった前走でも、他馬より2秒以上も速い上り3ハロン36秒5という、今年の門別の馬場を考えるとにわかに信じがたい末脚で直線一気を決めていた。そして今回も同じように外から一気の伸びを見せ、内外離れてカツゲキライデンに並びかけたところがゴール。勢いでは完全にメイショウアイアンがまさっていて、カツゲキライデンの鞍上・桑村真明騎手も「負けてしまったかと思った」という際どい決着は、カツゲキライデンがクビ差だけ残していた。
 1番人気に支持されていたタイセイバンデットは、3~4コーナーを回るあたりでの勝ち馬との着差のまま、2着から3馬身差で3着。昨年末の兵庫ゴールドトロフィーJpnⅢが骨折のため出走取消となって以来の今シーズン初戦で、「行きっぷりが悪かったのは休み明けのぶんかなあ」と田中淳司調教師は振り返った。
 惜しかったのは、同じ田中調教師が管理するメイショウアイアン。前走と同じ不良馬場でも、降り続いた雨でさらに馬場は軽く、その前走を上回る35秒7という末脚を発揮したが、勝ち馬には36秒7で粘り込まれた。この1000メートルという距離で、3~4コーナーではずっと外々を回らされていたので、そのぶんの距離損を考えると残念なクビ差だった。
 勝ったカツゲキライデンは、名古屋所属時の尾張名古屋杯以来となる重賞2勝目。「まさか逃げるとは思わなかった」という廣森久雄調教師だが、前走以上の状態アップと、追い切りでの動きの良さを勝因として挙げた。ファイナルの習志野きらっとスプリント挑戦について、「夏は暑いですからね。この馬は夏バテがよくないのでこちらに来たんですよ」とのことで、次走は引き続き門別のエトワール賞(8月14日)となる可能性が高い。
 この日、門別あたりの気温は昼間でも13度。すでに梅雨が明けた関東地方とは20度ほども気温差がある。昨年はタイセイバンデットがファイナルに遠征して2着と好走したが、この時期の北海道から船橋への遠征は、まず気候の違いが大きなカベとなる。
取材・文:斎藤修
写真:浅野一行(いちかんぽ)

コメント

桑村真明騎手

不良馬場だったのでいい時計は出るんじゃないかと思っていました。先頭に立つと遊ぶところがある馬で、最後の方は一杯一杯だったので、一生懸命追うだけでした。大外から来られて距離感もわからなかったので、最後は勝ったかわかりませんでした。次のエトワール賞もいい結果が出るようにがんばります。

廣森久雄調教師

調教の様子は前回よりかなりいいように感じていて、あとはジョッキー任せで、まさか逃げるとは思わなかったんですが、うまくいったという感じですね。南関東でも逃げて直線では遊んでもたれるようなところがあったみたいですが、それでも最後までよくがんばってくれました。直線は長く感じました。