今年の南関東の2歳重賞は、ハイセイコー記念から始まり、鎌倉記念、平和賞、ローレル賞、全日本2歳優駿JpnⅠ、東京2歳優駿牝馬へと続いていく。これまで未来優駿にはハイセイコー記念か平和賞が充てられていたが、初めて未来優駿に名を連ねた鎌倉記念は、2頭に人気が集中。すでに大人びたレースセンスが魅力の4戦4勝ポッドガイ。アジュディケーティング産駒で抜群のスピードを持ち合わせ、「この馬で（東京）ダービーを勝てなかったら騎手をやめる（笑）」と的場文男騎手に言わせたほどの逸材アンサンブルライフ。
　結果的には、ポッドガイが矢野貴之騎手の手綱で優勝し、無傷の5連勝目を飾った。
　レースは、キャッシュフローが逃げ、2番手にケイエスソード、3番手にはアンサンブルライフで、ポッドガイはその後ろから。2コーナーでアンサンブルライフは外に持ち出されると掛かり気味に進出。「的場さんが動いてくれたので逆にいい目標になって競馬がしやすくなりましたね。折り合いをつけてリズムよく走らせることに気をつけました」（矢野騎手）。
　アンサンブルライフが先頭に変わって最後の直線を迎えると、ポッドガイもジワジワと伸びてきて、2頭のマッチレース。ポッドガイが力でねじ伏せる形でフィニッシュした。
　「手応えは十分で交わせるなと思っていたんですが、並ぶまでにいつもと違ってモタモタして、抜け出してからはフワーッとするところもありました。余裕があるとも思うし、今までとメンバーが違って初めて追われたので、馬もビックリしたのかもしれません」（矢野騎手）。
　1500メートルの勝ちタイムは1分36秒0（良）。例年よりタイムはやや遅いが、昨年12月に川崎競馬場は砂を全面入れ替えし、それ以降はタイムがグッと遅くなっている。今開催ここまでに行われた同距離のレースでは、2歳戦ながら古馬B3クラスに次いで3番目に速いタイム。2着には1馬身半差でアンサンブルライフ、3着にはワイヤトゥワイヤーが入った。
　ポッドガイを語る上で、誰もが口にするのが「大人びたレースセンス」ということ。それはこれから最大の武器になっていくだろう。「普通の2歳のイメージとは違って、何も心配せずにいけるというか、こういう2歳に乗ったことはないです。本番は来年です」と矢野騎手もキッパリ。
　厩舎サイドももちろんのこと来年のクラシックレースを目標に、今は無理をさせずにそこを見据えながら仕上げている。
　一方で、惜しくも敗れたアンサンブルライフも強かった。逃げて自分の形に持ち込むことをレース前に陣営は公言していたのだが、スタートでごちゃついてリズムを崩し、道中は行きたがる素振りも見られ、自分の競馬がまったくできない中でも最後まで渋太く粘った。
　南関東全体のことを考えても、生え抜きのスターホースの存在は不可欠だ。ポッドガイとアンサンブルライフにこれからどんな未来が待っているのか、いろんな夢を託していきたい。楽しみな2歳馬たちが出現した。