早め先頭から直線で突き放す
古馬を一蹴し目指すはＪＢＣ

　前日、名古屋市を襲った集中豪雨により、名古屋競馬の後半2レースが取り止めとなり、場内1階の飲食店では浸水した店もあったそうだ。秋桜賞当日は天気も回復し無事に開催することができたが、浸水の影響で馬体重計が故障し、すべての出走馬が「計量不能」という表示でレースが行われた。
　グランダム・ジャパン古馬シーズンもいよいよ佳境を迎える。3日前に水沢競馬場で行われたビューチフル・ドリーマーカップの結果から、目指すは20ポイント。秋桜賞の出走馬でシリーズ優勝が狙える位置にいるのは、大井のメビュースラブと兵庫のマンボビーンだ。最終戦が交流重賞のレディスプレリュードJpnⅡということを考えると、この秋桜賞で高得点を獲得しておくことは必須。また、11頭中7頭が重賞ウィナーと全国から実力馬が揃ったこともこのレースをさらに盛り上げた。
　力の比較と展開の予想はファンを悩ませたのだろう。人気はかなり割れていた。最終的に1番人気に支持されたのはマンボビーンで2.3倍。2番人気はピッチシフターで3.0倍。3番人気が、スウィングダンスとメビュースラブで4.9倍と続いた。
　先行争いに注目が集まったが、意外にも隊列はすんなり決まった。先手を取ったのは内枠のギオンゴールドで、2番手にメビュースラブ。大外からピッチシフターが好位につけ、その後ろにスウィングダンスやマンボビーンも続き、人気馬は好位から中団でレースを進めた。
　3コーナーに入るとピッチシフターが前の2頭に並びかけ、4コーナーでは早くも先頭に立った。他馬の騎手の手が激しく動く中、ピッチシフター1頭だけが抜群の手ごたえで直線に入り、そのまま後続を突き放して余裕のゴールイン。3馬身離れた2着には、直線で追い込んできたスウィングダンスが入り、地元勢のワンツーフィニッシュとなった。
　普段からピッチシフターの調教に跨っており、レースでは初騎乗となった大畑雅章騎手は、「道中の手ごたえで、もう自分の馬しかない」と勝利を確信していたという。秋桜賞がグランダム・ジャパン古馬シーズンとして行われるようになってから初めて地元名古屋勢が優勝し、なおかつ初めて3歳馬が勝利を飾る結果となった。
　2歳時にエーデルワイス賞JpnⅢ・2着という実績をあげ、名古屋に転入してからは東海地区では世代トップクラスの走りを見せてきたピッチシフター。重賞4勝目は初の古馬重賞での圧勝劇となった。
　「これくらい走ってくれないと」と冷静に語る川西毅調教師。その様子からはこの馬の相当な素質の高さが窺えた。さらに「まだまだ成長するし、牝馬同士だったら交流重賞でもやれると思う」と、今年のJBCレディスクラシックJpnⅠ挑戦への意欲を示した。名古屋を代表する馬として、これから全国区での活躍が非常に楽しみな1頭である。
　グランダム・ジャパン古馬シーズンの順位は、アスカリーブルとシャイニングサヤカが20ポイントで1位をキープ。シリーズ優勝を目指し果敢に遠征に挑んだメビュースラブは4着に敗れ、17ポイントで続いている。トップとの差は3ポイントだが「ここまでがんばってくれたから休ませてあげたい気持ちもある」とコメントした松浦裕之調教師。シリーズ優勝を賭けて、最終戦に出走するか否か陣営の判断に注目だ。最終戦レディスプレリュードJpnⅡは10月3日に大井競馬場で行われる。