10月中旬~11月上旬にかけて行われる各地の2歳主要競走(計7レース)を約3週間のうちに短期集中施行するシリーズ(2008年創設)。
3歳馬によるダービーウイーク同様、各地の主要競走が短期間で楽しめる贅沢感や、先々への期待感を醸成できることが当シリーズ最大の魅力。また、11月以降のダートグレード競走(兵庫ジュニアグランプリ・全日本2歳優駿)への出走意識を高めることで、競走体系の整備促進にも資することが期待される。
3歳馬によるダービーウイーク同様、各地の主要競走が短期間で楽しめる贅沢感や、先々への期待感を醸成できることが当シリーズ最大の魅力。また、11月以降のダートグレード競走(兵庫ジュニアグランプリ・全日本2歳優駿)への出走意識を高めることで、競走体系の整備促進にも資することが期待される。
※下の“タブ”をクリックするとご覧になりたいレースの記事に切り替わります。
- 第32回 若駒賞
- 第5回 兵庫若駒賞
- 第23回 九州ジュニアチャンピオン
- 第5回 福山2歳優駿
- 第58回 平和賞
- 第51回 ゴールドウィング賞
- サッポロクラシックカップ
ゴール前で人気馬をとらえる
成長力を示し未来への期待も
全国の地方競馬で行われる2歳主要競走をシリーズ化した未来優駿。その最終戦として、ホッカイドウ競馬ではサッポロクラシックカップが行われた。
先々週にはエーデルワイス賞JpnIIIが、そしてこの2日後には北海道2歳優駿JpnIIIが行われることもあり、話題性はこの両レースに奪われたような印象もあるが、実はこのサッポロクラシックカップは出世レースでもあり、勝ち馬の多くが大成している。中でも昨年の勝ち馬であるエンジェルツイートは、このレースの後に平和賞と東京2歳優駿牝馬を優勝して、NARグランプリ2011の2歳最優秀牝馬に選出された。一昨年の勝ち馬であるピエールタイガーは、翌年の北海優駿を制すると、大井に移籍して先日のマイルグランプリでも優勝を果たしている。
人気の中心となったのは、サッポロクラシックカップの舞台となる門別1200メートルで6戦4勝、2着2回という完璧な連対率を誇り、前走のウィナーズチャレンジでも57キロという斤量をものともせずに勝利したヨウメイモン。同条件のエーデルワイス賞で2着に入ったピッチシフターが2番人気で続いた。
日が暮れた門別競馬場をさらに凍えさせるように、雨が降りしきる中をレースはスタート。人気のヨウメイモンに加えて、クリノロッキー、3番人気のファキナウェイが先行勢を形成し、そのすぐ後ろにはプロティアンとフォリッド。エーデルワイス賞で鋭い追い込みを見せたピッチシフターは、他の3頭と共に前を行く5頭を見る形でレースが進んだ。
4コーナーでヨウメイモンがクリノロッキーとファキナウェイの間から抜け出そうとした時、勢いをつけながらその集団の外に進路を向けたのがプロティアンだった。先に抜け出したヨウメイモンは、前走と同じように後続との差を広げていくかと思いきや、思いのほか伸びあぐねる一方で、プロティアンは一完歩、一完歩とその差を詰めていく。ゴール前では勢いの差もあり、アタマ差だけ抜け出したのがプロティアンだった。
父がエルーシヴクオリティという、ホッカイドウ競馬に在籍する2歳馬には珍しい持ち込み馬であるプロティアンは、これで6戦2勝。前々走のウィナーズチャレンジではヨウメイモンの2着に入りながらも6馬身差をつけられており、それから約1カ月でその差を逆転をしたことにもなる。
桑村真明騎手
この馬に騎乗するのは初めてでした。それでも返し馬の感じも良かったので、期待する部分はありました。速い流れでも楽な手応えでしたし、直線に入ってからの伸びも良く、勝てると思いながら馬を追っていました。力強さに加えて、小回りでも苦にしない器用さも兼ね備えている馬ですね。
山田和久調教師
スタートが課題かと思っていましたが、うまく流れにも乗って、馬自身も真面目に走ってくれました。距離もこの馬には合っていたでしょうし、何よりもテン乗りだった桑村騎手が本当に上手に乗ってくれました。追ってからも伸びていましたし、まだまだ強くなる馬だと思っています。
前走のウィナーズチャレンジでは1800メートルという条件が合わなかったのか7着に大敗したものの、1200メートルに限ればこれで4戦2勝、2着2回と、ヨウメイモンに負けず劣らずのコース巧者。このサッポロクラシックカップは連闘で望んだこともあって評価を落としていたが、得意とする条件で能力を発揮できただけでなく、管理する山田和久調教師は、「デビュー時からの幼さも抜けたように、高い成長力をレースで示してくれた」ことを勝利の一因としてあげていた。
JRA認定競走でもあるこのレースを勝利したことで、今後は中央を含めた他地区への移籍も検討されているプロティアン。サッポロクラシックカップを制して飛躍を果たした先輩たちと同様に、ホッカイドウ競馬を離れてからの活躍も期待できそうだ。
取材・文:村本浩平
写真:中地広大(いちかんぽ)
写真:中地広大(いちかんぽ)