ホッカイドウ競馬における2歳三冠路線とは別路線ながら、ダート1200メートルの条件ということもあり、2歳馬による快速馬決定戦となった、未来優駿・サッポロクラシックカップ。
　実績ナンバー1の存在と言えたのが、前走エーデルワイス賞JpnIIIで、勝ったシェアースマイルに半馬身差まで詰め寄ったシーキングブレーヴ。ここまで11戦3勝の実績ながら重賞では2着が3度と惜しいレースが続いており、メンバーが手薄となった今回は初戴冠への期待も高まった。
　シーキングブレーヴと比べると実績面では見劣るものの、JRA認定のアタックチャレンジ、ケイムホーム賞と連勝してきたカンタベリーナイトや、イノセントカップ2着のグッドタイガーが連下候補として名前が上がった。そんな中、伏兵どころか1番人気の支持を集めていたのが、1戦1勝でこの舞台に臨んできたコメディルーティンである。
　デビュー戦となったJRA認定のフレッシュチャレンジでは、2着馬に6馬身差をつける圧勝劇。不良馬場ながらも1分11秒8という勝ち時計はメンバー中最速でもあり、展開によっては影をも踏ませぬ逃げ切りも充分に考えられた。
　しかしゲートが開くと、そのコメディルーティンより前でレースを進めたのが、同じ角川秀樹厩舎のエンジェルツイートだった。前走のヤングチャレンジカップでは4着に敗れたものの、デビュー戦で見せた先行力は、このレースの人気上位馬たちとも遜色がなかった。
　2番手にはコメディルーティン、人気のシーキングブレーヴは中団を追走。しかし、エンジェルツイートは後続のことをまったく気にしないかのように、徐々にその差を広げていった。
　最後の直線に入った時、2番手のコメディルーティンとの差は約3馬身。鞍上の岩橋勇二騎手の手綱はまったく動かない。残り200メートルでようやくムチが入ったように、充分すぎるほどの手応えを保ったまま、コメディルーティンとの差をさらに広げてゴール。3着には後方から追い込んできたサブリナラッシュが入り、人気のシーキングブレーヴは5着に敗れた。
　管理馬によるワンツーフィニッシュを果たした角川調教師は、終始2頭が主導権を握っていたレース内容もあってか、検量室から表彰台まで絶やすことなく笑顔を浮かべていた。表彰式ではエンジェルツイートの関係者に副賞のビールが贈呈されたが、角川調教師や厩舎スタッフにとっては、これ以上ない喜びの美酒となったに違いない。