2009年10月29日(木) 園田競馬場 1400m
断然人気馬が馬群に沈む波乱、キャリア1戦の伏兵が台頭
「未来優駿」の第5弾は、園田競馬場の兵庫若駒賞。11月23日の兵庫ジュニアグランプリJpnIIに向けた、文字どおり若駒たちの争いだが、2歳馬のレースとは思えないほど激しいものとなった。
注目を集めたのはフィオーレハーバー。ここまで3戦全勝で、いずれも圧倒的なスピードでの逃げ切り勝ち。ほかでは、キャリア1戦のタガノバロット以外勝ち続けている馬がいないこともあり、単勝1.1倍の断然人気となった。
そのフィオーレハーバーが絶好のスタートで先頭に立ち、他の7頭を引き連れて逃げた。おそらく誰もが想像していた展開。しかし結果は想像どおりとはならなかった。2番手を追走した2番人気のタガノパンデミックが、向正面の中間で早くもフィオーレハーバーに競りかけた。おそらくこれが波乱の結果となるひとつのポイントだったのではないだろうか。
3コーナーでは早くもフィオーレハーバーの鞍上、平岩潤一騎手の手が動き始めた。外からフウリンカザンが絶好の手ごたえでマクッてくる。内からはタガノバロットが迫った。
「4コーナーでは勝ったと思ったんだけどなあ」とフウリンカザンの内田利雄騎手。たしかに見ていてもそのまま突き抜けるような勢いだった。
しかし、フィオーレハーバーと内ラチの間を突いてタガノバロットが抜け出し、あっという間に突き放した。「普通なら外を回るんですけど、(外にいた)内田さんのプレッシャーがきつかったんでしかたなく内に行きましたが、すごい脚を使ってくれました」と下原理騎手。あそこから抜けられるのだろうかと思えるほどの、1頭分あるかないかの隙間。一か八かの一瞬の判断が勝利につながった。下原騎手にとっては昨年のカラテチョップに続き、新馬戦勝ちから2戦目での兵庫若駒賞制覇となった。
直線外から伸びてきたギガビットが1馬身3/4差で2着。フウリンカザンが3着で、フィオーレハーバーは残念ながら4着に敗れた。波乱を演出したタガノパンデミックが6着に沈んだことからも、やはり前のペースは厳しいものだったようだ。
印象的だったのは、フィオーレハーバーの平岩騎手。デビュー12年目で、このレースには重賞初制覇がかかっていた。検量室前に戻って鞍を外し、厩務員が馬を引いて行ったあとも、枠場にもたれかかったまましばらく動けないでいた。一度首をかしげ、後検量に向かって歩き出した姿が印象的だった。
一強が予想された兵庫の2歳戦線だが、一転して波乱の結果に。今後は混戦が続きそうなだけに、フィオーレハーバーの巻き返しにも期待したい。
取材・文:斎藤修
写真:桂伸也(いちかんぽ)
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國澤利照調教師 |
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