2009年10月26日(月) 福山競馬場 1250m
直線堂々と突き抜ける、無敗の牝馬が6連勝
「未来優駿」第3戦は、2005年からサラブレッドを導入した福山競馬場が舞台の福山2歳優駿。第2回を迎えた今年は、デビューから5戦全勝のムツミマーベラスが単勝1.1倍という圧倒的な人気を集めた。2番人気はナカドイセンプーの5.3倍で、以下は10倍を越えるオッズが続く。レース前から、2強ムードが高まっていた。
前々日に砂を足して厚みが増した馬場は、朝まで降り続いた雨を含んで、稍重のままスタートとなった。
レースでは、ナカドイセンプーが好位の内、ムツミマーベラスが後方の外を進み、勝負どころの3〜4コーナーで、外から一気にムツミマーベラスが先団に並びかけた。直線も、その勢いのまま突き抜けて1着。ナカドイセンプーは、内の狭い所をこじ開けて、2馬身差の2着を確保するのが精一杯だった。
勝ったムツミマーベラスは、これでデビューから6戦全勝。前走はスタートで出遅れて最後方になりながらも、ひとマクリで差し切り勝ちという、強い競馬をやってのけていた。ここまで無敗。人気を集めるのも当然だった。
レース後、管理する末廣卓己調教師は、「勝って当たり前と言われるレースで、かなりプレッシャーがありました。とにかくホッとしています」と、表情を緩めた。次走については、12月13日の福山・ヤングチャンピオンを目指す予定。「1600メートルに距離が伸びるので、間に一度使うか、ぶっつけで初距離に挑戦するかはこれから決めます」と語ってくれた。
鞍上の池田敏樹騎手も、レース前には大きなプレッシャーを感じていたという。「乗る前は色々考えてたけど、パドックで跨った瞬間吹っ切れました。これまでも乗って来て、この馬の強さを信じてましたから」。調教でも自ら跨り、ここまで導いてきた。25歳の瞳には、プレッシャーをはねのけて勝利した自信が、静かに煌いていた。
対して2着のナカドイセンプーは、これで7戦3勝、2着4回。負けた4戦はいずれも、勝ったのがムツミマーベラス。手綱を取った周藤直樹騎手は、「今回こそ!と思っていたのに……。あの馬にしか負けていない。まさに宿敵ですね」と、悔しさを滲ませた。
馬だけでなく、鞍上同士も教養センター時代の同期生で、今も調整ルームが同室という間柄。「朝調整ルームを出る時、いいレースしようなって話したんです。馬も人もいいライバルですね。でも、次こそは負かしたい!」と、次走への闘志を見せてくれた。
1着ムツミマーベラス、2着ナカドイセンプー共に、同じマーベラスサンデー産駒の牝馬。3着に逃げたイワミウェーブが粘り込み、牝馬が上位を独占する結果となった。牡馬を向こうに回しての戦いで、未来の女傑像が見えたレースだった。
取材・文:赤見千尋
写真:桂伸也(いちかんぽ)
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末廣卓己調教師 |
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