2009年10月19日(月) 盛岡競馬場 ダート1600m
新たに輝く岩手の星、4馬身差の完勝劇
未来優駿――昨年から始まったこの2歳シリーズは、初年度に各地で行われた5戦の勝ち馬から、3頭ものダービー馬が生まれるという、その名のとおり未来へ繋がるレースとなった。
2年目の今年、開幕戦の盛岡競馬場は、午後からパラパラと雨が降りだし、若駒賞を迎える頃には本降りになったものの、レースは良馬場のままスタートとなった。
1番人気は、前走芝のジュニアグランプリで2着だったロックハンドスター。単勝1.3倍という、圧倒的な支持を集めた。
レースではスローな流れの中、抜群の手応えで好位の外を進んだ。直線に入ると早々に後続を突き放し、2着のリュウノボーイに4馬身の差をつけて快勝! 初の盛岡ダート1600メートル戦も、まったく危なげない走り。ゴール前で内に刺さるのを矯正するために、1発ムチが入っただけで、終始自分からグイグイとハミを取り続けた。
これで6戦4勝。デビュー戦3着、そして前走のジュニアグランプリでは北海道のボヘミアンに先着を許したものの、岩手2歳世代のトップに立った。
この日、菅原勲騎手に替って手綱を取った阿部英俊騎手は、「実は、心臓がバクバクしてた」と、レース後ホッとした表情を浮かべながらつぶやいた。断然の1番人気、期待の大きい若馬、そして菅原勲騎手からの乗替り。勝たなければいけない馬を任せてもらった……と、レース前にはかなりプレッシャーを感じていたという。その重圧を跳ね除けて、強いレースを見せた。
「デビューの前に、ゲート練習で乗ったことがあるんですよ。その時から走る馬だなと思っていました。レースに乗る機会はないと思ってたけど、今回はチャンスをもらえて、ありがたいですね」。無事大役を果たして、勝負師の顔が笑顔になった。
ロックハンドスターとは、岩手競馬を盛り上げるために一役かっている、タレントのルー大柴さんにちなんで付けられた名前。岩手の星になるべく、願いを込められたこの馬は、その名のとおり輝きを放ち始めた。この後は、南部駒賞、金杯と地元を中心に調整していく予定。
岩手に生まれた新星が、輝かしい未来へ向けて、大きな一歩を踏み出した。名実ともに、岩手の星になる日が待ち遠しい。
取材・文:赤見千尋
写真:森澤志津雄(いちかんぽ)
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瀬戸幸一調教師 |
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