競走距離1000メートル以下のレースのみで構成されるシリーズ競走、『地方競馬スーパースプリントシリーズ（略称：ＳＳＳ）』、2年目となる本年は6月12日（火）～7月20日（金）の間、トライアル4戦およびファイナルの計5戦で実施します。
ＳＳＳは、超短距離戦で能力を発揮する異才の発掘と、各地方競馬場で実施可能な最短距離を極力活かすためワンターン（コーナー通過が３～４コーナーのみ）のスプリント戦をシリーズとして2011年に創設されたもので、各地区の超スピードホースが、トライアル、そしてファイナルで極限の速さを競い、初夏の1カ月間を大いに盛り上げます。
ちなみに昨年は名古屋でら馬スプリントを制した笠松のラブミーチャンが、ファイナルの習志野きらっとスプリントにも優勝。その後、東京盃やJBCスプリントなどでも自慢のスピードを披露して好走を果たしました。
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昨年同様直線は一騎打ち
手ごたえ十分に連覇達成
今年で2回目を迎えた極限の速さを競う超短距離戦『スーパースプリントシリーズ（SSS）』。全国各地で行われた4レースのトライアルにはスピード自慢たちが勢ぞろいし、川崎スパーキングスプリント（優勝トーセンクロス）、園田FCスプリント（優勝エイシンマロニエ）、名古屋でら馬スプリント（優勝ラブミーチャン）、グランシャリオ門別スプリント（優勝アグネスポライト）と熱戦が繰り広げられてきた。
このシリーズの主役は、今年も濱口楠彦騎手がエスコートしたラブミーチャンだった。SSSファイナルの習志野きらっとスプリントに連覇を目指して参戦し、新しい一面を見せた。
南関東に再転厩した韋駄天ジーエスライカーがハナを切ると、すかさずギオンゴールドなど南関東勢が追走し激しい先行争いが展開される中で、ラブミーチャンはその後ろの外目から追走していった。ハナを切りたかったようだが、最近はダッシュ力がもう少しなので、かきつばた記念JpnIII（3着）で砂をかぶった競馬でも苦にしなかったことから今回は前を壁にしながらの競馬になったそうだ。3コーナー付近から一気に内をついて先団に取りついていくと、そのあとは外にスーッと切り返して先頭へ。「外に持ち出すのはちょっと早いと思ったけど、後ろからこられるのは嫌だったから出せるときに出そうと思いました」（濱口騎手）
去年と同様に最後はジーエスライカーとの一騎打ち。ラブミーチャンが外から楽々交わすかのような手応えだったが、内でジーエスライカーも踏ん張り、2頭のデッドヒート。最後はラブミーチャンが半馬身出たところがゴールだった。1000メートルの勝ちタイムは58秒2（良）。「追い出してからもう少し突き放してくれると思ったんですが……」（濱口騎手）とのことだったが、それでも去年に比べるとまだ7～8分の状態だったそうで、やはりラブミーチャンは強かった。逃げ一辺倒ではどうしても目標にされてしまうが、脚質に幅を広げたことは今後においても武器がまたひとつ加わったとも言えるだろう。
口取りを終えて表彰式に向かう途中、柳江仁調教師と濱口騎手はこの日のラブミーチャンの走りを熱心に話し合っていた。陣営にとっては、もう次の戦いが始まっているのだ。このあとはクラスターカップJpnIII（盛岡）とサマーチャンピオンJpnIII（佐賀）の両睨みで、そのあとは東京盃JpnII（大井）、JBCスプリントJpnI（川崎）という去年と同じダートスプリント路線の王道を目指すことになるそうだ。
最後に、ラブミーチャンの素顔をこの道40年という大ベテランの森崎隆厩務員に聞いてみた。「遠征に行ってもここまで動じないタフな馬は珍しいと思います。カイバの食いもすぐに戻るし、ニンジン、バナナなど何でも好きですよ。ミーチャンはとてもかわいらしくてひと懐っこいから、どこに行っても愛されるんです」
濱口楠彦騎手
速い馬なので乗っていても気持ちがいいです。体重は減っていましたが、返し馬でも普通にいい感じでした。こういう（番手からの）競馬ができるのは強みだし、今日のように辛抱できれば1200や1400メートルでも対応はできると思います。これからもミーチャンは頑張りますので応援をよろしくお願いします！
柳江仁調教師
カイバも食べていたので、今日の馬体重マイナス13キロは心配していませんでした。ジーエスさん（ジーエスライカー）も速いですが、本当は黙って馬体を併せていけるくらいのダッシュ力が戻ってもらいたいです。まだ僕たちの仕事はいっぱいありますが、この仔が強いから何とか帳消しにして頑張ってくれていますね。
