グランダム・ジャパン タイトル
レース名 実施日 競馬場 距離 地区
園田プリンセスカップ 9/19(水) 園田 1,400m 北陸・東海・
近畿・中四国
エーデルワイス賞 JpnⅢ 10/25(木) 門別 1,200m 北海道
ローレル賞 11/5(月) 川崎 1,600m 南関東
プリンセス特別 11/20(火) 笠松 1,600m 北陸・東海・
近畿・中四国
プリンセスカップ 12/1(土) 水沢 1,400m 東北
東京2歳優駿牝馬 12/31(月) 大井 1,600m 南関東
 地方競馬では、牝馬競走の振興と牝馬の入厩促進を図るため、今年で3年目となる 世代別牝馬重賞シリーズ 「GRANDAME-JAPAN2012(グランダム・ジャパン2012)」を実施します。

 全国各地で行われる牝馬重賞を世代別に体系づけ、競走成績によりポイントを付与。2歳、3歳、古馬の世代別ポイント獲得上位馬に対し、協賛各団体から(社)日本軽種馬協会を通じボーナス賞金が授与されます。地方競馬の優れた牝馬の活躍の舞台を広げるとともに、交流を促進して魅力ある牝馬競走の実施を目指します。

全兄は兵庫ダービー馬
好タイムで無傷の5連勝

 今年もグランダム・ジャパン2歳シーズンが、園田プリンセンスカップから始まった。前日の荒天が影響し馬場状態は第1レースから不良の発表。この日は夏のような暑さだったのだが、最終レースまで馬場状態が変わることはなかった。
 2005年に重賞に格上げされてからの過去7年はすべて地元馬が優勝しているこのレース。2歳馬にとっては慣れない遠征もあってのことだろうが、今年は他地区から4頭が参戦し、フルゲート12頭で争われた。ただ、今回は地元勢に傑出馬がおらず、この日注目が集まったのは笠松からの遠征馬、カツゲキドラマだった。デビューからの4連勝はすべて他馬を圧倒しており、メンバーの中では抜けた成績。それは人気にも表れ、単勝オッズは1.1倍と断然の支持を集めた。地元の筆頭は、4戦1勝、2着1回、3着2回と安定した走りを続けているショートカットで、単勝6.5倍。単勝10倍以下はこの2頭のみとなった。
 ゲート入りを嫌がる馬がいて約10分遅れてのスタート。予想どおり好ダッシュを見せたショートカットが先手を奪い、連れてユキノドルフィン、ビエントブランコと外枠の馬たちが先団を形勢した。
 一方のカツゲキドラマは、スタートダッシュが決まらず、後方3番手からの競馬となった。ここからどんな動きを見せるのか注目が集まる中、尾島徹騎手は向正面に入ったあたりで早めに仕掛けた。進路を外に変えると、そのまま一気に進出。3コーナーでは早くも先行集団にとりつき、直線に入ると、逃げていたショートカットに並ぶ間もなくあっさりと交わした。その勢いのまま差を広げ、4馬身突き放しての圧勝。尾島騎手の左手が大きく上がった。
 カツゲキドラマは、これで無傷の5連勝。初遠征、初コースにもかかわらず、圧倒的なパフォーマンスで初めてのタイトルを手にした。父クロフネ、母アジアンリゾートという血統で、2010年の兵庫ダービー馬ハイパーフォルテの全妹ということでも話題を集めた。「園田にゆかりのある血統なので、このコースも大丈夫でした」と尾島騎手。勝ちタイム1分29秒8は、重賞として行われた過去7年で最速、昨年の優勝馬アスカリーブル(その後、南関東牝馬2冠)を1秒3も上回った。さらに、道中で脚を使いながら直線でしっかり伸びるというレースぶりには、「2歳にしては味のある競馬をする」と、陣営もこの馬のセンスの高さを語っていた。現時点での課題は、砂をかぶるのを嫌がることと、デビュー時よりもスタートしてから進まなくなっているので、せめて中団より前に位置取れるようにしたいとのこと。しかし、まだキャリア5戦。大物感たっぷりのこの馬に抱く期待は大きい。
尾島徹騎手
初遠征でしたがすごく落ち着いていました。道中は包まれるとまだダメですね。怖がっているし、砂も嫌がるので慣れないと。もっと幅が出てくるといいと思います。折り合いもつくので距離ももつと思いますよ。今まで自分が乗ってきた馬の中で1番2番のレベル。久しぶりに楽しみな馬が出てきました。
柴田高志調教師
飼葉はしっかり食べていたけどレース間隔が短かったぶん、少し体重が減りましたね。今日はスタートが悪くてひやっとしました。以前はポンっと出ていたんですけど。でもレースは上手ですね。潜在能力の高さは感じています。距離は1800メートルくらいまでだったら伸びても大丈夫だと思います。

 柴田高志調教師と尾島騎手のコンビといえば、笠松の実力馬マルヨフェニックスを思い浮かべるが、尾島騎手はカツゲキドラマをそのマルヨフェニックス級だと評価する。「とにかく、この先無事に走ってほしい」という言葉は、来年以降の活躍もしっかり見据えているようだった。
 今後は、川崎・ローレル賞(11月5日)、笠松・プリンセス特別(11月20日)という予定で、グランダム・ジャパン2歳シーズンの女王を狙う。

取材・文:秋田奈津子
写真:桂伸也(いちかんぽ)