データ分析 Data Analysis

真夏の牝馬マイル重賞

ダート競走の体系整備により、2月のクイーン賞JpnIII、4月の兵庫女王盃JpnIII、5月のエンプレス杯JpnIIという並びになって新たな幕を開けた古馬牝馬路線。このスパーキングレディーカップJpnIIIは今まで通りの7月実施だが、傾向に変化があるのか要チェック。ここでは2014~23年の過去10回を分析していく。

JRA優勢も南関東の奮闘も目立つ

JRA栗東6勝、美浦3勝と勝利数だけを見るとJRAが有利だが、JRAによる馬券圏独占は2015、18年の2回しかなく、南関東も奮闘を見せている。大井は21年Vのサルサディオーネを含めて1勝、2着2回、3着4回。残りの2、3着1回ずつは浦和となっている。大井・堀千亜樹厩舎はサルサディオーネの活躍もあるが19年には11番人気のローレライが3着に食い込んで【1-0-3-0】。また荒山勝徳厩舎も3頭が出走して2着2回と、大井の2つの厩舎が出てくれば注意が必要だ。[表1]

[表1]所属別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
JRA栗東 6 6 3 13 21.4% 42.9% 53.6%
JRA美浦 3 1 2 5 27.3% 36.4% 54.5%
南関東 1 3 5 47 1.8% 7.1% 16.1%
上記以外 0 0 0 16 0.0% 0.0% 0.0%

基本的には順当も3着は伏兵注意

[表2]を見ても分かるように上位人気の好走が多く、比較的順当な結果に収まっている。2019年に6番人気で2着に好走したJRA在籍時のサルサディオーネ以外は、連対は全て1~4番人気馬。上位人気馬同士のワンツー決着が基本となっている。ただ、10回のうち4回は3着に5番人気以下が台頭。その4回を含む6回で3連単は万馬券が飛び出しており、紐荒れを狙う術もある。ちなみに5番人気以下で馬券に絡んだ5頭は、地方馬であれば近2走以内にB1クラスを勝利、JRAならダート重賞で連対の実績があった。

[表2]単勝人気別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
1番人気 4 2 1 3 40.0% 60.0% 70.0%
2番人気 3 2 1 4 30.0% 50.0% 60.0%
3番人気 2 3 3 2 20.0% 50.0% 80.0%
4番人気 1 2 1 6 10.0% 30.0% 40.0%
5番人気 0 0 1 9 0.0% 0.0% 10.0%
6番人気以下 0 1 3 57 0.0% 1.6% 6.6%

内枠は先行力があることが重要

馬番別成績が[表3-1]。さらに内中外に分けた[表3-2]を見てみると、内の1~4番と外の9~14番(14頭立ての6枠より外)が7連対ずつだが、連対率では外が優勢。その要因を分析してみると、1~4番で連対した7頭のうち6頭は4コーナーまで3番手以内をキープしており、好走には前につけるという条件が付く。2017年の1番人気ホワイトフーガ(2番)や昨年2番人気のグランブリッジ(1番)なども人気を集めながら3番手までにつけることができず、馬券圏外に沈んだ。それに対して外枠は逃げ・先行馬が有利ではあるものの、内枠よりは融通が利いている。なお中の5~8番では、7番しか勝利がないが3着内率では内外と互角の数字になっている。

[表3-1]馬番別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
1番 2 0 1 7 20.0% 20.0% 30.0%
2番 1 1 0 8 10.0% 20.0% 20.0%
3番 1 1 0 8 10.0% 20.0% 20.0%
4番 1 0 2 7 10.0% 10.0% 30.0%
5番 0 1 0 9 0.0% 10.0% 10.0%
6番 0 0 1 9 0.0% 0.0% 10.0%
7番 2 0 2 6 20.0% 20.0% 40.0%
8番 0 3 2 5 0.0% 30.0% 50.0%
9番 0 1 2 7 0.0% 10.0% 30.0%
10番 2 2 0 4 25.0% 50.0% 50.0%
11番 0 0 0 5 0.0% 0.0% 0.0%
12番 1 1 0 3 20.0% 40.0% 40.0%
13番 0 0 0 2 0.0% 0.0% 0.0%
14番 0 0 0 1 0.0% 0.0% 0.0%

[表3-2]馬番別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
1~4番 5 2 3 30 12.5% 17.5% 25.0%
5~8番 2 4 5 29 5.0% 15.0% 27.5%
9~14番 3 4 2 22 9.7% 22.6% 29.0%

近年のトレンドは前走栗東S

天王山ステークスと栗東ステークスからの臨戦が好相性で、両レース合わせて【4-3-1-1】。特に2020年からの過去4回に好走が集中している前走栗東ステークス組が参戦していれば侮れない存在になる。また、かしわ記念JpnIで強力牡馬と戦ってきた馬も【2-1-1-0】と安定感は抜群。また、さきたま杯組も【2-0-1-2】と相性がよく、今年からJpnIに昇格してメンバーレベルが上がることが想定されるだけに、マークは外せない。他にはリピーターの活躍が目立っており、ファッショニスタは19・20年と連覇、21年の覇者サルサディオーネは4年連続で3着以内の活躍を見せていた。

勝つのはこういう馬!

大半の勝ち馬は4番人気以内に推されたJRA馬から出ているが、地方馬の健闘にも注意が必要だ。内枠は前に行けることが必須で、脚質の融通が利くのは外枠。過去4回で勝ち馬2頭を送り出す前走栗東ステークス組や、天王山ステークス組も好成績。また一線級の牡馬と戦ってきた馬もV候補といえる。

(文・スポーツ報知 浅子祐貴)

過去20年の所属別成績

  • 1着

  • 2着

  • 3着

注記

当ページの情報は、NARが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。