ゴールドウィング賞
 

2008年10月24日(金) 名古屋競馬場 1600m

 

魅惑のボディを躍らせ、初勝利が重賞タイトル

 
 全国の2歳戦線を結びつける初の試みとなった未来優駿もいよいよ最終戦。今年で47回目となる名古屋のゴールドウィング賞は、未来優駿の5重賞の中で船橋の平和賞に次ぐ歴史を持つ。これまでの勝ち馬に目を向けると、オグリキャップ、オグリローマン、ライデンリーダー、ブラウンシャトレーといった名馬が名を連ねており、その歴史の重みを感じさせる。
 前日から降り続いた雨は昼過ぎには止んだものの馬場状態は不良。特にインコースは完全な泥んこ馬場となり、発走時間に広がった秋晴れの空と不思議なコントラストをコース上に映し出していた。出走12頭の距離経験は道営から移籍のブラックポイント、パワーリストに1500メートルの経験があるものの、そのほかはいずれも1400メートルまで。未知の距離への対応力がカギとなり、金沢に遠征し、兼六園ジュニアカップを逃げて圧勝のニュースターガールと、デビュー4戦3勝のヘイハチプリンセスが人気を分け合った。
 ゲートが開くとヘイハチプリンセスとダイナマイトボディが好ダッシュ。一方、今回も逃げると思われていたニュースターガールはゲート入りでやや待たされた影響かスタートを決められず、中団からの競馬となり人気両頭が対照的な状況に。マイペースに持ち込んだヘイハチプリンセスに有利な流れに見えたが、直後から終始プレッシャーを与え続けたダイナマイトボディが2周目3コーナーで動くと、ヘイハチプリンセスは内で抵抗するのが精一杯。「手応えが良かったので、思い切って行かせました」と倉地学騎手が振り返るように、一気に後続を引き離して抜け出したダイナマイトボディが、最後までセーフティリードを保って勝利。3コーナーから懸命にニュースターガールが追い上げたが、ヘイハチプリンセスを交わしたところがゴールだった。
 勝ったダイナマイトボディはこれまでの3戦がいずれも2着で、昨年のイーストミーに続いて2年連続で未勝利馬による勝利。馬自身にも課題が多く、またヘイハチプリンセスにはここ2戦続けて敗れていたが、矯正ハミを使うなどきっちりと対策を施して臨んだことが、大一番での初勝利につながったようだ。
 普段クールなイメージの倉地学騎手が、引き上げてくるなり「ヨッシャァ!!」と大きな声とともにガッツポーズ。実はこの勝利が倉地騎手にとって通算900勝のメモリアル。この日の第7レースを勝ってリーチ一発での達成、それが重賞で、しかも自身でも会心の騎乗だったというのであれば、興奮してしまうのも無理はないだろう。
 この秋のスーパージョッキーズトライアル、未来優駿、レディースジョッキーズシリーズの統一キャンペーン名はドラマティック3。馬にとっても、騎手にとってもアニバーサリーとなる勝利で、文字通りドラマティックに未来優駿は幕を閉じた。

取材・文:土屋真光
写真:森澤志津雄

 
倉地学騎手
 思い切りを欠いて敗れた前走の内容が悔しかったので、今日は強気に乗りました。3コーナーでの手ごたえの良さから動いていったのですが、脚を余して負けるよりいいと開き直ったのが結果に繋がりました。節目の勝利をこういった形で飾れて、とにかく今日は気持ちがよかったです。 
 
角田輝也調教師
 モタれる面があるので今回はハミの種類を変え、前走からの中間も2歳馬にとってはスパルタ的な稽古をつけたのが結果につながりました。前走が不満の残る負け方だったのですが、ジョッキーもそれは理解していたようで、特に指示は出さずともイメージ通りに乗ってくれました。