兵庫若駒賞
 

2008年10月23日(木) 園田競馬場 1400m

 

脚部不安を払拭する快走、気合のチョップで2連勝

 
 折り返し地点を過ぎた未来優駿は再び西下し、第4弾は重賞に格上げとなった兵庫若駒賞。午前中に降った雨の影響もあってか、10月だというのに半袖のワイシャツでも普通に過ごしているだけで汗が浮かぶほどの蒸し暑さ。いよいよ10日後に関西圏で初となるJBCを控えた園田競馬場は、春先に比べて目立った違いはないものの、大型ビジョンの改修など祭りの前の独特の雰囲気を醸し出していた。
 プリーズミーが競走除外で9頭が出走。今回は出走を見送る有力馬もおり、実況の吉田勝彦アナウンサーが専門誌に記した言葉を借りれば「中間決算」といった様相。園田1400メートル2戦2連対のジョウショーリズム、デビュー戦好時計勝ちのカラテチョップ、前走で園田プリンセスカップを制したエンドスルーが人気を分け合った。
 エンドスルーがスタートからじわっと先手を取り、これにシュペルミステール、クリプトンらが外から先行集団を形成。行きたがるのをなだめるようにカラテチョップがその直後のインコース、ジョウショーリズムは後方から数えて2番手で続いた。1コーナーで早々とペースが落ち着いたが、向正面に入るやエンドスルーが後続を引き離そうとペースアップ。ここで慌てずに追走したカラテチョップが、先行勢の脚が鈍り始めた3コーナー付近から外に持ち出して差を詰めると、直線では粘るエンドスルーを残り50メートルで交わして1着でゴール。後方から馬群を縫うように進出したストロングヒロインが最後に差を詰めて2着に浮上。人気の一角ジョウショーリズムは大外から差を詰めたが、時すでに遅く掲示板確保が精一杯だった。
 2戦2勝で重賞勝利となったカラテチョップだが、デビュー戦の後に右前脚に骨りゅうを発症をし、これが2カ月ぶりのレース。決して順調ではなかったが、実戦勘を取り戻すためレース2週前に敢行した自主能検で「2歳馬としては破格のタイム」(寺嶋正勝調教師)を叩き出したことが、陣営の自信となり落ち着いたレースぶりでのタイトル獲得へと繋がった。
 また、カラテチョップの母系は派手さはないものの活躍馬が名を連ねる血統。母のきょうだいには群馬記念GIII勝ちのあるマイネルブライアンや名古屋優駿GIII3着のマイネヴィータなどがおり、今後のダートグレードでの活躍を予感させる。順調ならば次走は兵庫ジュニアグランプリJpnII。強力な中央勢に力強い空手チョップをお見舞いするシーンを期待しよう。

取材・文:土屋真光
写真:桂伸也

 
下原理騎手
 久々ということもあってか序盤は行きたがって困りましたが、2コーナーの手前でハミを抜いてくれて落ち着いてくれたので、後半はどこで外に出すかだけに集中できました。自主能検の内容からも、外にきっちり出せれば届くと思っていましたからね。 
 
寺嶋正勝調教師
 デビュー勝ちの前走の後、脚元に軽い不安が出たので間隔を取りました。レースについてはジョッキーに一任。仕掛けも自分の意としていたところと同じでしたので、安心して見ていられました。馬の状態次第ですが、年内は地元で2戦(兵庫ジュニアグランプリJpnII、園田ジュニアカップ)を使う予定です。