グランダム・ジャパン タイトル
レース名 実施日 競馬場 距離 地区
園田プリンセスカップ 9/18(木) 園田 1,400m 北陸・東海・近畿
エーデルワイス賞 JpnⅢ 10/16(木) 門別 1,200m 北海道
ローレル賞 11/5(水) 川崎 1,600m 南関東
ラブミーチャン記念 11/11(火) 笠松 1,600m 北陸・東海・近畿
プリンセスカップ 12/1(月) 水沢 1,400m 東北
東京2歳優駿牝馬 12/31(水) 大井 1,600m 南関東
地方競馬では、牝馬競走の振興と牝馬の入厩促進を図るため、昨年に引き続き、世代別牝馬重賞シリーズ「GRANDAME-JAPAN(グランダム・ジャパン)」を実施します(創設2010年)。

全国各地で行われる牝馬重賞を世代別に体系づけ、競走成績によりポイントを付与。2歳、3歳、古馬の世代別ポイント獲得上位馬に対し、協賛各団体から(社)日本軽種馬協会を通じボーナス賞金が授与されます。地方競馬の優れた牝馬の活躍の舞台を広げるとともに、交流を促進して魅力ある牝馬競走の実施を目指します。

鞍上の経験で勝利に導く
移籍して目指すは2歳女王

 グランダム・ジャパン2歳シーズン第4戦の舞台は笠松。昨年まで『プリンセス特別』として行われていたレースが条件等はそのまま、昨年引退したラブミーチャンを冠するレース名となり、回次も第1回に改められた。これを記念し、当日は幼稚園児を招待して『ラブミーチャンの歌』と踊りが披露されるなど、笠松競馬場は賑やかな1日となった。
 フルゲート10頭に北海道から3頭、岩手から1頭が遠征。このシリーズがスタートした当初、2歳シーズンでは他地区からの遠征馬が少なかったものの、昨年あたりからは積極的にタイトルを狙う遠征馬が増えてきた。特にシーズン終盤を迎えている北海道の所属馬は、輸送してそのまま移籍という事情もあるようだ。
 地元笠松のユーセイシリウスが競走除外となって9頭立て。ここまで重賞勝ちはないものの、JpnⅢのエーデルワイス賞で2着と好走したジュエルクイーンが単勝1.6倍で断然人気。同じく重賞勝ちはないものの、園田プリンセスカップでの2着に加え、地元笠松で準重賞を2勝しているティープリーズが2番人気。380キロ台の小柄な馬体ながら未来優駿シリーズのゴールドウィング賞(名古屋)を制したヒメカイドウが3番人気で、単勝一桁台はこの3頭。
 逃げたラブミーダイヤが3コーナー手前で一杯になり、続いていたレッドムーン、ヒメカイドウが並んで先頭へ。そのうしろを追走していた人気のジュエルクイーンは、向正面でムチが入り、3~4コーナーでは鞍上の阪野学騎手の手が盛んに動いていた。しかし最後方から徐々に位置取りを上げてきたメモリードルマンが外から迫ると、ジュエルクイーンもようやく行く気を見せた。
 直線を向いてまだ3、4番手だったジュエルクイーンとメモリードルマンだったが、他馬との勢いの違いは明らかで、闘志に火がついたジュエルクイーンがメモリードルマンを半馬身差でしりぞけて勝利。1馬身半差で3着にヒメカイドウが入った。
 勝ったジュエルクイーンの阪野騎手は、「(広くて直線が長い)門別の馬場なら、自分のポジションを守って、直線いいところを見つけて抜け出すという感じですが、ズブいしコーナーで動いてくれないので、向正面から動いて4コーナー先頭というつもりで乗りました」という。昨年まで名古屋に所属していた阪野騎手は、当然笠松コースの経験もあり、その小回りでの経験がなければ勝てなかったかもしれないと、断然人気にこたえられたことにはホッとした様子だった。
 さて、グランダム・ジャパン2歳シーズンのポイントでは、エーデルワイス賞JpnⅢ・2着のポイントに、今回他地区1着の15ポイントを加えて30ポイントとしたジュエルクイーンが単独トップに立ち、15ポイントで2位のネガティヴに大きな差をつけた(表彰対象ではないJRA所属馬を除く)。ジュエルクイーンはこのまま名古屋・川西毅厩舎に移籍して、グランダム・ジャパン2歳シーズン女王を狙うことになるようだ。
阪野学騎手
初めての馬場で馬に戸惑ったところもあったと思いますが、ズブい馬でコーナーで動いてくれないので焦りました。それでも外から(メモリードルマンが)来てくれたことでハミを取り直してくれました。プレッシャーはそれほどなかったですけど、だいたいイメージ通りにうまくいきました。
田中淳司調教師
(委託)
普段から一生懸命走るほうではないので、取りこぼしも多かったし、初めての馬場で、1周回るのも初めてで、馬も戸惑ったのか、ハミを抜いて走っていました。それでも最後は力でねじ伏せてくれました。テンにガンガン行くようなタイプではなので、小回りなら距離はマイルくらいあってもいいと思います。



取材・文:斎藤修
写真:宮原政典(いちかんぽ)