データ分析 Data Analysis

上半期のダート路線総決算

例年、6月下旬に行われる(今年は7月2日)、大井2000m戦。上半期ダートグレード競走総決算と言えるレースで、JRAからは春にサウジやドバイへ遠征した一線級の馬たちも出走する。ここでは、2015年以降の過去10回をデータで振り返る。

概ねJRA勢による争い

過去10年、優勝は全てJRA勢。3着内30頭中27頭を占め、概ねJRA勢の中での争いと言える。3着内に入った地方勢のべ3頭は、JRA所属時代にGI/JpnI勝利経験のあるノンコノユメ(2019年3着、21年2着)と、羽田盃と東京ダービーの二冠を制しジャパンダートダービー2着、かしわ記念3着の実績があったハッピースプリント(15年3着)。地方勢は、JRA勢のトップと匹敵するような戦歴を持つ馬でないと苦しい。[表1]

[表1]所属別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
JRA 10 9 8 40 14.9% 28.4% 40.3%
南関東 0 1 2 46 0.0% 2.0% 6.1%
その他 0 0 0 14 0.0% 0.0% 0.0%

高配当も狙える波乱含みのレース

1番人気はわずか1勝。6番人気以下までまんべんなく勝ち馬が出ていることから、波乱含みのレースであることが窺える。2021年には3連単200万円を超える高配当も出ているが、これを除いた9回の3連単平均配当で見ても1万4274円と、決して堅いレースとは言えない。馬券絡みは概ねJRA勢だとしても、その中で人気薄の馬の“目こぼし”には十分注意すべきレースだ。[表2]

[表2]人気別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
1番人気 1 4 2 3 10.0% 50.0% 70.0%
2番人気 3 1 2 4 30.0% 40.0% 60.0%
3番人気 2 1 1 6 20.0% 30.0% 40.0%
4番人気 1 2 1 6 10.0% 30.0% 40.0%
5番人気 2 1 1 6 20.0% 30.0% 40.0%
6番人気以下 1 1 3 75 1.3% 2.5% 6.3%

4歳馬が活躍

年齢別で見ると、4~6歳が活躍レンジ。高齢馬の活躍も目立つダート競馬にあって、4歳馬のこの活躍は注目に値する。一方7歳以上の馬は、例えば前年覇者で当年1月に川崎記念勝利があったホッコータルマエ(2016年4番人気4着)でも、勝つことが出来なかった。馬券絡みはともかく、優勝候補は6歳までの馬から選ぶべきだ。[表3]
なお関連して、セン馬と牝馬は過去のべ23頭が挑戦して勝利ゼロ。牝馬に至っては5頭で馬券絡みすらない。24年グランブリッジの7番人気4着は健闘の部類と言えるが、牝馬は検討の際には割り引いて考えていいだろう。

[表3]年齢別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
4歳 4 3 1 13 19.0% 33.3% 38.1%
5歳 3 4 1 23 9.7% 22.6% 25.8%
6歳 3 0 3 24 10.0% 10.0% 20.0%
7歳 0 2 4 21 0.0% 7.4% 22.2%
8歳以上 0 1 1 19 0.0% 4.8% 9.5%

かしわ記念組優勢も別路線4歳馬にも注意

活躍馬の殆どを占めるJRA所属馬について、前走種別を調べたところ、かしわ記念からの転戦馬が最も優勢だった。前走かしわ記念からの勝ち馬4頭全てがそれ以前にGI/JpnIの優勝経験がある5、6歳馬。うち3頭がかしわ記念1着だった。ただ逆に、かしわ記念1、2着から当レース4着以下のケースも5例あり、前走着順だけに囚われぬ検討が必要となる。一方、JRAGIIIからの勝ち馬4頭中3頭が4歳馬。同じく3頭がGI/JpnI初制覇。勢いを買うならこの路線と言える。前走海外組は、2020年1着のクリソベリル(4歳、前走サウジカップ)以外は全てドバイワールドカップからの転戦。遠征の疲労や出走間隔も3カ月開くことから心配な面もありそうに思えるが、前記の路線と遜色ない実績を上げており、データからは割引く必要はない。[表4]

[表4]JRA所属馬の前走種別別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
地方かしわ記念 4 2 1 8 26.7% 40.0% 46.7%
地方その他 0 1 3 9 0.0% 7.7% 30.8%
JRAGI 0 0 1 2 0.0% 0.0% 33.3%
JRAGIII 4 3 1 15 17.4% 30.4% 34.8%
海外 2 3 2 6 15.4% 38.5% 53.8%

勝つのはこういう馬!

人気問わず、JRA所属の4~6歳牡馬。実績あるかしわ記念からの転戦組が優勢だが、JRAGIIIや海外から転戦の4歳馬の勢いには注意したい。

(文・坂田 博昭)

過去20年の所属別成績

  • 1着

  • 2着

  • 3着

注記

当ページの情報は、NARが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。