データ分析 Data Analysis

今年こそ地方馬の初優勝なるか

毎年12月に行われる短距離重賞で、各地からスピード自慢の馬が集まる。しかしながら、地方馬による制覇はレース創設からなく、今年こそ悲願の初優勝なるか。例年ハンデ戦らしく人気薄の馬が上位に入り、3連単万馬券にもなりやすい一戦。ここでは2014~23年の過去10回から傾向を見ていく。

地方馬もほぼ毎年3着以内に

過去10回中9回でJRA栗東所属馬が勝利(残り1勝はJRA美浦所属馬)。園田競馬場へは車で約1時間、JRA阪神競馬場への輸送よりも近く、立地的にも有利だ。地方馬は2001年のレース創設以来、優勝はないが、2・3着には頻繁に入っており、過去10回でも8回(10頭)3着以内に入った。ハンデ戦と小回りコースが人気薄の地方馬の活躍を後押ししていると言えるだろう。[表1]

[表1]所属別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
JRA栗東 9 6 3 16 26.5% 44.1% 52.9%
JRA美浦 1 0 1 3 20.0% 20.0% 40.0%
兵庫 0 1 2 38 0.0% 2.4% 7.3%
川崎 0 1 0 1 0.0% 50.0% 50.0%
浦和 0 1 0 2 0.0% 33.3% 33.3%
岩手 0 1 0 3 0.0% 25.0% 25.0%
上記以外 0 0 4 18 0.0% 0.0% 18.2%

5番人気以下の躍進で波乱傾向

1着はすべて単勝4番人気以内。その点だけを見ると堅い決着のように思えるが、3連単万馬券は過去10回中5回と半数に上る。5番人気以下が2・3着に計6頭入っているのがその原因で、1番人気が勝った2019年でも2着に8番人気、3着に9番人気の地方馬が入り、3連単は9万2890円の波乱となった。[表2]

[表2]単勝人気別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
1番人気 4 1 3 2 40.0% 50.0% 80.0%
2番人気 3 3 0 4 30.0% 60.0% 60.0%
3番人気 1 2 1 6 10.0% 30.0% 40.0%
4番人気 2 3 1 4 20.0% 50.0% 60.0%
5番人気 0 0 2 8 0.0% 0.0% 20.0%
6番人気以下 0 1 3 57 0.0% 1.6% 6.6%

主軸は4・5歳

年齢別では4・5歳が勝利数などを見ても好成績だ。当レース創設から2013年までの13回中10回は6歳以上の馬が優勝。しかし“ダートは経験豊富な年長馬が活躍する”と言われたのは以前の話で、近10回では5歳以下が6勝。体力が充実し、勢いのある世代に活躍の軸が移りつつある。[表3]

[表3]年齢別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
3歳 1 0 2 7 10.0% 10.0% 30.0%
4歳 2 2 3 13 10.0% 20.0% 35.0%
5歳 3 1 0 11 20.0% 26.7% 26.7%
6歳 2 3 2 16 8.7% 21.7% 30.4%
7歳 2 1 0 18 9.5% 14.3% 14.3%
8歳以上 0 3 3 16 0.0% 13.6% 27.3%

53kg以下、差し・追込の地方馬に注目

[表1]のように勝利こそないものの2・3着には地方馬が頻繁に入る一戦。過去10回で3着以内に入った地方馬は10頭いるが、53kg以下で3着以内に入った7頭はすべて地方馬[表4]。
うち5頭の1コーナーでの位置取りは5番手以下と差し・追込での好走だった。一方、豊富なスピードを武器に1コーナーを先頭で回った地方馬はハンデにかかわらず6頭いたが、そのうち3着以内に粘れたのは2020年2着ベストマッチョ(川崎)と、21年3着イグナイター(兵庫)のみ。逃げ・先行の地方馬は厳しい戦いを強いられている。

[表4]ハンデ別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
53kg以下 0 2 5 47 0.0% 3.7% 13.0%
54~55.5kg 0 1 0 13 0.0% 7.1% 7.1%
56~58kg 8 3 4 19 23.5% 32.4% 44.1%
58.5kg以上 2 4 1 2 22.2% 66.7% 77.8%

勝つのはこういう馬!

第一は上位人気に推されたJRA栗東所属馬。勝ち馬に関しては逃げ・先行が有力で、10頭中7頭が1コーナー4番手以内。勝ち馬のハンデは56kg以上だが、JRA馬はほぼ当てはまるので、あまり気にしなくてもいいだろう。

(文・大恵陽子)

過去20年の所属別成績

  • 1着

  • 2着

  • 3着

注記

当ページの情報は、NARが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。