先を見据える実力馬や新興勢力の対戦
ダートの一線級はJBCクラシックJpnIやチャンピオンズカップGIを目指すだけに、その間に行われる当レースは今後に向けて賞金を加算したい馬や、過去の活躍馬が顔をそろえることが多い。ここでの結果次第では約1カ月後の東京大賞典GIも視野に入るだけに、その先のダート路線を占う意味では重要になる。ここでは2014~23年の過去10回の結果から傾向を探っていく。
2014年は南関東が馬券圏内を独占し、翌15年はワンツー決着。17年までの4回はいずれも南関東勢が馬券に絡んでいたが、近6回では様相が激変。タービランス(浦和)が2着に好走した21年以外は、JRA勢が3着以内を占めており、なかでも6連勝中の栗東が勝率などを見ても中心になるだろう。ちなみに3着以内に入った地方馬、延べ8頭の内訳は大井と船橋が1勝を含む3頭ずつで、浦和が2頭となっている。[表1]
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
JRA栗東 | 7 | 4 | 7 | 14 | 21.9% | 34.4% | 56.3% |
JRA美浦 | 1 | 2 | 1 | 8 | 8.3% | 25.0% | 33.3% |
南関東 | 2 | 4 | 2 | 43 | 3.9% | 11.8% | 15.7% |
上記以外 | 0 | 0 | 0 | 16 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
1~5番人気が各2勝を挙げており、3番人気の連対率と3着内率が優秀という以外はさほどの差は出ていない。ちなみに2018年オールブラッシュ(単勝16.4倍)、23年ディクテオン(同11.0倍)以外の勝ち馬の単勝は10倍以下。当日のオッズを見て勝ち馬を絞るのも策になりそう。また、勝利がない6番人気以下に目を向けて見ると、馬券対象になるのは7番人気まで。15年2着のサミットストーン(船橋)は前年の覇者。14年3着トーセンアレス(浦和)はJRA在籍時にオープンでV歴、22年3着アイオライト(JRA)は全日本2歳優駿JpnIでの連対歴があったが、当日は伏兵扱いされていた。[表2]
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
1番人気 | 2 | 2 | 2 | 4 | 20.0% | 40.0% | 60.0% |
2番人気 | 2 | 1 | 1 | 6 | 20.0% | 30.0% | 40.0% |
3番人気 | 2 | 5 | 1 | 2 | 20.0% | 70.0% | 80.0% |
4番人気 | 2 | 0 | 3 | 5 | 20.0% | 20.0% | 50.0% |
5番人気 | 2 | 1 | 1 | 6 | 20.0% | 30.0% | 40.0% |
6番人気以下 | 0 | 1 | 2 | 58 | 0.0% | 1.6% | 4.9% |
年齢別の[表3-1][表3-2]のバランスはあまり変わらないように映るが、ここでは近年好調なJRA馬に限定した[表3-2]に注目する。複数勝利を挙げている3、4、6歳は勝率などでも高い数字をマーク。その3世代から出た勝ち馬を見てみると、3歳の2頭は同年のジャパンダートダービーJpnIで連対の実績馬だったが、4歳3頭のうち2頭は過去3走以内にJRA3勝クラスを勝ってオープン入りしたばかりで、オープン以上での実績はそこまで必要とならない。また、6歳は過去に浦和記念JpnIIで3着以内があった2頭が再度好走している。出走馬がいればになるが、5頭の参戦で3着3回の8歳も要注意。同年のダートグレードで複数回連対していたり、浦和記念JpnIIでの好走歴があれば上位圏内だ。
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
3歳 | 2 | 3 | 0 | 5 | 20.0% | 50.0% | 50.0% |
4歳 | 4 | 2 | 2 | 10 | 22.2% | 33.3% | 44.4% |
5歳 | 1 | 2 | 4 | 13 | 5.0% | 15.0% | 35.0% |
6歳 | 3 | 1 | 0 | 11 | 20.0% | 26.7% | 26.7% |
7歳 | 0 | 1 | 1 | 19 | 0.0% | 4.8% | 9.5% |
8歳 | 0 | 1 | 3 | 13 | 0.0% | 5.9% | 23.5% |
9歳以上 | 0 | 0 | 0 | 10 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
3歳 | 2 | 2 | 0 | 2 | 33.3% | 66.7% | 66.7% |
4歳 | 3 | 2 | 2 | 4 | 27.3% | 45.5% | 63.6% |
5歳 | 1 | 1 | 3 | 6 | 9.1% | 18.2% | 45.5% |
6歳 | 2 | 1 | 0 | 4 | 28.6% | 42.9% | 42.9% |
7歳 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
8歳 | 0 | 0 | 3 | 2 | 0.0% | 0.0% | 60.0% |
9歳以上 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
近年はJRAに押され気味の地方勢だが、ここではどのような馬が好走してきたのかを見ていきたい。2014年の勝ち馬サミットストーン(船橋)は地方に移籍後、メキメキと力をつけ、白山大賞典JpnIIIでダートグレード初連対を果たした直後に勝利。翌15年にも2着と好走した。その15年に優勝したハッピースプリント(大井)は全日本2歳優駿JpnIを制すなど、それまでにJpnIで連対2回。15年はかしわ記念JpnI、帝王賞JpnIでともに3着と好走しており、16年にも浦和記念JpnIIで3着を確保した。17年2着のヒガシウィルウィン(船橋)はジャパンダートダービーを制したJpnI馬。21年2着のダービランス(浦和)は、同年の川崎記念JpnI・4着のほかに、南関東重賞を2勝するなど好調なシーズンを送っていた。地方馬の馬券圏内の多くはJRA勢と遜色のない力を示していた馬によるものだった。
2018年以降はJRA優勢。同年JpnIで2着以内に入った3歳馬や、過去に浦和記念JpnIIで好走した6歳馬がいれば要チェック。4歳は3勝クラスを卒業してから間がなくても首位争いに加わっている。地方馬に狙いを定めるとしたらJpnIでの馬券圏内があるか、ダートグレードで前走連対など、実績か近走の充実ぶりが問われる。
(文・スポーツ報知・浅子祐貴)
1着
2着
3着
注記
当ページの情報は、NARが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。