データ分析 Data Analysis

砂の女王決定戦

牝馬限定戦として国内唯一のダートGI/JpnIで、トップクラスがここを目標に顔を揃える。2011年の創設からの13回中、JRA馬が12勝し、地方馬は17年ララベル(大井)による1勝のみ。ここではJRA京都での開催だった18年を除く、地方開催だった過去10回の結果を元に分析していく。

JRAが9勝と圧倒

10回中9回がJRA馬による勝利で、うち8回では3着以内を独占している。3着以内馬の数では、栗東【7-6-7-23】、美浦【2-4-1-10】と栗東優勢となるが、勝率・連対率・3着内率となるとそこまで大きな差はない。地方馬は南関東の1勝(大井)、3着2回(大井と浦和)のみ。また、開催場の所属馬は2017年大井の1、3着。19年浦和の5着など好走例はあるが、それ以外の年は掲示板外に敗れており、地の利を活かして大健闘というケースは考えづらいか。[表1]

[表1]所属別成績(JRA京都開催だった18年を除く過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
JRA栗東 7 6 7 23 16.3% 30.2% 46.5%
JRA美浦 2 4 1 10 11.8% 35.3% 41.2%
南関東 1 0 2 44 2.1% 2.1% 6.4%
上記以外 0 0 0 26 0.0% 0.0% 0.0%

1番人気の信頼度は高い

1番人気が4勝、2・3番人気が各2勝、4・5番人気が各1勝と、人気に沿った勝利数分布となっている。中でも1番人気は3着内率90.0%と信頼度が高い。1~3番人気が3着までを占めたのは5回(2014、19、20、22、23年)ある一方、6番人気以下の3着以内は3頭だけと、基本的には上位人気での決着。地方馬が2頭馬券に絡んだ17年のみ1~3番人気が揃って4着以下(5→4→8番人気で決着)となった。[表2]

[表2]単勝人気別成績(JRA京都開催だった18年を除く過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
1番人気 4 1 4 1 40.0% 50.0% 90.0%
2番人気 2 3 0 5 20.0% 50.0% 50.0%
3番人気 2 2 3 3 20.0% 40.0% 70.0%
4番人気 1 2 1 6 10.0% 30.0% 40.0%
5番人気 1 1 0 8 10.0% 20.0% 20.0%
6番人気以下 0 1 2 80 0.0% 1.2% 3.6%

4・5歳が中心

年齢別の成績が[表3]で、5歳が【6-1-6-24】と勝利数では他の世代を圧倒。4歳は1勝のみだが【1-6-3-32】と、連対率と3着内率では5歳に次ぐ数字。この2世代が中心となる。
6歳で3着以内に入った4頭のうち、JRA所属の3頭は前走がレディスプレリュードJpnIIまたはスパーキングレディーカップJpnIIIで連対しての出走だった。

[表3]年齢別成績(JRA京都開催だった18年を除く過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
3歳 2 1 0 16 10.5% 15.8% 15.8%
4歳 1 6 3 32 2.4% 16.7% 23.8%
5歳 6 1 6 24 16.2% 18.9% 35.1%
6歳 1 2 1 21 4.0% 12.0% 16.0%
7歳 0 0 0 9 0.0% 0.0% 0.0%
8歳以上 0 0 0 1 0.0% 0.0% 0.0%

レディスプレリュード組の信頼度は高いが……

前走がレディスプレリュードJpnIIだった馬は53頭いて6勝を挙げ、2着4回、3着6回。毎年1頭は3着以内に入っている。しかし連勝したのは2013年メーディア1頭。なお、ここ5年の勝ち馬に限れば、前走が同レースだったのは21年テオレーマのみで、別路線組へ注意が必要となっている。
3歳は関東オークスJpnIIの勝ち馬が出走してくれば【1-1-0-2】と半数が連対している。今年からマリーンカップJpnIII(船橋1800m)が3歳限定戦となり9月に移動。こちらの勝ち馬にも注目したいところ。

1860mの馬番別では……

JBCレディスクラシックJpnIは1800mが基本で、佐賀にも設定はあるが、スタート地点から最初のコーナーまでの距離がダートグレード施行基準を満たしておらず、2023年4月に1860mを新設。24年9月24日現在で15競走(3歳・A級・B級が各4競走、C級が3競走)が行われた。
馬番別の[表4]では、3・4番が最多の3勝。3着以内まで含めると中ほどの3~6番が良績を残している。9番より外は出走頭数次第でサンプルが少なくなる面もあるが、苦戦していると言えるだろう。

[表4]佐賀1860m 馬番別成績(23年4月29日~24年9月24日)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
1・2番 3 2 2 22 10.3% 17.2% 24.1%
3・4番 4 5 3 18 13.3% 30.0% 40.0%
5・6番 3 6 5 16 10.0% 30.0% 46.7%
7・8番 3 0 3 23 10.3% 10.3% 20.7%
9~12番 2 2 2 23 6.9% 13.8% 20.7%

1860mのコーナー通過順では……

1860mのコーナー通過順のデータが[表5-1][表5-2]。1コーナー、2周目3コーナーでの位置取りを、先頭(逃げ)、2~6番手(先行)、7番手以下(差し・追い込み)に分けて見てみると、逃げ+先行が優位。差し・追い込みから勝ち馬は出ておらず、3コーナーでも7番手以下だと2着1回、3着4回。
2000mで行われる佐賀記念JpnIIIの過去10回(2015~24年)を参考にすると、さらに逃げ・先行優位の数値となるが、多くの地方馬が後方追走となり、JRA馬の位置取りが全体的に前になるため。JBCレディスクラシックJpnIでも同様の流れとなりそうだ。

[表5-1]佐賀1860m 1コーナー位置取り別成績(23年4月29日~24年9月24日)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
1コーナー[先頭] 4 1 0 10 26.7% 33.3% 33.3%
1コーナー[2~6番手] 11 12 4 48 14.7% 30.7% 36.0%
1コーナー[7番手以下] 0 2 11 44 0.0% 3.5% 22.8%

[表5-2]佐賀1860m 3コーナー位置取り別成績(23年4月29日~24年9月24日)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
3コーナー[先頭] 5 4 0 6 33.3% 60.0% 60.0%
3コーナー[2~6番手] 10 10 11 44 13.3% 26.7% 41.3%
3コーナー[7番手以下] 0 1 4 52 0.0% 1.8% 8.8%

勝つのはこういう馬!

前走レディスプレリュードJpnIIから参戦してきたJRAの上位人気馬がやはり中心となるだろう。当地で行われている佐賀記念JpnIII(2000m)と、サマーチャンピオンJpnIII(1400m)のダートグレード2競走は牝馬の出走が少なく、コース経験があるJRA馬の出走は少なそうだが、今年の佐賀記念JpnIIIでグランブリッジが出走(4着)しており、こちらに出走してくれば注目を集めそうだ。

(文・上妻輝行)

過去20年の所属別成績

  • 1着

  • 2着

  • 3着

注記

当ページの情報は、NARが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。