レースの見どころ
全日本的なダート競走体系の整備に伴い、新たにダートグレード(JpnⅡ)に格上げされた岩手競馬3歳クラシック伝統の一戦。このレースは来月大井で開催されるジャパンダートクラシックのトライアルとして施行されるが1着馬のみ優先出走権が与えられる狭き門。盛岡2000mは内外の有利不利はなく力比べにもってこいのコース設定ゆえ強力な布陣を揃えてきたJRA勢の優位ではあるが、北海優駿1、2着馬の道営2頭や岩手の至宝フジユージーンが無敗でこの大一番に挑む競馬ファン必見の戦いとなりそう。
陣営いわく「久々の割に良く粘って地力を改めて実感。使った上積みはあるし、ポジション取りの面からこれぐらいの距離がいい」と前走のレパードSを好評価。左回りは川崎・全日本2歳優駿5着、サウジダービー10着、前走2着と未勝利なのはちょっと気になるところではあるが実績は十分に積んできた。ひと叩きした上積みにどこからでも競馬が上手にできるレースセンスの良さが魅力で周囲の状況を見ながらレースができるこの枠も絶好とみる。
東京芝・新馬戦4着以降ダートに変更して2戦目であっさり勝ち上がり、3戦目門別・JBC2歳優駿でフォーエバーヤングの2着と好走。カトレアS惨敗から再び芝へと路線を替えてホープフルS3着→若駒S1着→皐月賞9着→日本ダービー12着と芝の王道路線を歩んできたが、休養後は秋の大一番ジャパンダートクラシック参戦を意識した調整にスイッチ。ダートでどれだけのポテンシャルを秘めているのか?かなり未知数なところはあるが基礎能力は高い。若駒S以来の武豊騎手のエスコートとあらばいい勝負に持ち込めそうな予感。
山口師いわく「逃げる馬がいなくて逃げる競馬となっているだけで、本来は好位から脚を伸ばすタイプ。今回はそのスタイルで競馬ができる」と必ずしもハナに拘っていないし、いかなる流れにも対応するセンスの良さが持ち味、道営3冠3・1・3着ながら北海優駿を制した実力は侮れないが勝ちタイム2.11.1は当時のトラックバイアスがどうであれ一昨年のシルトプレ、昨年のベルピットには遠く及ばない走破タイム。好位から粘るしぶとさを引き出せばタフな消耗戦で強さを発揮か。
ブラックバトラー「ここ2戦は流れ合わず。JRA勢がいれば展開は流れるだけに力は出せそう」と田中淳師。終い一辺倒ではなくなった直近のレースぶりに成長の跡が感じられ2000mも守備範囲。カシマエスパーダ「予定通りのプラン、初の左回りは心配してないが胸を借りる立場。結果次第でジャパンダートクラシックへ」と鈴木慎師。前走リステッドを制したばかりだが目下3連勝中の勢いは無視できない。フジユージーン「休養先でも坂路で乗り込み、いいムードで出走できる。あとは今までと相手は違うが楽しみの方が大きい」と瀬戸師。無敗でここに挑んできた岩手の至宝、スケールの大きさは他の馬とも互角に映る雄大な馬格、地の利生かせば。
提供 栄冠 千田 正明
注記
当ページの情報は、9月2日(月)17時現在のものです。
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