3歳牝馬上半期のダート頂上決戦
南関東3歳牝馬路線の三冠目として行われ、賞金を加算してきたJRA馬と地方の実力馬が激突する。ダート路線の体系整備に伴い、マリーンカップJpnIIIが9月に移り3歳牝馬限定戦として生まれ変わったことで、そこへ繋がる上半期の3歳牝馬頂上決戦といった意味合いも含まれることになる。地方馬は2012年アスカリーブル(船橋)を最後に勝利をつかめていないが、JRAによる馬券圏内独占は14~23年の過去10回では23年のみと、地方馬の活躍も期待できる。その過去10回の傾向を分析する。
JRAが全勝。美浦6勝に対して栗東4勝と、トータルで見ると美浦が優勢だが、近年はその傾向に変化が見られる。19年までの栗東は【1-1-1-6】と苦戦していたものの、20~23年の4年では【3-1-3-3】と成績が上昇している。また、地方馬も勝利がないとはいえ10頭が馬券圏内と、相手という意味では侮れない存在。南関東は4場すべてから3着内馬を送り出す。19~22年は南関東の牝馬二冠馬が出走し、いずれも3着以内に食い込んでJRA勢と上位争いを演じた。地方他地区で馬券に絡んだのは14年2着のトーコーニーケ(兵庫)が最後となっている。[表1]
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
JRA美浦 | 6 | 3 | 1 | 11 | 28.6% | 42.9% | 47.6% |
JRA栗東 | 4 | 2 | 4 | 9 | 21.1% | 31.6% | 52.6% |
南関東 | 0 | 4 | 5 | 59 | 0.0% | 5.9% | 13.2% |
地方他地区 | 0 | 1 | 0 | 22 | 0.0% | 4.3% | 4.3% |
1、2番人気は、ともに3勝、2着1回と信頼度は高い。首位候補は9勝をマークしている4番人気までと考えておくのが無難だろう。また、6番人気以下で3着以内に好走した4頭のうち3頭は南関東で、2015年3着のトーセンマリオン(浦和)はJRA在籍時の勝利がダート1800メートル。16年2着のミスミランダー(船橋)は東京2歳優駿牝馬で、17年3着のステップオブダンス(大井)は東京プリンセス賞で、それぞれ3着の実績があった。6番人気の低評価を覆して18年に勝利を収めたJRAのハービンマオも前述したトーセンマリオン同様に、ダート1800メートルでのV歴があった。[表2]
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
1番人気 | 3 | 1 | 3 | 3 | 30.0% | 40.0% | 70.0% |
2番人気 | 3 | 1 | 2 | 4 | 30.0% | 40.0% | 60.0% |
3番人気 | 1 | 1 | 2 | 6 | 10.0% | 20.0% | 40.0% |
4番人気 | 2 | 2 | 0 | 6 | 20.0% | 40.0% | 40.0% |
5番人気 | 0 | 4 | 1 | 5 | 0.0% | 40.0% | 50.0% |
6番人気以下 | 1 | 1 | 2 | 77 | 1.2% | 2.5% | 4.9% |
馬番別成績の[表3]からは中ほどから外寄り枠の活躍が目立つように見える。出走頭数の違いはあるが6~14番は8勝を含む17連対。勝率・連対率に目を向けてみると、1~5番の各4.0%、6.0%に対して、6~14番は各9.9%、21.0%と頭数だけではなく、連絡みする確率でも一目瞭然の成績を残している。地方馬で連対した5頭全てが6番から外だったことを考えても、迷った場合には、外枠を選択したい。18年6着のララプリムヴェールは2番、高いパフォーマンスを見せて南関東牝馬二冠を達成していた22年3着スピーディキック(浦和)は1番に入り、ともに1番人気の支持に応えることができなかった。3歳牝馬だけに、いかに気分良く自分のリズムで走ることができるかがポイントになる。
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
1~5番 | 2 | 1 | 4 | 43 | 4.0% | 6.0% | 14.0% |
6~9番 | 3 | 6 | 4 | 27 | 7.5% | 22.5% | 32.5% |
10~14番 | 5 | 3 | 2 | 31 | 12.2% | 19.5% | 24.4% |
元南関東所属の戸崎圭太騎手は、昨年パライバトルマリンで制して過去10回では【2-1-0-1】。馬券圏外だった2017年にしても4着と相性の良さを示している。他には大野拓弥騎手も好相性で、【1-1-1-0】と3度の騎乗機会全てで馬券に絡んでおり、この2名が騎乗してくるようであれば、しっかりとチェックしておきたい。また、血統に目を向けてみると父が米国血統馬の活躍が多い。クロフネ、パイロ、ヘニーヒューズ、シニスターミニスターと日本に馴染みのある馬だけに留まらず、ハーランズホリデーやマリブムーンといった馬からも勝ち馬が出ている。スピードと持続力を兼ね備えた米国血統が活躍できる条件と言えそうだ。
数字の上では6勝のJRA美浦が優勢だが、過去4回では栗東の好走が目立っている。4番人気以内で、外寄りの枠に入れば首位争いに加わってくる可能性は高い。また、安定感がある戸崎圭太、大野拓弥の両騎手が参戦してくるようなら要チェック。スピードと持続力を兼ね備えている米国血統もプラスになる。
(文・スポーツ報知・浅子祐貴)
1着
2着
3着
注記
当ページの情報は、NARが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。