グランダム・ジャパン タイトル
レース名 実施日 競馬場 距離 地区
園田プリンセスカップ 9/21(水) 園田 1,400m 北陸・東海・近畿
エーデルワイス賞JpnⅢ 10/13(木) 門別 1,200m 北海道
金沢シンデレラカップ 10/18(火) 金沢 1,500m 北陸・東海・近畿
ローレル賞 11/3(祝・木) 川崎 1,600m 南関東
ラブミーチャン記念 11/8(火) 笠松 1,600m 北陸・東海・近畿
プリンセスカップ 11/28(月) 水沢 1,400m 東北
東京2歳優駿牝馬 12/31(土) 大井 1,600m 南関東
 地方競馬では、牝馬競走の振興と牝馬の入厩促進を図るため、今年で7年目となる 世代別牝馬重賞シリーズ 「GRANDAME-JAPAN2016(グランダム・ジャパン2016)」を実施します。

 全国各地で行われる牝馬重賞を世代別に体系づけ、競走成績によりポイントを付与。2歳、3歳、古馬の世代別ポイント獲得上位馬に対し、協賛各団体から日本軽種馬協会を通じボーナス賞金が授与されます。地方競馬の優れた牝馬の活躍の舞台を広げるとともに、交流を促進して魅力ある牝馬競走の実施を目指します。

昨年のリベンジとばかり狙ったタイトル
直線後続を突き放し断然人気に応える

 昨年のファシグティプトン・サラトガセール。了徳寺健二氏が25万ドルで競り落としたAkilina 2014(牝、父Speightstown)を管理することになった武井亮調教師は、セリ会場から厩舎スタッフに、「エーデルワイス賞を目指せる馬を買ってもらった」とメールを送っていた。それから約1年後、リエノテソーロと名付けられたその牝馬は、有言実行と言わんばかりにエーデルワイス賞JpnⅢのパドックを周回していた。
 「エーデルワイス賞は昨年、チェストケリリーで人気になりながら敗れていますが(5着)、オーナーだけでなく、自分にとっても悔しいレースでした。リエノテソーロならばそのリベンジを果たせると思っていましたし、デビュー前からこのレースを目標に調整を行ってきました」(武井調教師)
 厩舎スタッフだけでなく、調教で跨がってきた吉田隼人騎手からも「高いダート適性を持ち合わせている」との評価を受けていたリエノテソーロだったが、スピード能力の高さに加え、短距離戦向きの前向きさも評価されていたこともあり、芝1200メートルのメイクデビュー札幌でデビュー。その後はエーデルワイス賞JpnⅢへの出走を確実にするために連闘ですずらん賞へと臨み、見事、勝利を挙げる。
 このエーデルワイス賞JpnⅢは16頭のフルゲートに4頭のJRA所属馬が出走していたが、2勝馬はリエノテソーロだけ。経験充分のホッカイドウ競馬所属馬をも差し置いて、単勝1.7倍という抜けた人気を集めた。
 ゲートが開くと、地元馬も含めた激しい先行争いの中、7枠14番からのスタートとなったリエノテソーロは外を回りながら4、5番手をキープ。「短距離向きの前向きな気性だが、折り合いも付けられる」という吉田騎手の言葉通りに、リズムを崩すことなくポジションを上げていく。
 最後の直線で先頭に立っていたのは、1枠1番の利を生かして最短距離を走っていたアップトゥユー。しかし、残り1ハロンで吉田騎手のゴーサインが出ると、リエノテソーロは一気に加速を始め、後続との差をみるみる広げていく。リエノテソーロがセーフティーリードを保ってゴールした後の2着争いではアップトゥユーが逃げ粘り、その後を追ってきた2番人気ピンクドッグウッドが3着。直線一気の追い込みをかけたオーブスプリングだったが、前を走る2頭を捕らえられず僅差の4着だった。
 昨年のリベンジだけでなく、中央・地方を通じての重賞初制覇を門別競馬場で果たした武井調教師は、「思っていた通りのレースができました」と喜びを噛みしめる。今後はオーナーと話し合って、全日本2歳優駿JpnⅠ、阪神ジュベナイルフィリーズGⅠのいずれかを目指すとのことだが、これも芝・ダートを問わない“二刀流”だからこその悩みと言えよう。
吉田隼人騎手
高い短距離適性を持ち合わせながらもイレ込まず、折り合いもつくので非常に乗りやすい馬です。今日も掛かることなく、直線に入ってからグンと加速してくれました。昨年は1番人気のチェストケリリーに乗せていただきながら、期待に応えられなかっただけに、悔しい思いが晴らせて良かったです。
武井亮調教師
アメリカのダート血統ながらも馬体のつくりが軽く、走りには芝もこなせるだけのセンスの良さも感じられます。早い時期から結果を残していますが、まだまだ成長してくれそうです。スピードがあるのでスプリントもこなしていますが、今日の走りを見ていてもマイルまでならもってくれるはず。

 「芝やダートだけでなく、距離もマイルぐらいまでならこなしてくれそうですし、まだまだ大きなタイトルも目指せるはずです」と話した武井調教師。その言葉もまた“有言実行”となるような活躍を、リエノテソーロは見せてくれるに違いない。
 なおグランダム・ジャパン2歳シーズンの第2戦でもあったこのレース。地方馬では、2着のアップトゥユーが15ポイント、3着のピンクドッグウッドが10ポイントを獲得した。

取材・文:村本浩平
写真:中地広大(いちかんぽ)