断然人気にこたえ逃げ切り圧勝
大晦日の大井で女王の座を狙う

　今年から全7戦となったグランダム・ジャパン（GDJ）2歳シーズンは、後半戦に突入。第5戦ラブミーチャン記念当日は、お昼過ぎから断続的に雨が降っていたが、馬場状態は良のままメインレースを迎えた。
　3年連続で北海道勢が優勝しており、遠征馬の活躍が目立つこのレース（2013年まではプリンセス特別として施行）。今年の注目はなんといっても他地区から唯一の参戦、金沢のヤマミダンスだ。GDJ2歳シーズン第3戦の金沢シンデレラカップを快勝し、デビューから3戦3勝。レース前「力が違う馬が来た」などという地元関係者の声があちらこちらから聞こえた。単勝オッズは午前中から1.0倍をキープしており、最終的には1.1倍となった。
　ゲートが開くと再内枠のヤマミダンスが予想通り先手を取った。「包まれるとレースがしにくくなると思ったので逃げるつもりでいました」と青柳正義騎手。2番手にレッドレイジング、続いてイスタナが積極的に3番手につけ、地元勢では実績上位のハローマイダーリンが4、5番手を追走していた。
　向正面半ば過ぎ、イスタナが前に迫ろうと動き始め、連れてハローマイダーリンも進出を開始したが、それを尻目に3コーナーで差を広げにかかったヤマミダンス。1頭だけ違う手応えで直線に入ると、そのまま後続を突き離し、3馬身差の逃げ切り快勝。デビューから無傷の4連勝、重賞2連勝を飾った。2着には2番人気のハローマイダーリン、3着には4番人気のイスタナが入った。
　今回、初めての遠征がポイントだったヤマミダンス。「馬運車で一緒に来ましたが、車の中でも落ち着いていて、馬体重も480キロ台をキープしてくれました。輸送も問題なさそうです」と青柳騎手。「初めての環境で最初はとまどっていたようですが、返し馬の最初の一歩がとてもスムーズだったので大丈夫だなと思いました」と中川雅之調教師もホッとした表情だった。輸送や初コースをクリアできたことは今後に大きくつながることだろう。
　そして、さらに成長するために青柳騎手は展開面についてあげた。「そろそろ外枠から控えるという競馬がしたいですね。2番手からでも大丈夫なタイプだと思いますが、現段階では行く気にさせるレースをしているし、経験をさせないことには……」。ここまではスピードの違いで全て逃げるレースを見せてきた。しかし、これからメンバーが強くなっていくことを考えると、控える競馬や砂をかぶる競馬など、早い段階で様々な勉強をさせ、対応力を身につけることが重要になりそうだ。
　ヤマミダンスの次走は、11月27日に行われる金沢ヤングチャンピオン。そして、12月31日に大井競馬場で行われる東京2歳優駿牝馬も視野に入れている。「2013年にイグレシアスを東京2歳優駿牝馬に出走させたが、6着に敗れてしまった。その時から、また挑戦できる馬とめぐりあいたいと思っていたんです。地方競馬では大井で勝ち負けできることがひとつの目標ですからね」と中川調教師は想いを語った。
　GDJのポイントでは、北海道のアップトゥユーが30ポイントで変わらず1位。ヤマミダンスが20ポイントとなり2位に浮上した。このレース後「ヤマミダンスとアップトゥユーどちらが強いのか？」そんな話題も上がっていた。最終戦で直接対決が見られれば、大晦日の大井競馬場は盛り上がることだろう。