グランダム・ジャパン タイトル
レース名 実施日 競馬場 距離 地区
スパーキングレディーカップ JpnⅢ 7/6(水) 川崎 1,600m 南関東
ノースクイーンカップ 7/21(木) 門別 1,800m 北海道
兵庫サマークイーン賞 7/29(金) 園田 1,700m 北陸・東海・近畿
読売レディス杯 8/9(火) 金沢 1,500m 北陸・東海・近畿
ブリーダーズゴールドカップ JpnⅢ 8/11(祝・木) 門別 2,000m 北海道
ビューチフルドリーマーカップ 8/28(日) 水沢 1,900m 東北
秋桜賞 9/1(木) 名古屋 1,400m 北陸・東海・近畿
レディスプレリュード JpnⅡ 9/19(祝・月) 大井 1,800m 南関東
 地方競馬では、牝馬競走の振興と牝馬の入厩促進を図るため、今年で7年目となる 世代別牝馬重賞シリーズ 「GRANDAME-JAPAN2016(グランダム・ジャパン2016)」を実施します。

 全国各地で行われる牝馬重賞を世代別に体系づけ、競走成績によりポイントを付与。2歳、3歳、古馬の世代別ポイント獲得上位馬に対し、協賛各団体から日本軽種馬協会を通じボーナス賞金が授与されます。地方競馬の優れた牝馬の活躍の舞台を広げるとともに、交流を促進して魅力ある牝馬競走の実施を目指します。

人気馬を目標にゴール前突き抜ける
兵庫のヴィーナスも健闘の2着同着

 いよいよJBCに向けた重要なステップレース『Road to JBC』が始まった。まずは牝馬の戦いレディスプレリュードJpnⅡ。今年はJRAから5頭、地方馬9頭が、秋雨滴る大井競馬場に集結した。そして、このレースはグランダム・ジャパン古馬シーズンの最終戦でもある。北海道のジュエルクイーン、兵庫のトーコーヴィーナス、高知のディアマルコ、大井のブルーチッパーと優勝の可能性がある馬たちが各地区から参戦し、そのポイント争いにも注目が集まった。
 実績では、昨年のJBCレディスクラシックJpnⅠの覇者である女王ホワイトフーガが断然。当然の如く人気は集中し、単勝1,3倍を示した。しかし、このレースを制したのは4番人気のタマノブリュネット。「競馬に絶対はないと思って挑みました」というレース後の田邊裕信騎手の言葉が印象的だった。
 ゲートが開くと、好スタートを切ったトーコーヴィーナスが押して先手を奪った。逃げが予想されていたブルーチッパーは2番手に。直後にララベルやディアマルコが続き、地方勢が先行集団を形成した。ホワイトフーガは中団馬群に控え、「強い馬の動きを見ながら進めました」(田邊騎手)というタマノブリュネットは後方に構えていた。
 3~4コーナーで馬群がギュッと固まり直線勝負へ。トーコーヴィーナスが必死に粘り、最内を突いたホワイトフーガが差を詰め、外のララベルも懸命に食らいつく見応えのある追い比べとなったところに、大外から伸びてきたのがタマノブリュネットだ。そのまま突き抜け1馬身半の差をつけて優勝。JBCレディスクラシックJpnⅠの優先出走権を手にした。
 今年1月のTCK女王盃JpnⅢでは、同世代のホワイトフーガに0秒7離されての3着に敗れていたタマノブリュネット。経験を積み力をつけて、その8カ月後に同じ舞台で逆転劇を演じることとなった。高柳瑞樹調教師、田邊騎手は「デビューの時から良いものを持っていると思っていた」と口を揃える。陣営の期待通り素質が開花したタマノブリュネットにとって飛躍の秋となりそうだ。
 2着争いは大接戦となったが、トーコーヴィーナスとホワイトフーガが同着となった。ホワイトフーガの蛯名正義騎手は「前と比べると伸びが物足りなかったです。でも、今日は折り合いをつけて上手に走るというのが目的でもあったから収穫はありました。JBCでは巻き返したいです」とコメントを残した。
田邊裕信騎手
直線向いた時には余裕がありましたし、長い大井の直線を脚も上がらずに走りきってくれました。牝馬のわりにどしっと構えていて、気分の上げ下げの少ないブレない馬です。馬群の狭いところでも砂をかぶっても自分から向かって行くガッツがあります。強い相手を負かしたので胸を張っていいと思います。
高柳瑞樹調教師
調子落ちなくいい状態でレースに臨めました。ゲートがいつも遅い馬なんですが、比較的出てくれて良いポジションでレースを運べましたね。ゴール前は勢いがあったので差してくれという気持ちで見ていました。徐々に力をつけて上手に育ってくれました。馬の状態を見てJBCに行きたいと思っています。

 一方、トーコーヴィーナスの奮闘には地方競馬ファンも熱くなったことだろう。「思い切って行けと言われていたので、スタートも良かったですし行くしかないと。直線では一瞬やったかと思いました。地元の競馬より遠征の方が落ち着いてしっかり走ってくれる馬です」と大山真吾騎手。吉行龍穂調教師は「金沢の読売レディス杯がこの馬にとってとても勉強になったんです。本当にようやってくれた!」と満面の笑顔だった。
 そして、4着にララベル、5着にブルーチッパーが入り、地方の実力馬がそれぞれに力を示した。この2頭とも、川崎1600メートルの条件の方が向いているということで、JBCレディスクラシックでの期待も十分だろう。
 さて、最終戦までもつれたグランダム・ジャパン古馬シーズンは、シリーズ4戦に出走し、2勝、2着2回で41ポイントを獲得したトーコーヴィーナスが文句なしの優勝。2位は30ポイントのジュエルクイーン、3位は22ポイントのディアマルコという結果で幕を閉じた。

取材・文:秋田奈津子
写真:国分智(いちかんぽ)