金沢で行われたチャレンジステージは、今後の活躍が楽しみな20代の若手から、ベテランの40代、50代まで幅広い年齢層で争われた。しかしファーストステージに出場する騎手は14名中11名が30代。充実期を迎えた、まさにトップジョッキーが集結した。
第1戦の騎乗馬で専門紙に◎が並び、実際1番人気に支持された佐藤友則騎手(笠松)は、旧スーパージョッキートライアルから3年連続3度目の出場。「最初の頃は緊張していたけど、だんだん慣れてきました。今回は第1戦でいい馬に乗せてもらったので、2着、7着くらいで、ここは5位通過くらいが目標です」と余裕の表情を見せていた。
ダート1600メートルの第1戦は、スタート後の先行争いから隊列が決まるとスローに流れた。逃げたのは真島大輔騎手(大井)だったが、2番手につけた佐藤騎手が3コーナーからとらえにかかった。直線では単独先頭に立ち、最後は手綱を抑える余裕のゴール。3馬身差がついたものの2着には真島騎手が入った。3、4着も道中の3番手、4番手が入れ替わっただけで山本聡哉騎手(岩手)、矢野貴之騎手(大井)と入線。ほとんど行ったままの決着だった。
「ゆったりしたペースで2番手に行けたので、あとは前だけ交わせばという感じで余裕がありました」と、佐藤騎手は1番人気にこたえての勝利。2着真島騎手、4着矢野騎手、5着繁田健一騎手(浦和)まで掲示板5頭のうち4頭が1~4番人気馬だったが、3着に食い込んだ地元の山本騎手は12番人気。「人気もなかったですし、この馬には距離も長い印象だったので、ポイントを狙っていきました」と、“A評価”の馬に騎乗する第2戦へリラックスした様子で向かった。
芝1700メートルの第2戦。外枠から一気にハナをとったのが山口勲騎手(佐賀)で、やや離れて2番手に山崎誠士騎手(川崎)がつけた。それぞれ第1戦が、10着(1ポイント)、9着(2ポイント)だったため、少しでも上位をという気持ちはあっただろう。
4コーナーでも山口騎手が先頭で、3番手につけていた森泰斗騎手(船橋)、さらに後方から徐々に位置取りを上げてきた永森大智騎手(高知)が並びかけ、直線を向いて3頭の追い比べとなった。直線半ばで山口騎手が脱落すると、ゴール前は2人の叩き合い。“A評価”ながら11番人気だった永森騎手が、1番人気の森騎手をクビ差でしりぞけ勝利。3馬身差の3着に地元の山本騎手が入った。
結果、7着、1着の永森騎手が1位、1着、9着の佐藤騎手が2位、2戦とも3着だった山本騎手が3位の表彰台となった。
しかしここで気になるのは、下位は誰か。昨年に続いて全国リーディングのトップを快走する吉村智洋騎手(兵庫)は、第1戦で13着。ファイナルステージの舞台は、その吉村騎手の地元、園田競馬場だ。「次に行けなかったら馬場を貸すだけになりますよね。そうなったら、ファイナルは別の競馬場でやってください(笑)」と言って向かった吉村騎手の第2戦は8着。微妙な着順だったが、自分より下位のポイントが少なくとも2人いることがわかると「次は、園田での開催が決まりました!」と、おどけて見せた。
果たして、青柳正義騎手(金沢)と、チャレンジステージ2位からの出場だった赤岡修次騎手(高知)が、ともに2戦とも二桁着順の計2ポイントでファイナルに進むことができなかった。
今年も札幌競馬場で開催されるワールドオールスタージョッキーズへの地方代表が決まるファイナルステージは、これまで何度も大逆転が起こった舞台。ファーストステージ1位の永森騎手でも36ポイントと抜けているわけではなく、ファイナルに進んだ12名すべてにチャンスは残されている。
Comment
ファーストステージ優勝 永森大智騎手(高知)
(第2戦は)以前に乗っていた騎手からワンペースの馬だと聞いてたし、過去のレースを見た感じもそういうイメージだったので、向正面から長い脚を使うようなイメージで乗ってうまくいきました。あと2戦、意識しすぎるといい結果がでないので、普段通りにリラックスして頑張れたらと思います。
ファーストステージ2位 佐藤友則騎手(笠松)
第2戦は返し馬の感じがよかったので、守りに入らず攻めていこうと思って乗りました。ただ1~2コーナーで折り合いを欠いたぶん、最後に影響しました。それでも第1戦でポイントを稼いでいたので余裕をもって乗ることができました。次も楽しんで乗れたらいいと思います。
ファーストステージ3位 山本聡哉騎手(岩手)
2戦目は感触もよくて、期待どおりいい走りをしてくれたので、もう少し僅差のレースができたかなとも思いますが、終わってみれば上出来だったんじゃないですかね。これまで何度か惜しいところで優勝できていないので、今年こそはと思うんですが、平常心でやれることをやろうと思います。