特集
2018ジョッキーズチャンピオンシップ 第2ステージ
Jockeys' Championship 2018
JRAで実施されている「ワールドオールスタージョッキーズ」に出場する地方競馬代表騎手の選定競走として実施してきた「スーパージョッキーズトライアル(SJT)」ですが、これまでのトライアルという枠を飛び越え、各地のリーディングジョッキーが熱い戦いを繰り広げて地方競馬No.1ジョッキーを目指す競走の一つとし、2018年より、同シリーズへの出場騎手選定方法も新たに、その名称も『地方競馬ジョッキーズチャンピオンシップ』に一新して実施いたします。
各ステージは昨年に引き続き、「ワイルドカード」「第1ステージ」「第2ステージ」が実施され、優勝者は8月25日(土)、26日(日)にJRA札幌競馬場で実施される『2018ワールドオールスタージョッキーズ』(国際騎手招待)の地方競馬代表候補騎手に選定されます。(準優勝者は地方競馬代表補欠候補騎手)
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第2ステージ7月18日(水)
浦和競馬場
ポイント表
リポート動画
地元南関東所属騎手が見せ場も 2勝目を挙げた桑村騎手が優勝
いよいよ今年の地方競馬ナンバーワンジョッキーが決まる『2018地方競馬ジョッキーズチャンピオンシップ』第2ステージ。このシリーズ(昨年までのスーパージョッキーズトライアルを含め、以下同)初開催の浦和競馬場に、第1ステージ上位12人の名手たちが全国から集まった。
浦和競馬場の所在する埼玉県さいたま市は最高気温37.8度と、立っているだけでも汗が噴き出るような酷暑。第1ステージを1位で通過した北海道の桑村真明騎手は「北海道と10度以上違いますよ、暑いです」と顔を歪めていた。兵庫の下原理騎手が「関西も暑いけど関東は湿気がすごくて辛いね」と言う一方で、笠松の佐藤友則騎手は「岐阜のほうが暑さはすごいですよ」などと暑さ談義が繰り広げられていた。
そんな中、紹介式には多くのファンが集まりそれぞれの騎手に声援を送っていた。地元浦和の繁田健一騎手はシリーズ初出場。現在2位でトップの桑村騎手とはわずか4ポイント差と優勝圏内につけている。地元ファンの大きな拍手を受けながら「浦和コースの必勝法は?」という問いに「秘密です!」と笑いを誘っていた。浦和コースは全国の競馬場の中でも乗り難しいと言われている。今回、初めて騎乗する騎手もおりコース攻略もポイントになりそうだ。
第1戦、先行馬が揃う中、先手を取ったのは矢野貴之騎手(大井)で、吉原寛人騎手(金沢)が2番手でぴったりマーク。3番手に繁田騎手、その外に山本聡哉騎手(岩手)が続いていた。快調に逃げる矢野騎手に、3~4コーナーでは吉原騎手と山本騎手が必死に追いかけたが、矢野騎手の手応えが違った。直線に入るとぐんぐんと突き放し5馬身差の圧勝劇。昨年の南関東リーディングジョッキーがホームで軽やかに30ポイントを獲得した。2着は粘った吉原騎手。道中後方2番手を追走していた瀧川寿希也騎手(川崎)が直線で追い込み3着を確保した。
レース後、「初めて乗る馬だったし出たなりでと考えていました。良いペースで逃げられましたね」と嬉しそうに語る矢野騎手だったが、そんな囲み取材の最中に大井の大先輩、的場文男騎手が登場。「矢野!チャンスだぞ、チャンスあるぞ!次、勝たなきゃダメだぞ!」と鼓舞。かつて的場騎手は、2009年のスーパージョッキーズトライアルに出場した際、第2ステージで2連勝を決め逆転優勝している。その経験があるからこその後輩への激励だった。
第1戦を終え、1位は変わらず桑村騎手で50ポイント、2位が矢野騎手で46ポイント、3位が繁田騎手で39ポイントと続き、上位7人に優勝の可能性が残されていた。
第2戦は、優勝決定戦にふさわしい名勝負だった。ゲートが開くと、好スタート好ダッシュの村上忍騎手(岩手)が逃げようとするところに、繁田騎手がムチを入れて勢いよく並びかけ2コーナーで先手を取り切った。控えた村上騎手の2馬身後ろに佐藤騎手と矢野騎手が続き縦長の展開。そして動いたのは中団を追走していた桑村騎手だ。外から一気に進出し4コーナーでは2番手まで上がっていた。直線に入ると繁田騎手と桑村騎手の火の出るような一騎打ち。その激しい追い比べをハナ差制したのは桑村騎手の方だった。3着には終始インを進み直線も最内を伸びた吉原騎手が入った。
レースから戻ってくると、暑さもあってか言葉少なだった桑村騎手だが、この時優勝は確信していたそうだ。一方繁田騎手は「最後は勝ちたかったなあ!」と悔しさをみせながらも充実した表情だった。
第2ステージを終え最終結果は、桑村騎手が80ポイントと断トツの成績で優勝し、ワールドオールスタージョッキーズへの切符を手にした。2位は繁田騎手で59ポイント、3位は吉原騎手で52ポイントという結果となった。
第1ステージをトップで通過し、一番優勝に近いところにいた桑村騎手だが、インタビューの第一声は「信じられません、自分が優勝するなんて」だった。まだまだ実感がない様子だったが、インタビューを受けるうちに少しずつ笑顔も見え始めた。桑村騎手は2013年の初出場の時、1ポイント差で惜しくも優勝を逃している。「2013年は無欲で戦っていてポイント差のことも知らなかったんです。今回は勝ちに行く競馬をしなくてはと緊張もしていました」と強い想いを持ってシリーズに臨んでいたことも語ってくれた。ベテランも若手も層の厚いホッカイドウ競馬の中で2年連続リーディングトップを獲得し、今年も1位をキープしている桑村騎手。間違いなくこれからのホッカイドウ競馬、そして地方競馬を背負っていく騎手だ。初出場のワールドオールスタージョッキーズでは、世界の名手相手にどんな勝負を見せてくれるだろうか。地元北海道・札幌の地で躍動する姿を楽しみにしたい。
取材・文:秋田奈津子
写真:宮原政典(いちかんぽ)
コメント
(北海道)
2戦目は新聞からも相手は繁田さんだと思っていました。直線は最後まで本当にわからなかったのですが馬ががんばってくれました。門別とは真逆で難しい競馬場で結果が出せたことも嬉しいです。札幌競馬場は毎年乗せていただいていて乗りやすいコース。自分の成長にも繋がるようにがんばります。
繁田健一騎手
(浦和)
2戦目は何が何でもという指示だったので行きました。1コーナーまでが速かったのでその分負けてしまいましたね。しぶい馬なので直線はもう一回差し返してくれそうだったんですが惜しかったです。なかなかこういう機会はないので良い体験をさせてもらいました。桑村騎手がんばってください!
吉原寛人騎手
(金沢)
第1戦は難しいレースになってしまいました。勝っていればチャンスはあったかもしれませんね。でも良い馬に乗せていただいてこの暑い中がんばってくれて馬には感謝しています。何とか優勝したかったですが、逆にワイルドカードから6戦もできて良い経験になりました。久しぶりの本戦も楽しかったですね。