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2016年11月22日(火) 浦和競馬場 2000m

2番手から早め先頭で突き放す
期待の3歳馬が人気に応え完勝

 初冬の浦和競馬場を彩る浦和記念JpnⅡ。毎年冷たい空気に包まれる中で熱戦が繰り広げられているが、今年は打って変わって、この時期らしくない暖かな1日となった。
 今年の地方馬は、NARグランプリ年度代表馬に輝いている、昨年の覇者ハッピースプリントと一昨年の覇者サミットストーンがそろう豪華な出走となったが、最近の成績からも人気は控え目で、中央馬4頭が上位人気を独占。
 その中でも1番人気に推されていた3歳馬ケイティブレイブが、武豊騎手のエスコートで貫禄勝ちを収めた。武騎手は地方競馬のダートグレードレース100勝目というメモリアル勝利ともなった。
 レースは、タマモホルンがハナを主張していき、ケイティブレイブは2番手を追走。2周目の向正面からケイティブレイブは徐々に先頭に並びかけていき、3コーナー手前から先頭に躍り出た。「道中も落ち着いていい感じでしたね。小回りなので先に動いていって、最後のコーナーを回った時の勢いがよかったので押し切れるだろうと思いました」(武騎手)。
 南関東で期間限定騎乗中の藤井勘一郎騎手が騎乗したクリソライトも3番手から脚を伸ばしてきたが、ケイティブレイブの手応えは終始抜群のままで後続を突き放した。勝ちタイムは2000メートル2分7秒0(重)。2着には4馬身差でクリソライト、3着にはハッピースプリントが入った。
 ケイティブレイブは兵庫チャンピオンシップJpnⅡで重賞初挑戦初制覇を飾ると、ジャパンダートダービーJpnⅠとレパードステークスGⅢは2着に敗れたが、前走白山大賞典JpnⅢに続いて重賞連勝。今後の具体的な予定は未定だそうだが、ダートグレード戦線で将来有望な逸材が誕生した。
 一方、ハッピースプリントの復活の兆しを見せた走りに、胸を熱くしたファンも多かっただろう。吉原寛人騎手が久しぶりに手綱を取り、道中は砂をかぶりながらも中団から進めていき、勝負どころでは地方勢でただ1頭、ケイティブレイブやクリソライトに食らいついていった。
武豊騎手
本当に強かったですね。馬の状態もすごくよかったので期待して臨みました。スタートも上手な馬なので他の馬が行かなければ先手を取ろうと思っていたんですが、1頭いたので2番手で進めました。まだ3歳馬なのでこれからが楽しみだと思います。僕自身も浦和競馬場で久しぶりに勝てたのでうれしいです。
目野哲也調教師
優等生ですよ。調教でも負けたことがないくらいに走ってくれるし、レースでもこんなにいい結果を出してくれていて大した馬です。普段からびっくりするくらいにおとなしくて、これほどの馬は初めてです。課題は特にないですが、これから上のクラスに上がったときにどんな競馬ができるのかは気になります。

 「いい頃に比べると途上ですが、今年の中では一番力を出せる状態でした。現状ではよく走ってくれましたし、いい頃のよさが見られましたね。コンディションを戻していくように、無理をさせないで、じっくりゆっくり我慢をしながら調整をしていますが、ハッピーもそれに応えてくれて、光が見えてきた感じです。今後もっと良化していくと思いますので、このまま大事に調整していきたいです」と森下淳平調教師は振り返っていた。
 次走は2月1日の川崎記念JpnⅠを視野に入れていくそうだ。ハッピースプリントの復調は地方競馬全体にとっても明るい希望。完全復活が待ち遠しい。
復調の兆しを見せた3着のハッピースプリント
取材・文:高橋華代子
写真:宮原政典(いちかんぽ)、NAR